理不尽な上司とどう付き合う?ストレスをためない対処法

どんな職場にもいる困った上司。相手によって態度を変える、部下に責任転嫁する、気分で八つ当たりする──そんな理不尽な叱責や態度に振り回されては、ストレスをためるばかり。理不尽な上司の特徴と上手な付き合い方を、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。

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理不尽な上司にありがちな特徴は?

理不尽とは、物事の道理が通らないこと。矛盾・むちゃくちゃである様子のことです。道理が通らない上司の一方的な言い分に、自分が悪いと落ち込んだり振り回されたりしていたら、精神的に疲れが増すばかり。まずは、あなたの身の回りにいる理不尽上司がどのタイプにあてはまるのか見てみましょう。

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自分の評価を上げたいジコチュウ上司

仕事のミスを部下のせいにしたり、部下の手柄を自分の成果のように報告したりして社内評価を上げようとする自己中心的なタイプです。

部下の成功に対して、本来なら部下が評価されるように上に伝え、部下にも評価を伝えてモチベーションを上げていくのが上司の役割。しかし、部下を育成しようという意識がなく、「自分がうまく立ち回りたい」という個人プレイヤーの発想のままです。

態度が違うキブンヤ上司

気まぐれで怒る。その日の機嫌で指示が変わる気分屋タイプ。社外の人や社内の上席の人には平身低頭しながら、部下には厳しいなど、相手によって言うことや態度がまるで違うタイプの人もいます。

誰でも相性や好き嫌いは少なからずあるものですが、それをそのまま出してしまう。お気に入りの部下のミスは「まあ、気をつけよう」で済ませても、気に入らない部下はネチネチと言い続けるなど、好き嫌いで褒める・叱ると態度を変えるため、仕事そのものへの的確な判断ができません。

度量や視野がセマセマ上司

自分のやり方や考えだけが正しいという思い込みで、周囲からのアドバイスを受け付けないタイプ。変化に対応する柔軟性がないため、組織やプロジェクトの改善などを部下から提案されても、提案=自分への批判と受け取って感情的になってしまいます。人を受け入れる心が狭いために理不尽に振る舞ってしまう上司です。

曖昧な指示でダメ出しするナンクセ上司

自らは指示や方針を示さないのに、とりあえず進めさせて結果を見てダメ出しをする、人がやったことのあらを探して文句を言う難癖が得意なタイプです。

仕事の全体像やゴールを本人が理解していないために、指示をどう出せばよいか、何が重要かもわからず、「ちょっと違うんだよな」「これイメージに合わない、やり直して」などの場当たり的なアドバイスや一貫性のない指示になることもあるようです。

正論フリカザシ上司

どんな状況でも正論を振りかざして理屈で詰めてくるタイプ。自分の過去の成功例や従来のやり方にこだわりが強いため、人や環境、時代の違いで取るべき施策を変える必要性があることを理解できていないのかもしれません。ロジック通りにいかないと部下の能力やスキル、やる気の不足だと決めつけてくる人もいるでしょう。

このほかにも、「会社の方針だから」「上がこう言っているから」など、自分は納得していないことを部下に言い訳するばかりで、組織に与えられたミッションを現場の状況に合わせた指示に落とし込めない上司や、どんな仕事でも受けてきて部下に振るだけのムチャブリ上司などもいるようです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

理不尽な上司に振り回されない対処法

理不尽な上司に腹立たしさは募るかもしれませんが、避けたいのは感情をぶつけて対立してしまうことです。より上司との関係性が悪化し、仕事がしづらくなりかねません。また、相性の問題で、周囲の人以上に理不尽に感じてしまう可能性も頭の片隅に入れたうえで、いくつかの対処法を取ってみましょう。

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距離を取る

理不尽な上司に振り回されないためには、まず、精神的に距離を取りましょう。先述したようなネーミングをつけて客観視するのも一つの方法です。また、物理的に距離を取る方法としては、仕事で必要最低限な部分だけコミュニケーションをとり、理不尽さに影響されないように担当職務に集中してもいいでしょう。

