スゴイ仕事を成し遂げるために、普段実践していること-野呂エイシロウ×奥田浩美対談

 スゴイ仕事を成し遂げている人たちは、最初から成功しているわけではありません。当然のごとく、多くの失敗と成功を繰り返し、その経験から得たノウハウを実践して次のチャンスをつかんでいます。

 

 今回は「天才・たけしの元気が出るテレビ」でデビューし、「ザ!鉄腕!DASH!」「特命リサーチ200X」「奇跡体験!アンビリバボー」などのヒット番組の放送作家として活躍する野呂エイシロウさんと、のべ動員数10万人以上、数億円規模のIT業界イベントをいくつも成功に導き、「IT業界の女帝」と称される奥田浩美さんが、自分の強みを活かして仕事をするために、日々実践していることを紹介します。

▲お二人の対談トークショーは、野呂さんの『ネクタイを毎月3本買う人はなぜスゴイ仕事ができるのか』(祥伝社)、『好かれるのはどっち! ? 』(総合法令出版)、奥田さんの『会社を辞めないという選択』(日経BP社)、『人生は見切り発車でうまくいく』(総合法令出版)、『ワクワクすることだけやればいい!』(PHP研究所)というそれぞれの新刊を記念して、天狼院書店で開催されました。

苦手な人の「ここだけは許せる」を探す

 仕事で誰しもが抱えているであろう大きな悩みといえば、職場の人間関係。苦手な人と仕事をすることになったときに、野呂さんは自分と違う考え方や自分にはできないことができるなどの長所を探すそうです。それはどんなに小さいことでもいいのだとか。

野呂例えば、苦手な上司が大好きな女優の遠い親戚だったとします。どんなに嫌いな上司でも、その女優さんに会えるかもしれないと思えば、それだけで仕事が頑張れます。苦手な部分が1個あると全否定しちゃうのではなく、1万分の3くらいでも自分に合う部分があったら許しちゃう。同じ誕生日・血液型・DNAを持つ双子だってケンカすることがある。世の中まったく自分と合う人間なんていないんだから。

奥田:自分のやりやすい人とだけ仕事をするよりも、自分にできないことができると人と仕事をしたほうが幅も広がるし、成長につながるはず。そもそも自分とまったく同じだったら、他人と一緒に仕事をする意味がないですものね。

▲【野呂エイシロウさん】放送作家・戦略的PRコンサルタント

目標を口にし、できなければ“正しく”悔しがる

 奥田さんはこれまで、1000人くらいのスタートアップ企業の経営者の背中を押してきましたが、彼らに共通するのは「必ず目標を口にしている」ことだそうです。一方、野呂さんは目標を達成できなくて悔しがることも大事だし、達成できなかったことをうまく忘れて、うまく学んでいくことが大切だと言います。

野呂僕はよく悔しがるんです。隣の人が自分より高いうなぎを頼んだことにすら、悔しがったりする(笑)。昔は悔しくて寝れなかったこともよくありました。でも、ただ悔しがっているより、その相手から学んだほうが成長できる。だから僕は仕事や考え方だけでなく、自分が一流だと思った人の服装や持ち物、それこそ接待で使うお店やクルマまで真似たりします。自分の目標とする人のいいところを吸収したほうが、結果が出るんですよね。

奥田:素直に学んだもの勝ちですよね。成功でも失敗でもそのパターンを1個より100個集めたほうが絶対強い。悔しいとかうらやましいと感じるのは、自分が心の底でそうなりたいとか、こうやりたいと思っているから。それに気づいて自分に足りないものをどう補うことができるかを考えられるかが重要だと思います。

 ちなみに、私もよく悔しがってます(笑)。過去や現実に起きたことは気にしないのですが、周りに評価されてるのに自分がイケてないと感じたときは、悔しくてずっと泣いてます。これまで苦労や挫折も経験してきたし、よく泣くし笑います(笑)。でも、喜怒哀楽の総量が多いほうが、人生面白いじゃないですか。

野呂:コンプレックスを持っていることは、強みにもなります。「野呂さんの企画って通る確率が高い」ってよく言われるんですけど、僕の提案が通るのは2%くらい。でも人の100倍くらい提案しているから、採用される数は多くなる。だから傍からは成功していると見られているけど、自分では仕事の9割は失敗だと思ってます。

