20代で「何がしたいかわからない」…やりたいことはどうやって見つける?

社会に出て今の仕事に就いてみたけれど、何かピンとこない。でも、何がしたいのかわからない・・・とモヤモヤを抱えている人は少なくないようです。中には、本来自分が好きなこと、得意なことなども見失っている人も見受けられます。
ベストセラー『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』著者で、自身も何がしたいのかわからず悩んだ経験のある八木仁平さんに、やりたいことがわからない理由や見つける方法などを、20代のビジネスパーソン向けに教えていただきました。

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20代が「何がしたいのかわからない」理由として考えられること

何がしたいのかわからないのは多くの場合、やりたいこと探しに関する「間違った思い込み」に縛られているから。その縛りを解くだけで、やりたいことがすぐに見つかる人もいるほどです。
これからご紹介する5つの間違いに当てはまっていないかどうか、まずは確認してみてください。

間違い①一生続けられることでなければいけない

時代の変化は年々早まっており、例えばiPhoneが誕生したのはたった10年前のことです。そんな時代に1つのやりたいことに固執し続けるのはリスクでしかありません。

間違い②やりたいことを見つけた時には「運命的な感覚」がある

私の経験からも言えますが、やりたいことを見つけても最初は「ふーん、面白いかも」という興味レベルであることがほとんど。20代ならば特に、「なんか面白いぞ」と興味を持ち、それを仕事として取り組んでいく中で自ら考え成長する過程で、「これが自分のやりたいことなんだ」と感じられるようになるものです。

間違い③「人のためになること」でないといけない

どんな「やりたいこと」であっても、あなたが興味を持ったなら、同じことに興味を持っている人は必ずいます。その人たちに向けてアプローチをすることで、どんなことも必ず仕事(商売)になります。つまり、自分の「やりたいこと」をし続けた結果として、「人のためになっている」というのが、やりたいことの正しい考え方なのです。

間違い④やりたいことを見つけるには「たくさん行動する」しかない

やりたいことがわからない原因の多くは「選択肢が多すぎること」です。たくさん行動してたくさんの選択肢に出会えたとしても、その中から選ぶ力がなければ納得のいく選択をすることはできません。

間違い⑤やりたいことが仕事にできそうにないから、あきらめる

やりたいことを考える段階では、実現できるかどうかを考える必要はありません。やりたいと感じることであれば、必ず先に同じようなことを仕事にしている人が存在するので、「実現の仕方」をいくらでもマネできるはずです。「やりたいことは自分の中にあり、やりたいことの実現手段は社会の中にある」と覚えておきましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

誰でもできる!20代でやりたいことを見つける方法

やりたいこと探しは、決して難しいものではありません。私が考えた「自己理解メソッド」を活用すれば、誰でも簡単に、やりたいことを見つけることができます。

自己理解メソッドの3本柱は、「好きなこと(情熱)」「得意なこと(才能)」「大事なこと(価値観)」。好きなことと得意なことの2つをかけ合わせるだけでも、やりたいことは見つかりますが、その2つに「大事なこと(価値観)」を加えることで、自分の内側にある確固とした「本当にやりたいこと」を見つけることができます。

この3本柱をベースにした「やりたいことの見つけ方」を具体的に紹介していきましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

Step1:好きなこと(情熱)を見つける

「好きなこと」とは、興味・好奇心を感じる分野のこと。好きなことには自然と興味が湧くので、それが仕事のモチベーションになります。
次の5つの質問から、自分の好きな分野を洗い出していくといいでしょう。

●「好きなこと」が見つかる5つの質問
Q1:今お金を払ってでも勉強したいことはありますか?
Q2:本棚にはどんなジャンルの本が並んでいますか?
Q3:これに出会えて「よかった」「救われた」と思える分野、ジャンル、モノはありますか?
Q4:これまで生きてきた中で「お礼を言いたい仕事」は何ですか?
Q5:これまでの人生で感じた「世の中に対する怒り」は何ですか?