受け流す

コロコロと変わる指示やその日の気分による注意は、まともに受け止めすぎないことも自分を守る方法です。心の中でまた始まったなと思いながら、その場は納得した態度で対応しておきましょう。

上司のタイプによって、細かく報告を求める上司であれば報告だけは随時あげておく、リスクヘッジしたがる上司の場合は複数の案を提示するなど、受け流しつつ、やり方を上司の好みのスタイルにアレンジすることで、関係性が変化し、理不尽な言動が減る場合もあります。

異動があるまでと割り切る

この上司と一生付き合うわけではないと考えてみることも有効かもしれません。組織の規模にもよりますが、ずっと同じメンバーで入れ替わりがないということはありません。メンバー構成が変わることで、チームの空気も変わります。異動でどちらかが変わるまでと割り切って対応するのも一つの方法です。

冷静にたずねる

感情的になって理不尽な言動をする上司に対して、感情的になって対応しても何も生まれません。まずは上司の話を聞いたうえで、「締め切りが急に前倒しになったのは、何か事情がありますか?」「今回は、B社の事案を最優先にしてよいということでしょうか?」など、質問の形で冷静にロジカルに確認してみてもいいでしょう。

感情的になりがちな上司に論理で対抗しすぎると、「自分の矛盾を突かれた」=恥をかかされた・プライドを傷つけられたと受け止められかねないので、相手が感情を吐き出して落ち着いてから、冷静に話してみましょう。

上司の成長を見守る

理不尽になってしまうのは、上司としての能力・スキル不足が根底にあることも少なくありません。中間管理職としての経験がないので、仕事の目指すべきゴールや判断基準に自信が持てない上司もいるでしょう。

自信がないから言うことがブレてしまう。言うことがブレるから部下から信頼されないという悪いループです。経験を積むことで上司自身も成長し変わっていく部分があることも、心に止めておきましょう

気分転換をする

職場という限定された環境の中で、上司との関係に悩み始めると、そこから抜け出しにくく、自分の考えや視野も偏ってしまいかねません。お気に入りのカフェや、居心地のいい公園、思い切り汗を流せるサウナやジム、趣味の時間など自分にとってのサードプレイスとなる空間をもって、気分転換を図りましょう

気持ちをリフレッシュすることで、気にするほどたいしたことではなかったと思えたり、冷静に考えたら、「上司の言い方は厳しいけれど、プロジェクトの目標達成には必要なことだったのかも?」と振り返ったりできるかもしれません。

学びの対象にする

手に負えない上司に対しても、「理不尽な人への対処法を学ぶ場」「スキルアップの場」として前向きに捉えられる人もいるでしょう。それは難しいとしても、上司の嫌な点や問題だと感じる言動を記録しておくことはできます。

それらを、将来自分が上司になったときや転職したとき、社外活動などでも、「周囲の人に対してしないこと」として意識することで、よりよいリーダーになれるはずです。

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我慢できないときは身を守ろう

ただし、悪質な言動を繰り返す上司や明らかに敵意や悪意を持って接してくる上司など、我慢できないときは、自分の身を守りましょう。

上司や人事に相談する

一人で抱え込まず、同じ組織やチーム内の先輩・同僚に相談をして対応策を一緒に考えてみましょう。周囲と状況を共有することで心の負担が減らせます。

また、心身へのダメージが大きいときなどは、信頼できる他部署の上司、斜め上の位置関係にいる人に相談したり、人事に相談したりしてみましょう。仕事内容への注意ではなく人格攻撃や、セクハラ、パワハラと感じることがあれば、メモを取るなど記録に残すことをおすすめします。

部署異動願いや転職を検討する

理不尽な上司と仕事をすることに対するストレスが大きく、仕事のパフォーマンスやキャリアにも影響がでそうな場合は、社内異動で環境を変えることも考えましょう。組織が小さくて異動できない、異動しても大きく変わらないなど等の場合は、転職も視野に入れてもいいかもしれません。

粟野友樹氏組織人事コンサルティングSeguros
代表コンサルタント粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

取材・文:中城邦子 編集:馬場美由紀
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