「0→1」のビジネスを生み出すメンバーが語る、LINEが金融事業に取り組む意味とは?

国内有数のネット関連企業であるLINE。同社が2011年から展開するコミュニケーションアプリ「LINE」のアクティブユーザー数は、実に7500万人以上(2018年3月現在)。LINE GAMEやLINEマンガ、アルバイト求人情報サービスのLINEバイト、モバイル送金・決済サービスのLINE PayなどLINEと連携したアプリケーションも幅広く展開しています。

現在LINEは「0→1」の最中にある事業を生み出したり、さらなるグロースを目指している事業も多数存在します。そこで、LINEのさまざまな事業において活躍する若手ビジネスパーソンにインタビューし、同社の多面性と成長力を紹介します。

シリーズ第1回目の今回は、LINE Financial株式会社の立ち上げから携わり、金融事業領域で活躍する2人に、彼らの仕事ぶりや、日々感じているやりがい、醍醐味、そしてLINEが金融事業に取り組む意味についても語っていただきました。

LINEのプラットフォームで金融サービスが抱える課題を解決したい

LINEは近年、金融事業に力を入れている。
2014年12月にサービス開始したLINE Payは、全世界での年間取引高が4500億円を突破、登録ユーザー数も4000万人を超えるまでに成長している(2018年1月現在)。

2018年に新しく設立されたLINE Financialでは、仮想通貨関連事業、証券、ローン、保険、家計簿など、LINE上でさまざまな金融関連のサービスを提供する準備を進めている。また、ブロックチェーン技術などの研究開発を推進し、ユーザーにとって便利で、安全な金融サービスの提供を目指しているという。

このLINE Financialの構想から関わり、立ち上げを担ったのが川崎龍吾さんだ。昨年10月、新会社設立のための市場調査や企画のドラフト作りなどを担うメンバーとしてプロジェクト入り。当時のプロジェクトメンバーはLINE Pay株式会社 代表取締役CEOの高永受氏とLVC株式会社 取締役であり、仮想通貨のPMを担当している朴程園氏の3人だけ。社内でも秘密裏に立ち上がり、LINEのトークルームを作ることからスタートした。

LINE Financial株式会社 プロジェクトマネジメントチーム 川崎龍吾さん

2015年10月新卒入社。大学在学中に、ミャンマーで求人サービス・ニュース翻訳サービスの事業立ち上げを手掛ける。入社後はアルバイト求人情報サービス「LINEバイト」の企画を経て、現在はPMとして金融事業の新規サービス立ち上げに従事。

「それまではLINEバイトを担当していて、金融に関する知識は全くありませんでした。多くの20代の若者と同様、資産運用に興味もないし、やり方もわからない。でも別にそれで不都合はないし、特に問題意識も持っていませんでした。しかし市場調査をしてみると、日本の金融サービスに欠ける課題が見えてきたのです。

日本は海外諸国に比べて世帯別収入の伸び率が格段に低いといわれていますが、それは資産運用をしている人が少ないことがひとつの要因として挙げられます。周りにやっている人がいないし、知る機会もないからやっていない…という人が非常に多いのです。

この課題は、LINEのプラットフォームを使えば解消できるのではないか、と考えました。LINEはコミュニケーションの再設計が得意だし、ユーザーごとのデータも蓄積されています。

例えば、LINE上で審査して、証券口座を開設したり、取引を始めたりするのも可能だろうし、『友人が資産運用を始めたから自分もやってみる』なんてコミュニケーションを促すこともできる。人とお金の距離を縮めるために、やれることがたくさんありそうだと感じました」

8,568通り、あなたはどのタイプ?

稟議や決裁はナシ。LINEトークルーム内ですべてが決まるスピード感

とはいえ、金融領域は他の事業とは異なり規制が厳しく、対応しなければならない法律も多い。

LINEの従来の事業立ち上げ方法は、ユーザーが求めるサービスをまずは作ってみて、ユーザーの反応を見ながら修正しグロースさせるというやり方。しかし、個人の金融資産を預かる以上、社内のセキュリティ体制やリスク管理体制もこれまで以上に整備しなければならない。業法や金融庁の指導に対応しながら、LINEならではのスピード感を実現するのは難易度が高かったという。

「ただ、社内の意思決定の早さに救われました。例えば、AかBかの判断に迷ったときに上司にLINEで相談すると、即返信が返ってくるのですぐに前に進めます。必要性のない稟議や決済などは一切ありません」

LINEでは、各事業領域においてパートナー企業と業務提携しながら、事業拡大を進めている。例えば、LINE Financialにおいても各事業領域でパートナー契約を結んでいる。証券・投資の領域では野村ホールディングスやFOLIO、保険分野では損害保険ジャパン日本興亜、justInCaseといった具合だ。

「パートナー企業はいずれも既存の歴史ある金融機関ばかりですが、当社のスピード感を最大限尊重してくれているのがありがたいですね。人と金融の距離を縮めることに一緒にチャレンジして、市場を変えていこうという大きなビジョンを共有し合えているからこそ、どのパートナー企業も前のめりに取り組んでくださっています」

8,568通り、あなたはどのタイプ?

