デキる人は持っている!「自己否定」力とは?ーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー(→)。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい奥深い一言をピックアップして解説します。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「健全な自己否定力を身につけ、常に手段ではなく目的を達成させる」

(『インベスターZ』第8巻credit.65より)

大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

「時には自己否定をすることも必要である」

夏休み中、軽井沢で開かれる3泊4日の投資部の合宿に参加することになった財前。この夏合宿は毎年、歴代OBも参加する伝統行事であり、現役生を心身ともに鍛えることを目的に行われます。先輩の渡辺に「覚悟しておけよ」と脅かされる財前。

合宿当日。合宿所に到着した部員たちが通されたのは、麻雀台が並ぶ部屋でした。「麻雀三昧」と聞いて財前は大喜びです。しかし、翌日からOBによる本格的なしごきが始まります。朝5時に起きてマラソン、その後で腕立て50回、腹筋100回。9時より現役生による投資の運用状況に関する報告。現役生は、この1年で資産を18%増やしていましたが、OBによる罵倒としごきが続きました。

成績優秀な財前にとって、頭ごなしに怒鳴られるのは堪え難いことでした。しかし、OBたちからの責めを受け続けているうちに、何となくこの合宿の意味がわかってきました。財前は「この合宿は、学生の身でありながら、巨額のお金を運用することによって生まれてくる優越感を諌めるためのものなのではないか」と思うようになっていました。この合宿を通じて、正しく自己否定をすることの重要性に気がついたのでした。

人は、他人から否定されるのが怖い

世界的な名著『7つの習慣』の中で、著者のスティーブン・R・コヴィー博士がこう書いています。「人は誰でも、自分のことをわかってもらいたいと思っている」、と。これは裏を返すと、たいていの人は「自分は他人から理解されていない」と感じている、ということでもあります。

もともと、人は自分はもとより、他人からも否定されることが怖いものです。それは、人間が社会性の動物だからなのかもしれません。みんなと同じ行動をしていれば、確かに安心感は得られるでしょう。けれどそれはほとんどの場合、成功から遠ざかるに等しい行為です。

人が他人と違う行動を起こすには、勇気が要ります。みんなと違うことをしようとすれば否定され、失敗すれば嘲笑され、突出した成績を残せば嫉妬を受けます。ということは、周りからこれらの反応がなければ成功に近づいているとは言えない、ということになります。

©三田紀房/コルク

成功したいと思いながら、そのための行動を採れない理由

「他人から否定される」とは、たとえば仕事であれば「上司に叱責されるかもしれない」「得意先からクレームが入るのではないか」等々。せっかくいいアイデアが浮かんでも、こうしたことが怖くて行動することを躊躇してしまった結果、挑戦できずに終わる人の、何と多いことでしょうか。

もちろん、他人から批判されて平気な人などいません。かくいう私もその1人でした。かつて、私がサラリーマン時代に社内ベンチャーを立ち上げた際には、歴史ある老舗企業の中にあって、それこそ社内中からいろいろ言われたものです。しかし事業のためには、めげてもいられません。そうした言葉にいちいち反応していては身が持たないため、私はある方法を思いつきました。

それは、企画会議やプレゼンテーションを行う際に、前もって「相手がどういった点を突いてくるか?」ということを想定し、そのための答えを準備して臨むようにしたことでした。要は、あらかじめ自分で自分の意見に徹底的に反論したのです。この準備を繰り返すことによって、相手から突っ込まれても怯むこともなくなり、精神的な余裕すら持てるようになりました。

あらかじめ持論に反論しておけば、反対意見も怖くない

「自己否定」と言うと、あまり良くないイメージをお持ちかもしれませんが、先に自分で自分にツッコミを入れておくと、持論の弱点を補強できたり、他人の目線が怖くなくなったり等の効果が期待できます。

人は、何か心に不安を感じた時、とかくそれを見ないようにしたり、隠そうとしたりしがちです。けれど、そうした不安をごまかそうとするのではなく、むしろ「向き合う」ことが大切です。一例を挙げると、私はサラリーマン時代に社内ベンチャーのアウトレット流通チェーンを経営していた際、スタッフにはその商品のマイナスポイントこそ顧客に説明するように指導していました。

実のところ、顧客は意味もなく安いものに対しては警戒心を持ってしまい、かえって売れません。だから、きちんと値段が下がっている理由を明確に説明させました。
たとえば、傷が入っている箇所を指し示すと、「こんな傷くらい使ってたら直ぐにつけてしまうから」とおっしゃることも多く見受けられました。
つまり、顧客本人が気にしないマイナスポイントであれば、そこをご納得いただくことで、それ以降は自然とプラスポイントに目がいくようになるのです。

マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス 第50回

俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン(→)』および『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?(→)』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」(→)』を上梓。著作累計は42万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

俣野成敏 公式サイト

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