【ぬいぐるみが観光地を旅するサービス!】4年目を迎えた「ウナギトラベル」が人気の秘訣は“シュール”!?

 旅をするのに理由はなく、旅の楽しみ方は人それぞれ自由ですーー。

 「ウナギトラベル」は、主に関東地方の観光地へ、近年愛好家が増えているぬいぐるみを連れていってくれる、ぬいぐるみの旅行代理店。添乗員のウナギが、各地で説明をしながら、ぬいぐるみたちを楽しませてくれて、その様子をFacebookでライブ実況したり、後日、写真で眺めることができます。さっそく、同社の代表・東園絵(あずまそのえ)さんに、お話を伺いました。

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――サービスを始められたきっかけは?

 旅へなかなか行けない病気の方や、障がいをお持ちの方、仕事で忙しい方、主婦の方々などに、旅行気分を味わっていただきたいと思って取り組んでいます。でも、そもそものきっかけは、私のうなぎ好きにあるんですよ(笑)。

――え!? うなぎですか…?

 うなぎを食べることが大好きで、それが高じて国産ウナギのぬいぐるみをタオル地で作りました。“うなえ”と名付けて、全国各地へ連れていき、私が写っていない、うなえだけの写真を載せるブログを始めたのです。そんなある日、うなえの目玉が取れました。そこで、今度は目玉だけを独立させて、裏側にURLとパスワードを書き込み、旅立たせたのです(笑)。そうすれば、目玉を受け取った人が、世界各地で写真を撮り、それをブログにアップできます。やがて、この取り組みが人と人、日本と世界とを繋げられることを実感し、4年前、本格的にサービスを始めました。

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――苦労はありましたか?

 当初は誰にも理解してもらえませんでした。でも、どこかにわかってくれる人がいると信じていました。ユーザー層など、マーケティングは想定できなかったのですが、サービス内容を伝えるために、SNSを活用することにしたのです。ぬいぐるみが好きそうな人をTwitterでフォローしたり、Facebookで発信し続けたりしました。

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――ブレイクのきっかけは?

 一年半ほど前、NHKのドキュメンタリー番組に取り上げていただき、放映されたときですね。おかげさまでお問い合わせが増えました。これまでにサービスを利用してくださったお客さまは500人ほどいらっしゃいます。国内が8割、国外が2割です。

――ツアーは、どなたが連れて行くんですか?

 私が連れて行きます(笑)。旅は天気の良い日に出発します。やはり、お預かりした大切なぬいぐるみを濡らしては大変ですし、天気が良いほうが美しい写真を撮りやすいですから。月にMAXで10回、平均で6~8回ほど旅に出ます。1回のツアーでは6~8体ほどをお連れいたしますよ。

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――写真を撮るときに心がけていることは?

「なんだこれは!?」、「そこまでやるの?」というインパクトのある写真を目指しています。 “可愛さ”よりも、シュールさを狙い、写真でボケることで、Facebookに掲載した写真を見たお客さま同士で、ツッコミを入れることができるんです。すると、コメントが活発になるんですよね。また、ツアーに参加されるぬいぐるみのアンケートを事前に取ります。車酔いの有無、ツアーの参加理由、食べ物のアレルギーなど、背景を知っておくことも重要です。車酔いするぬいぐるみはバスの窓際に座らせて、ほかの参加者のぬいぐるみたちが心配そうに覗きこんでいる様子を撮影できます(笑)。そこまでこだわることで、心を動かせられますし、サービスの価値が高まるのだと思います。

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――今後の展開は?

 現在と同様に、今後も定期的にツアーに出ます。ほかには、今年の三月に、三重県の熊野古道と、プロモーション企画を取り組みました。世界遺産10周年記念に、ぬいぐるみたちを連れて行く企画だったのですが「三重県の魅力を知ることができた」と、ユーザーの方に言っていただけました。また、サンリオさんのキティちゃんとマイメロディが、ツアーに参加するという企画も実施しています。写真を日記で更新していくのですが、実際にぬいぐるみを購入された方も、ご自身で旅にお連れし、旅の写真を投稿できるフォトコンテストの企画です。このように、地域や企業とのコラボレーションや、全国各地への展開を考えています。

 好きなことを楽しみながら、進むべき道を見つけて、起業に至る。今では多くの方が、ワクワクとする童心で楽しめるサービスに成長したのは、東さんの純粋な遊び心と、子供だましにしたくないという強い眼差しが支えているようですね。シャッターを押す瞬間の真剣勝負が、ファンタジーとリアルとを結びつけて、夢の世界へ私たちを連れていってくれるのです。

取材・文:八幡啓司  写真提供:株式会社ウナギトラベル
 24時間フル稼働のフリーランス生活を送りながらも、12時間睡眠が必須のコピーライター。座右の銘は「いざとなったら、すぐ寝る」。寝ても覚めても、夢の中を生きる。

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