勉強したいと感じることは、あなたが今興味を感じていること。これまで読んできた本から、自分がどんなことに興味を感じるのか知ることができます。
「よかった」「救われた」と感じることは、非常に強いエネルギーを持っています。その分野を考えることで、好きなことにも気づけるでしょう。

「お礼を言いたい人や仕事」の中にも、好きなことのキーワードがあるはず。思い浮かぶ仕事や人の特徴、お礼を言いたい理由などを考えてみましょう。
「世の中に対する怒り」とは、現状に対する不満です。怒りを感じる分野を少しでも良くするために働くことが、すなわち「好きなこと」である可能性があります。

Step2:得意なこと(才能)を見つける

「得意なこと」とは、成果を出すために使える無意識な思考、感情、行動パターンのこと。ざっくり言えば「特に考えなくてもできてしまう」ことです。
無意識にやっていることに自分自身で気づくのは難しいので、次の5つの質問から洗い出していくといいでしょう。

●「得意なこと」が見つかる5つの質問
Q1:これまでの人生で充実していた体験は何ですか?
Q2:最近イラっとした、もしくは心がザワザワしたことは何ですか?
Q3:仲のいい人に「私の長所って何だと思う?」と聞いてみましよう
Q4:明日仕事を辞めるとして、「もっとやりたかった」と感じるのはどんなことですか?
Q5:これまでの人生で成果が出たことは何ですか?どうやって成果を出しましたか?

充実していた体験を思い出し、なぜ楽しかったのかを掘り下げてみると、自分の得意なことに気づくことができます。
「イラっとする」「ザワザワする」のは、自分には自然にできていることが相手にはできていないから。イラっとしたことの中から、得意なことが見えてきます。
また、得意なことは、自分にとって当たり前であることが多いので、第三者に聞いてみるのは有効。自分では気づけていない「長所」がつかめる可能性があります。

そして、今の仕事がつまらなかったとしても、どこかに楽しいと思える部分があるはず。それがあなたの「得意なこと」です。「営業の仕事は苦手だけれど、クライアントの話を聞いている時間は楽しい」のであれば、人の話を聞くのが得意だと言えます。
これまで成果が出たことを振り返るのも有効。そこにあなたの長所が必ず眠っています。

これらを通して洗い出した「得意なこと=長所」を書き出したら、中でも充実感があり、成果につながっているものに◎印を付けておきましょう。

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Step3:大事なこと(価値観)を見つける

自身の価値観を見つけるためには、以下の「5つの質問」が役立ちます。一つひとつ、先入観を持たずに答えていきましょう。その答えの中に、あなたの「価値観のキーワード」が含まれています。

●「大事なこと(価値観)」が見つかる5つの質問
Q1:尊敬する人は誰ですか?その人のどんなところを尊敬していますか?
Q2:今の自分に大きな影響を与えている出来事や経験とは?それらが自分にどんな影響を与えましたか?
Q3:今の社会には何が足りないと思いますか?
Q4:「自分って、人生で何を大事にしていそうかな?」と周りの人に聞いてみましょう
Q5:自分の子どもを育てたり、他人に助言したりするとき、一番伝えたい行動・伝えなくない行動とは何ですか?

「尊敬する人」は上司でも友人でも漫画のキャラクターでもOK。その人を尊敬している理由に、あなたの価値観が反映されています。
今でも思い出すような印象的な経験を振り返ってみるのも有効。今ぱっと思いついた経験からどんな影響を受け、何を学んだのか考えてみましょう。
「社会に対する不満」は、何らかの理想を持っているから抱くもの。もし「高齢者に対する思いやりが足りない」との思いを抱いているならば、「思いやり」が価値観のキーワードになります。

価値観は周りの人に聞くのも有効。思わぬ自分の特徴が発見できるかもしれません。複数の人に聞き、共通項を洗い出すといいでしょう。
「子どもや他人に助言したいこと」の中にはあなたの価値観があります。伝えたくないことを書き出し、そのキーワードの反対語を考えてみるのも方法です。