ゼロからのスタートだからこそ、ユーザーのことだけを考えられる

そんな中、2018年3月にLINE Financialにジョインしたのが谷口裕明さん。今までのキャリアは金融畑一筋。地銀、ネットバンクで主に信用リスク管理を手がけてきた。

LINE Financial株式会社 金融事業開発部 谷口裕明さん

地銀、ネットバンクにおいて主に個人向け住宅ローンの信用リスク管理、デフォルト予測モデル構築、運用などを担当。2018年3月にLINE Financialに入社し、新規金融事業開始に向けた業務フロー設計、システム要件定義、信用評価モデル構築のフォローアップやパートナーとの折衝などを行う。

LINE Financialに転職を決めたのは、今まで培った金融に関する知識がフルに活かせることと、7500万人超ものLINEユーザーのデータを活用・分析できることに魅力を感じたからだ。

金融機関はどうしても、稟議や決裁に時間がかかるため、「もっとスピード感を持って仕事をしたいと思っていた」と語る谷口さん。しかし入社してみて、予想していた何倍ものスピード感で物事が進んでいくことに驚かされたという。

「仕事の進め方も全然違いました。銀行時代は何をやるにしても何人もの上司に稟議を通さねばならなかったのですが、今ではLINEのトークルームで完結します。そして、まずはユーザーが本当に求めているものは何かを徹底的に考えるのが先で、現状の法規制下で実現できるかどうかはその後に考える。ユーザーファーストの考え方が全社員に浸透し、徹底されているのです」

谷口さんは、一人ひとりの守備範囲の広さにも驚かされたと語る。

「もともとLINEはこの傾向が強いですが、このプロジェクト自体が新しいのでまだ人も少ないため、責任の範囲がとても広いのです。銀行時代は役割分担されていて、自分のやるべき範囲が明確に決められていたため、転職した当初は驚きました。しかもスピード感も全然違う。はじめはついていくのに精一杯でしたが、まさに自分が求めていた環境であり、今ではやりがいを感じています」

なお、現在2人が注力しているのは、信用評価システムの構築を目指した「LINE Credit」。現在、サービスの内容や業務提携先の選定を行っている最中だ。

「2006年の貸金業規制法の改正による総量規制を機に、消費者金融の勢いが衰え、銀行系カードローンの勢力が増しています。一方、足元では個人の自己破産件数が増えているという現実もある。つまり、ローンマーケットは活況のようでいて、ユーザーにとって望ましい環境とはいえない、と考えています。

我々はゼロから始めるからこそ、ユーザーメリットのことだけを考えられるのが強み。例えば、LINE上で審査を行い、借りて返す。そして通知はBOTで来る…など、LINEのプラットフォームを最大限活用し、ユーザーにとってもっと便利で安心できる金融サービスが構築できないか、日々考えています」

「人と金融」の距離を縮めて、日本人の金融リテラシーを底上げしたい

現在、LINEが掲げているミッションは、「CLOSING THE DISTANCE」。人と人、サービス、企業などいろいろな距離を縮めることをさらに追求する姿勢を示している。

川崎さん、谷口さんは、金融においてこの「CLOSING THE DISTANCE」を実現しようとしている。多くの人が「一見難しい、とっつきにくい」と感じる金融との距離を縮めることに、使命感を覚えていると決意を語る。

「他国に比べ、日本人の金融リテラシーは低いと言われています。ローンや資産運用に対するイメージも、あまりいいとは言えません。LINE Financialのサービスは、金融に対する人々のイメージを変え、リテラシーの底上げを担えると思っています。これからも『LINEだから、できること』を追究し、今までにないユーザー体験を提供したいと考えています」

「日本においては、金融資産額の世代間格差が広がっています。若年層の金融に関する知識が不足しているのが要因の一つですが、その若年層に浸透しているのがLINEの強み。LINEを通じて、金融って身近なものなんだ、資産運用って楽しいんだと感じてもらい、旅行の期間だけ保険に入っておこうかな、など気軽に金融サービスを活用してもらうための窓口になれればと思っています。

そしてゆくゆくは、“LINE Financialのサービスを使うことが当たり前”の世の中にしたいと考えています。LINEならではのキャラクターコミュニケーションやチャットボット(Chatbot)の活用など、LINE Financialにはたくさんの可能性があるはず。チャレンジングなビジネスの最前線にいられることに、何よりのやりがいを感じています」

■この企業の求人をみる
※求人が掲載されていない場合がございます。予めご了承ください。
LINE株式会社

■関連する業界の求人を見る
IT・通信系ソフトウェア・情報処理

取材・文:伊藤理子 撮影:刑部友康
PC_goodpoint_banner2

Pagetop