目に見えるものが全てとは限らない…その意識が「人」を「会社」を成長させる“大原則”ーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』の第14回目です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、読むリラックスタイムですら学びの時間に変えることができます。私が強くお勧めする選りすぐりのマンガの名シーンの1コマを解説することで、より多くの方に名作の良さを知っていただけたら幸いです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「身近な生活産業の中にも、いきなり価値が10倍になる企業もある」

(『インベスターZ』第3巻credit.18より)

大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

投資は、私たちの生活と隣り合わせで存在している

道塾学園の創設者・藤田金七(かねしち)の玄孫(やしゃご)・美雪は、道塾学園の投資部に対抗して、自ら女子投資部を設立します。メンバーは美雪の他に、友人の町田倫子(のりこ)と久保田さくらの3名です。

9歳の時から投資を始め、すでに個人資産2000万円を所有している美雪は、投資初挑戦の2人のために、株式について説明します。「実は、株とは意外に自分たちの日常生活に密着している」のだと言う美雪。「企業を運営していく上で、必要とされるお金を調達する方法は主に2つ。銀行からの借り入れか、株式を発行し、それと引き換えるかのどちらか」だと話します。

美雪は、「IT企業やベンチャー企業でなくても、身近な企業の中には数年で価値が10倍になったものもある。投資家になるとは、そういう企業を探して、出資者になることだ」と説くのでした。

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新規需要を掘り起こせば、市場が活性化する

物語の中で、「5年で価値が10倍になった企業」として紹介されているのがメガネチェーン店「JINS(ジンズ)」を展開する株式会社ジンズです。JINSを一躍有名にしたのは、2011年に「JINS PC」というパソコン用のメガネを発売したことでした。これは、人間の目では捉えられないブルーライトをある程度カットできる、というメガネです。

このメガネのすごいところとは、「これまでメガネの需要がなかったところにも、メガネの需要を幅広く認識させた」ことでした。従来のメガネは「目が悪い人がかけるもの」でしたが、パソコンが「一人一台」の時代を迎える中で、JINS PCの登場が、新たな需要の掘り起こしにつながったワケです。

そもそも商売とは、顧客がいて初めて成り立つものです。商売と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、基本的に、販売方法のアプローチは2つしかありません。それが、

(1)違う顧客に同じものを売る
(2)同じ顧客に違うものを売る
この2つです。

同社は他にも「JINS花粉Cut」「JINS MOISTURE」などを発売しており、こちらもヒット商品となっているようです。

業界にこだわらず、門戸を広く取る

上記の販売方法について、もう少し補足をしておきましょう。

(1)の「違う顧客に同じものを売る」という方法は、主に新規顧客向きの方法です。相手を替えることによって、同じ商品を使い回すことができます。デメリットは、顧客が固定化するための仕組みを別途、必要とすることです。

(2)の「同じ顧客に違う商品を売る」場合、基本的には継続が前提になっているでしょう。万一、商品にリピート性がない場合は、定期的に新たな商品を投入していく必要があります。

私の事例をお話しますと、金融の専門家とタッグを組んで、「一般社団法人日本IFP協会公認マネースクール(IMS)」という、各々のマネープランの策定から実現までをサポートする社会人向けの学校を運営しています。受講生の方は、たいてい無料メルマガや有料メルマガ、または書籍などを通じて学校の存在を知り、申し込んできますが、面白いのはその流入経路です。

私は『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』(共に、日本経済新聞出版社)という書籍を出版していますので、そこからマネースクールにお申し込みいただくパターンがもっとも多くなっています。ところが、中にはまったく違ったカテゴリーから私のことを知ったのをきっかけにマネースクールにお申し込みくださる方も少なくありません。
このように、自分が貢献したい相手がしっかりと見えていれば、その方々に必要な商品設計は1つではないはずですし、意外な接点が入口だったとしても、お買い求めいただけるものです。

新たなビジネスチャンスを見つける自問自答とは

今回は、かなりビジネス寄りのお話になりましたが、この原理を知っておくと、いろいろなことに応用可能なのではないかと思います。

ジンズが見つけたようなビジネスチャンスは、それぞれの業界で、まだまだ眠っていると考えられます。あなたもよかったら、ぜひ「いま自社商品を“絶対に必要としていない人”にも購入してもらうには、どうしたらいいだろう?」と自問してみることをオススメします。

ビジネスのアイデアが次から次に湧き出すヒントをもっとお知りになりたい方は、拙著『一流の人は上手にパクる~仕事のアイデアがわいてくる大人のカンニング』(祥伝社)http://www.matano.asia/cunning/ をぜひご一読ください。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は40万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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