さらに、これらの5つの質問から洗い出された複数の価値観を、「大切だ」と思う順にランク付けしておくと、今後の人生で迷ったときに、上位の価値観に立ち戻って考えられるようになります。

Step4:「本当にやりたいこと」を見つける

Step1~3で集めたピースを組み合わせて、あなたの「本当にやりたいこと」を決めていきましょう。下記の2段階で考えると、集めたピースを1つの形にしやすくなります。

第1段階=好き×得意で「やりたいこと」の仮説を立てる

Step1~2で洗い出した「好きなこと」「得意なこと」それぞれを並べて書き出しましょう。「得意なこと」は◎をつけたものをメインにしましょう。
そして、それらを自由に組み合わせて「やりたいこと」を創り出していきます。

私の場合、好きなことは「自己理解」「ボードゲーム」「ファッション」で、得意なこと(長所)は、「新しいことを学び続ける」「納得できる戦略を立てられる」などがあります。これらを組み合わせていくと、以下のような仮の「やりたいことリスト」をリストアップすることができます。「どうせなれっこない」などと否定せずどんどん書き出してみましょう。

・「自己理解」×「新しいことを学び続ける、情報を整理して体系立てて説明する」=自己理解を体系立てて伝える人
・「自己理解」×「納得できる戦略を立てる」=ビジョンの実現をサポートする戦略コンサルタント/独立したい人向けの起業コンサルタント
・「自己理解」「ボードゲーム」×「新しい事業を立ち上げる」=教育系のボードゲームをどんどん作る人
・「ファッション」「自己理解」×「ワクワクするアイディアを考える」=ファッションデザイナー

「仕事の目的」で「やりたいこと」を絞ると、「本当にやりたいこと」が洗い出される

Step3の「大事なこと(価値観)を見つける」作業で、複数の価値観がリストアップされたと思いますが、改めてその中から「仕事を通じて周りの人や地域、日本、世界へと広めていきたいとウズウズするような価値観」を洗い出してみてください。その価値観こそが、周囲からたくさんの「ありがとう」をもらえる、あなたならではの「仕事の目的」です。

そして、この「仕事の目的」と、第1段階の好き×得意で得られた「やりたいこと」がつながるかどうか、一つひとつ考え絞り込みましょう。「仕事の目的につながるやりたいこと」こそが、今後仕事として取り組むべき「本当にやりたいこと」です。

私の場合、前項で挙げた「やりたいこと」を、私の価値観の中でも特にウズウズするものである「夢中になれる人を増やす」につながるかどうかで絞り込んだところ、「自己理解を体系立てて伝えること」が最も適していると感じたため、それを仕事にしました。日々、強い使命感を持ってイキイキ働けていると実感しています。

なお、「やりたいことだけれど、仕事の目的にはつながらなかったもの」は、仕事以外の趣味やボランティアなどで取り組むと、人生がより豊かになると思います。

本当にやりたいことがわかれば、実現手段は自然と見つかる

「本当にやりたいこと」がつかめたら、その実現に必要な情報が自然と集まるようになります。どんな情報を見ていても、「やりたいことに役立つ情報はないだろうか?」と無意識のうちにアンテナが立ち、どんどん情報が集まってくるようになるのです。

「本当にやりたいこと」は自分で見つけるしかありませんが、その実現方法は社会にあふれています。職業人生が始まったばかりの20代こそ、積極的にアンテナを張り、効果的な実現手段を見つけて「本当にやりたいこと」を仕事にしてほしいですね。

 

八木仁平さん・株式会社ジコリカイ代表取締役八木仁平さん

株式会社ジコリカイ代表取締役。1993年生まれ。早稲田大学卒業後すぐに独立したものの、お金以外の働く目的を見失って鬱状態に。本当にやりたいことを見つけるため、独自の「自己理解」に取り組む。その手法を発信し始めたところ、ブログは累計2600万PV。X(旧Twitter)フォロワー数4.5人超に。著書に『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』『世界一やさしい「才能」の見つけ方 一生ものの自信が手に入る自己理解メソッド』(ともにKADOKAWA)。

EDIT&WRITING:伊藤理子

 

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