▲【奥田浩美さん】株式会社ウィズグループ 代表取締役。株式会社たからのやま 代表取締役。

自分が「ビリ」でいられる場所に身を置き、自分を磨く

 一流企業の経営者たちは、自分の弱みを克服するために努力を欠かさないといいます。お二人が普段意識して行っていることの一つとして、自分が居づらい場所に身を置くことなのだとか。それは、居心地のよいところに身を置くよりも、自分とは違う考え方や経験をしている人たちとの交流が、自分を成長させると考えているから──

奥田人間は誰にでも弱いところはあります。私は仕事柄、誰もが知っているような経営者たちが講演に立ち合うことが多いのですが、彼らも舞台に上がる前に震えているのをよく見ます。 夜中に何度もリハーサルを繰り返し、練習をする経営者もいます。

野呂僕が知っているそうそうたる経営者たちも、講演を何度も練習しますね。200回くらい練習する人もいる。PRコンサルタントとして、服装や原稿を何度もチェックすることもしょっちゅうです。一流の経営者たちのそうしたシーンをよく見るからかもしれないけど、僕も常に努力し続けたいから、自分が一番下にいるように努力している。若手に自分がすごいって自慢話をするより、自分がビリでいられるような環境に身を置いてるほうが学びがあるし、楽しいじゃないですか。

奥田私も自分が居づらい場所に、なるべく行くように努力しています。自分が違和感を感じたところは、まだまだできてない部分なので、克服していきたいって思う。

野呂自分の言うことが受け入れられない、アウェイな環境は大事ですよね。居心地がいいと、どうしても驕りが出るから。

「また会いたい」と思わせる会話をする

 よく仕事と恋愛の戦略は同じだといいますが、お二人が心がけているのは、ビジネスの相手から次も会いたいと思わせる会話術だそうです。

野呂初めてのデートなのに、「子どもは何人欲しいですか?」とか、「マンションと一戸建てはどっちがいいですか?」とか聞いてる人、たまにいますよね。いかに次のデートにつなげるかのほうが重要なのに、どうでもいい世間話しかしないのはダメ。これは仕事でも言えることだけど、「コイツの話をまた聞きたい」って思わせる話をしなくちゃ。

奥田シンデレラの靴は、探してもらえるように落としたという人がいるけど、まさにその通り。相手が追いかけてくれるように仕掛けるべきなんですよね。(こちらの手のうちを)いきなり全部を出しきってはいけないし、相手をまた会わなきゃと思うくらい欲求不満にさせる。例えば「あなたには、かわいさがあるよね」とだけ伝えて、「なぜ」「どこが」かわいいかは言わない。相手はなぜそう言われたのか、気になって仕方なくなります。また、相手の一番いいところを見つけて褒め続けていると、その人はだんだん自分に褒められるように行動してくれる。これはマザー・テレサの考え方で、私は実際にそうした訓練も受けています。

夢は、朝の連続ドラマの原作テーマになること!

 数々のIT系コンファレンスを成功に導き、1000人以上のスタートアップ企業経営者たちの背中を押してきた奥田さんの歩んできた人生をを題材に、朝の連続テレビ小説の原作を書いてみたいという野呂さん。そのリクエストに対し、朝の連ドラになることは自分も夢だと思っていると奥田さん。でも、それは今ではないと言います。

 その理由は、「成功したいいところだけを伝えてもダメ、苦労したかっこわるいところも含めて語り継がれないとドラマにならないじゃない。私は今50歳ですが、今がスタート時点だと思ってます。まだまだやりたいことがあるし、死ぬまでやり続けて全部やりきったら、次の世代に私の生き方を伝えられると思うから」。

 中学3年生で鹿児島市内の家に、中学校1年の妹と2人、子供だけで住むよう父親に言い渡され、父親の給料がそのまま入れられている銀行のキャッシュカードが渡されたという奥田さん。常に一流の経営者や成功者を手本にし、自分を「かっこよく」磨く努力を欠かさない野呂さん。その波乱万丈な人生はここでは語り尽くせませんが、今回はこの辺で。お二人の著書からさらなる仕事のヒントを得ていただけると幸いです!

取材・文・撮影 馬場美由紀

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