仕事にも応用できる!夫婦円満のチームマネジメント術とは?

コロナ禍により、在宅勤務や外出自粛が定着。夫婦が自宅で一緒に過ごす時間が増えています。環境変化によるストレスから、夫婦間にイライラ、ギスギス、モヤモヤが生じ、仕事に悪影響を及ぼしていることも。今回は、新刊『不機嫌な妻 無関心な夫 うまくいっている夫婦の話し方』を上梓した五百田達成さんに、著書で紹介している「夫婦関係を円満に保つコミュニケーションのコツを教えていただきます。

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作家、心理カウンセラー 五百田達成(いおたたつなり)さん

五百田達成(いおたたつなり)さん米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。 専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」。「スッキリ!!」(日本テレビ)、「この差って何ですか?」(TBS)ほか、テレビ・雑誌などのメディア出演も多数。新刊 『不機嫌な妻 無関心な夫 うまくいっている夫婦の話し方()』をはじめ、著書『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』『超雑談力』はシリーズ80万部を超えている。 オンラインサロン「おとなの寺子屋~文章教室~」も好評。五百田達成さん公式サイト(

夫婦のタイプ別・円満を保つコミュニケーションのコツ

これまで多くの夫婦にインタビューを行った結果、「うまくいっている夫婦」には3つのタイプがあることがわかりました。「恋人タイプ」「戦友タイプ」「同居人タイプ」です。これらのタイプは常に一定ではなく、状況によって変わることもあります。

それぞれのタイプのコミュニケーションの特徴と、危機を乗り越えて「円満」を持続させるためのコツをご紹介します。

夫婦は人生の目標を共有する「チーム」ともいえるもの。夫婦関係を良くするコミュニケーション手法は、職場におけるチームマネジメントにも共通しています。ぜひ、家庭にも仕事にも活かしてみてください。

恋人タイプ

お互いに好きだから一緒にいる、「気持ち」がエネルギーとなっているラブラブ夫婦。独身時代のような恋愛感情で結ばれています。

●コミュニケーションの特徴

「愛情表現」が多いのが特徴。「愛しているよ」「大好き」などと言い合い、スキンシップも頻繁。記念日を大切に祝う、人前で相手をほめることも自然に行えます。思いやりをきちんと示すことで、お互いの恋愛感情を自然と持続させています。

●仕事の「チーム」に置き換えると……

気が合うメンバー同士が和気あいあいと楽しく働く、仲のいいチーム。「この人と一緒だからがんばれる」の気持ちでつながっています。

●夫婦&チームマネジメントに共通する危機回避・円満持続のコツ

気持ちに頼り、「言わなくてもわかってくれる」と思い込んで言葉にしないでいると、予想しないすれ違いを生むこともあります。また、気になる部分も見て見ぬふりをするうちに、静かにストレスが溜まっていくことも。

ポジティブな感情表現だけでなく、ネガティブな気持ちやちょっとした不満なども言葉にして伝え合う習慣をつけたいものです。共に目指すゴールについて話し合ったり、ルールやマナーをしっかり決めたりすることで、よりバランスが取れるでしょう。

戦友タイプ

価値観が合うから一緒にいる、「計画性」がエネルギーとなっているバリバリ夫婦。一緒に家庭を切り盛りしていく戦友のような関係です。

●コミュニケーションの特徴

「ビジョンの共有」が多いのが特徴。「何歳までにマンション購入」「子どもは何人」など、明確なプランがあり、夫婦間でしっかり話し合われています。また、些細なことでも報告・連絡・相談を怠ることなく、「夫婦」という企業を一緒に経営しています。

●仕事の「チーム」に置き換えると……

それぞれの専門性を活かし、相互補完し合いながら同じ目的に向けて協業する、いわば「プロフェッショナルの集まり」といえるチームです。

●夫婦&チームマネジメントに共通する危機回避・円満持続のコツ

互いにきちんと向き合い、意見の違いのすり合わせも怠らない……を続けていると、息が詰まってしまうことも。「話が違う」「一度決めたことなのに」と、相手を責めてしまったりすることもあります。

隙のない対話だけでなく、ゆるい気持ちのやりとりもときには必要。例えば、とりとめもない雑談や、出口のない愚痴に耳を傾けるといった時間も持つことをおすすめします。感謝を表現し、相手への気持ちを高めることで、よりバランスが取れるでしょう。

チームの場合、コロナ禍以降、リモートワーク中心になる中で「何気ない雑談」の機会が失われています。例えば、「オンラインランチ会」など、雑談の機会をあえて設けることをおすすめします。

