【2016年中に導入が義務化】ストレスチェック制度の内容とは?

 平成27年12月1日から労働安全衛生法に基づいて「ストレスチェック制度」が施行されました。特定の企業は厚生労働省によって、平成28年11月30日までに労働者に対してストレスチェックを実施することが義務付けられています。近年、仕事や職場環境が原因とされるメンタルヘルスの不調を訴える労働者が増加し、その対策が課題になっています。今回はストレスチェック制度の中身と、その活用法についてご紹介します。

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ストレスチェック制度とは?

 ストレスチェック制度とは、強いストレスが原因の精神障害などで労災認定される労働者の数を削減することなどを目的に制定されました。

●ストレスチェック制度の概要と目的

 ストレスチェック制度とは、労働安全衛生法の一部改正に伴って新たに創設された制度です。具体的には「労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)」「労働者自身のストレスへの気づきを促す」「ストレスの原因となる職場環境の改善を促す」という3つの目的を達成するために、ストレスチェックや医師・専門家による面接指導が行われます。労働者数が50人以上の会社に対して年1回の実施が厚生労働省によって義務付けらている一方、労働者数が50人未満の会社に対しては「努力義務」となっています。

●導入の背景

 厚生労働省の「平成24年 労働者健康状況調査」によると、仕事で強い不安や悩み、ストレスを感じていると答えた人の割合は60.9%にのぼっています。平成19年の前回調査より2.9ポイント上昇しており、原因は「職場の人間関係」と答えた人が最も多く41.3%、「仕事の質」が33.1%、「仕事の量」が30.3%という順でした(複数回答)。また、平成25年度の精神障害の労災請求件数は1409件と、過去最高を記録しています。
自殺者の多さも背景のひとつとなっており、内閣府の統計によると平成27年の自殺者は約2万4000人。このうち28.2%が「被雇用者・勤め人」です。また、年齢別で見ると、働き盛りの40代・50代で33.5%を占めています。

 こうした事態を防ぐには、企業のメンタルヘルス対策が急務であるとの認識が広がり、ストレスチェック制度が創設されました。

どうやって検査する?ストレスチェックの手順

 ストレスチェックはどのように行われるのでしょうか?具体的な手順をご紹介します。

●調査票の記入

 ストレスチェックは、調査票の質問に労働者が回答する形で行われます。調査票では「最近1カ月の状態(体調)について」や「職場や家族との人間関係について」など、ストレスに関する質問がされ、回答結果を分析して個人のストレス状態について調べます。

●ストレス状況の分析・評価

 回収した調査票を分析し、ストレスの程度を評価します。評価方法や基準は「実施者」によって異なります。実施者は「医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士」の中から選ばれます。それをもとに自覚症状が高い人や周囲のサポート状況が足りない人が総合的に判定されます。実施者は個人が特定されないよう、部署ごとに集団分析し、その結果を会社に提供します。

●ストレスチェックの結果を本人に通知

 ストレスチェックの結果は実施者から労働者本人へ通知されます。つまり、結果については会社へ提供される「集団分析」と「本人への通知」の2種類あるということです。会社に対して個人の結果が通知されることはありません。会社側が結果の通知を受けられるのは、労働者が同意した場合のみです。

 高ストレス者と判断された労働者は、医師による面接指導を受けることができます。面接指導の結果、何らかの対処が必要と判断された場合は、症状に応じてさらに専門医を紹介される場合があります。

●会社側が必要な措置を行う

 会社側は、高ストレス者に対して必要に応じて「作業担当を変える」「労働時間を短縮する」など就業上の措置を講じます。また、会社側は主に、以下の行為が禁止されています。

  • 「医師の面接指導を受けたい」と申し出た労働者に対し、不利益な扱いをすること
  • ストレスチェックを受けようとしない労働者に対し、不利益な扱いをすること
  • 面接指導の結果をもとに解雇や雇い止め、不当な配置転換などを行うこと

ストレスを溜めないために!普段からできる対処法

 ストレスをなるべくためないために、普段からどんなことに気を付ければ良いのでしょうか?効果的なストレス解消法をご紹介します。

●悩みを打ち明ける

 愚痴も弱音も吐かずに自分の中に溜め込むタイプはストレスが溜まりやすいと言われます。家族や信頼できる人に話を聞いてもらい、ストレス解消を図りましょう。また、「悩みを聞いてくれる相手がいない」「誰に相談していいかわからない」という人は、溜まったものを紙に書き出すことでも、一定のストレス解消効果があると言われます。

●涙活(るいかつ)

 泣くことがストレス解消に効果があるという研究結果があります。それは、ストレスが溜まると高い値を示す「コルチゾール」という副腎皮質ホルモンが、涙と一緒に流れ落ちるためだと言われています。意識的に泣くことでストレス解消を図ることは「涙活」と呼ばれ、ストレス解消のひとつの手段です。

●笑う

 笑うことで緊張がほぐれてリラックスできる効果あると言われます。体を休めているときに働く副交感神経が笑うことで優位になるからです。逆に、休みも取らずに働き、いつもピリピリしている人は交感神経が優位な状態が続いているため疲れやすいのです。ちょっとした時間にお笑い番組を見たり、心の置けない友人と他愛のない会話で笑うことで、心が安らぐでしょう。

●適度な運動をする

 適度な運動は心と身体をスッキリさせます。軽く体を動かすと、脳内に「エンドルフィン」という神経伝達物質が分泌され、気分が高揚したり幸福感をもたらすとも言われています。ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、うつ病の予防法として医師も推奨しています。

 ストレスチェック制度は、労働者数50人以上の企業に年1回の実施が義務付けられていますが、労働者は必ず受けなければならないわけではありません。本人へ通知されるストレスチェック結果には、ストレスに対するセルフケアのアドバイスなども記載されています。ストレスの自覚症状がなくても、静かにストレスが溜まっている場合もあるため、ストレスチェック制度を利用しながら日頃からストレスを発散し、不調を未然に防ぐライフスタイルを心掛けましょう。

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