同居人タイプ

ラクだから一緒にいる、「自立と距離感」がエネルギーとなっているイマドキ夫婦。お互いの趣味や時間に干渉しない、シェアハウスの同居人のような感覚です。

●コミュニケーションの特徴

「ルール・マナー」をしっかり決めているのが特徴。互いに自立した2人が、洗面所の使い方からタオルの干し方、家事の分担までルールを決め、それを守ることでストレスのない共同生活を実現しています。マナーや気遣いも忘れず、お互いにとって居心地のいい空間・適度な距離感を保っています。

●仕事の「チーム」に置き換えると……

自由な社風で、メンバーそれぞれがマイペースで働くチーム。個人事業主がコワーキングスペースなどを利用して協業するスタイルもこれにあたります。

●夫婦&チームマネジメントに共通する危機回避・円満持続のコツ

ラクでゆるいつながりは、離れるのも簡単。トラブルや挫折に見舞われたときなど、ルールやマナーといったオトナのコミュニケーションでは解決できない問題も出てきます。そんなときは「情熱」「絆」といった別のエネルギーも必要となります。相手のいいところ、好きなところを口に出して褒めたり、将来像について真剣に話し合ったりすれば、よりバランスが取れるでしょう。

チームにおいても、他のメンバーと「この先目指すもの」を語り合う機会を設けてみてはいかがでしょうか。理念の一致を確認できれば、より強固なパートナーシップを結ぶことができます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

シーン別・夫婦円満のチームマネジメントを紹介

ここからは「恋人タイプ」「戦友タイプ」「同居人タイプ」夫婦に共通する、さまざまな場面での行動やルール作りに関する「NG」と「OK」をお伝えします。ご紹介するポイントは、夫婦円満のために有効ですが、実は仕事でのチームマネジメントにも応用できます。

1.情報共有シーン

【NG】以心伝心で通じ合う
【OK】報・連・相をさぼらない

夫婦は仲がいいほど、「いちいち言わなくても察してくれるだろう」と思いがち。自分では伝えているつもりでも、相手にはまったく伝わっていないケースも少なくありません。些細な連絡ミス、情報共有の漏れが、いざこざにつながることもあります。報・連・相を密にしましょう。

特に「相談」は重要。報告・連絡とは異なり、「感情」が乗るものだからです。相談を持ちかけられたら、相手が求めているのは「解決策」なのか「共感・メンタルケア」なのか……など、ニーズをつかむことを意識しましょう。

●仕事での応用ポイント

情報共有がうまくいっていないチームはつぶれやすいものです。大きなところでは「目標」や「ビジョン」、細かなところでは日々のスケジュールや健康状態、不具合が生じていることなど、報告・連絡・相談を怠らないようにしましょう。

チームリーダーであれば、メンバーが「相談しやすい」雰囲気をつくる必要があります。メンバーが、叱られたり詰められたりするのを恐れて相談しづらい状況では、問題点に気付きにくくなります。「相談ウェルカム」な姿勢で、傾聴を心がけましょう。

2.感謝を伝えるシーン

【NG】照れくさいから、いまさら何も言わない
【OK】「ありがとう」「大好きだよ」としつこく言う

「わざわざ言わなくてもわかっている」と思わないこと。相手を好きだと思う気持ち、感謝している思い、気遣う態度は、意識して積極的にアピールしましょう。「伝わっている」という思い込みは捨て、ストレートに表現することが大切です。

●仕事での応用ポイント

チームマネジメントにおいても、メンバーに対して「仕事なんだからやって当たり前」ではなく、「ありがとう」「信頼しているよ」と言葉で表現することが大切。メンバーからの報告メールなどにも、「OK、問題ない」と返すだけでなく、「うまくまとめてくれたね」など、感謝の言葉や褒める言葉を添えることで、信頼関係が深まります。

3.依頼するシーン

【NG】「~やってよ!」と指示する
【OK】「~やってくれる?」と頼む

相手が何かをしてくれることを「当たり前」と思ってはいけません。「牛乳買ってきて」「醤油取って」は、自分ではそんなつもりはなくても、文法的には「命令形」です。それよりも「牛乳買ってきてくれる?」「醤油取ってくれる?」といった「疑問形」を使ってみてください。コミュニケーションがまろやかになります。

また、「~してくれた」という言葉を多く使うことで、感謝の気持ちを表すことも大事。逆に「~してあげた」という言葉を多用すると、「してあげたのに、あなたは何もしてくれないの?」といった依存や甘えが出てきますので、注意が必要です。

●仕事での応用ポイント

これらは、チームにおける上司と部下のコミュニケーションにも共通することです。「恩は着せない」「感謝する」――そんな姿を見せることで、メンバーの中に「このリーダーのためにもがんばろう」という気持ちが湧いてくると思います。

4.ルールのメンテナンスシーン

【NG】一度決めたルールはしっかり守る
【OK】ルールを常にアップデートしていく

夫婦間では、家事や育児において役割分担のルールを決めているものですよね。しかし、ルールに縛られていると、生活や環境の変化に対応できません。本当に今のままでいいのか、常に確認とアップデートをしていきましょう。夫か妻のいずれかがイラっとしたとき、どこかに違和感を抱いたときが、アップデートを考えるタイミングです。

●仕事での応用ポイント

チームのルールも同じ。ビジネス環境は変化しているのですから、メンバーから疑問が上がったとき、「決まっていることだから」「前例がないから」は禁句です。簡単には変えられなくても、「自分もこの点に疑問を感じる」「検討すべきだと思う」と、柔軟な姿勢を見せるようにしましょう。

5.話し合いシーン

【NG】家事の合い間に話し合う
【OK】カフェで会議を開く

夫婦の話し合いの中には、意見がまとまらず平行線を辿りそうなテーマもあります。議論していて出口が見えないときは、いったん話し合いを中断し、時間と場所を改めましょう。その話をするために、ファミレスやカフェなどに出向くのもおすすめです。

家の中には、家事などの雑用やテレビの音、子どもの声など、話し合いを妨げる要素が多いもの。ゆっくり話に集中するためにも、家の外に出てみてはいかがでしょうか。

●仕事での応用ポイント

チームワークにおいても、目標やビジョンの共有、課題の発見や解決のために、オフィスを離れ、非日常的な空間でディスカッションを行うのは有効です。このほか、「いつも昼間に行っている会議を朝の時間帯に実施してみる」「朝礼を夕礼に変えてみる」など、ちょっとした変化を与えてみるといいでしょう。会議のメンバーをシャッフルして入れ替えてみるのも手です。

6.ピンチの対応シーン

【NG】2人だけでがんばる
【OK】第三者の手を借りる

家事・育児・仕事など、キャパオーバーとなってしまうと、家庭内がギスギスしてしまいます。そんなときは夫婦だけで何とかしようとするのはやめて、積極的に外部に助けを求めることも大事です。

例えば、家事代行サービスや行政サービスを利用する、実家や友人に助けを求める、カウンセリングを受けてみるなど。夫婦の関係を守るためにも、外部の力を利用しましょう。なお、言い争ったときなどにも、第三者に入ってもらうことで、あっさり解決することがあります。

●仕事での応用ポイント

仕事のチームでも、メンバーだけでは行き詰まった場合、外部の第三者の力を借りてみましょう。スポットでコンサルタントに相談する、副業者やインターンを受け入れるなど。新しい視点が得られる可能性があります。また、第三者の加入を機に、既存メンバーの別の一面が見えることも。

7.話を聞くシーン

【NG】「ま、いいか」と聞き流す
【OK】「どういうこと?」と聞き返す

相手が何か話しかけてきたとき、テレビの音で聞こえなかった、スマホを見ていて話が入ってこなかった……ということ、よくあると思います。

「ねぇ、聞いてる?」「あ、聞いてなかった。何か言った?」「……もういいよ!」。これで終わらせてはいけません。相手は言いにくいことを思い切って言おうとしていたり、ピンチのサインを出していたりするのかもしれません。これを聞き流すと、後々トラブルにつながることもあります。

聞くときは「ものすごく聞く」「全身全霊で聞く」の姿勢をとりましょう。体・態度を「聞く」モードにするのです。話しかけられたら、見ていたスマホを置いて相手のほうを向く。「聞いてますよ、興味ありますよ」というポーズを示しましょう。相手が「聞いてもらえている」という安心感を持つことが大切なのです。

●仕事での応用ポイント

チームリーダーとしても、メンバーに話しかけられたとき、PC操作を続けながら対応するのではなく、手を止めて相手に身体を向け、聞く姿勢をつくることをおすすめします。「聞いてもらっている」「相談しやすい」とメンバーが感じることで、報・連・相がしっかりなされるようになるでしょう。

また、会議などの場で、何となく納得していなさそうなメンバーがいたら放置せず、「何か気になっている?」と声をかけてみてください。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

まとめ:夫婦円満で仕事も円満にマネジメントしよう!

夫婦とチームのコミュニケーションの例をいくつかご紹介してきましたが、「仕事ではできているのに夫婦ではできていない」「夫婦ではできているのに仕事ではできていない」ということもあるのではないでしょうか。

特に、仕事の場面では意識しているコミュニケーションや気配りが、配偶者に対してはおろそかになっていることが多くあるようです。しかし、仕事で問題を抱えても、夫婦の基盤さえしっかりしていれば乗り越えられるものだと思います。「夫婦ファースト」で、コミュニケーションのあり方を見つめ直してみてください。

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WRITING:青木典子 EDIT:馬場美由紀
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