【今、気になるビジネス書の要約】『人生は見切り発車でうまくいく 完成度30%で結果を出す!スピード仕事術』

f:id:r_kihara:20150611112410j:plain

f:id:k_kushida:20150522111650j:plain

Apatsara/iStock/Thinkstock

奥田浩美氏は常に一番新しい世界を見ている。バブル期の日本で活発化していた国際会議の運営に携わり、その後ITに特化したイベントサポート事業を起業。以降、名だたるIT企業の本邦初のコンファレンスの運営を次々に手がけてきた。これが彼女がIT業界の「女帝」と呼ばれるゆえんである。

一娘の出産、子育てを経て、現在は3社目の起業を果たし、ITで地域の課題を解決するためのビジネスを走らせている。わが子の将来がより良いものになるようにという願いから、女性の労働や企業を応援するコミュニティを主宰し、IT関連会社の起業も支援しているという。

本書は、若い人たちへ贈る励ましの書だ。あたたかい心、広く世界を良くしたいという心でビジネスを行っている奥田氏のアドバイスは、優しく、力強い。現代社会のスピードにたじろぎ、なかなか動けずにいる人へ、軽やかに走りだすためのことばをくれる。   

「見切り発車」こそ、目標を達成するうえで最もスピーディーで有効な方法だと奥田氏は語る。「完璧を目指すより、まず動くものを」と、IT系ベンチャー企業の聖地、米国シリコンバレーでは言われるそうだ。完璧な計画を練り上げてから行動するより、何割か準備ができたところで発進するほうが、圧倒的に早く目標を達成できるという。

本書は6章で構成されており、見切り発車」の知恵が、1~4章と6章で語られる。5章には、「見切り発車」的にスピーディーに活動して結果を出している、5人の事例が紹介されている。要約では1~4章のものを中心に紹介した。(熊倉)

【必読ポイント!】結果を出す人の「見切り発車」とは

チャレンジすればするほど、人生は面白くなる

新しい視点とチャンスは、行動すればするほど見つかる。

「運がいい」といわれている人は、たくさん行動しているから、そのぶん幸運が舞い込んでくるということなのだ。

行動するうえでは、あえて「レールをはずれる」という覚悟も大切だ。思い切って外れることで、新しい可能性を見つけることができる。

奥田氏の場合、国内の大学を卒業後、教師になってほしいという親の期待に背き、インドの大学院へ留学したことは、レールをはずれてよかったことの一つだと回想する。異なる価値観のシャワーを浴び、資産家の元マハラジャと話したり、売春婦として売られてきた女の子たちを更生するプログラムに関わったりすることで、いろいろな考え方をできるようになった。

海外に行かなくても、体験したことのない文化や人に触れることで、新しい視点やチャンスが広がっていくだろう。行動せずに、ずっと頭の中で考えているだけでは、何も変わらない。

「かっこいい」と思えることを一番にやろう

「動け」と言われても、何をしたらいいかわからない……そんなときにおすすめなのが、「自分がかっこいいと思うこと」を考えてみることだ。

仕事で行動するか否か迷ったとき、奥田氏はそれが「かっこいいかどうか」で決めている。仕事でも人生でも、「かっこいいと思うこと」はつまり、「自分が一番やりたいこと」で、その中にこそ自分の真意が隠れているのではないだろうか。

たとえば自動車の営業をしている人であれば、「月10台売ったらかっこいい」、商品企画の仕事をしている人なら「新商品を開発して、1億売上をつくったらかっこいい」などなんでもかまわない。まずは、どんな人が「自分にとってかっこいい大人」で、どうしたらそうなれるのか、考えてみてはどうだろう。

「かっこよくなるためだったら、○○だけならできるかも」と、少しずつ、一つずつ、前向きに実行していけばいい。自分でかっこいいと思えることができたら、とてもうれしいし、きっと自信になる。

また、その中で失敗することはかっこ悪いことではない。失敗を大前提に、かっこいい順にトライアンドエラーをして経験を積んでいけば良いのだ。必ずみんなどこかで失敗しているし、失敗から修正すべき箇所が見つかるのだから。

動く「前」より動いた「後」が大事

重要なことはしっかりと考え、練ってから動くべき、と考える人もいるかもしれない。けれど、重要なことであればあるほど、じっと考えず、具体的に行動して検証していったほうがスピーディーに解決するケースが多い。

企画開発の場面では、実際にものをつくって試す方法はすでに一般的になっているが、IT分野においても、サービス自体を市場に出して反応を見ながら製品を作っていく手法が広まっている。

失敗と、その次にくる成功を想定したうえでチャレンジする、「リーンスタートアップ」という概念がそれだ。グローバル化の進んだ現在、ほとんどの製品は国外で発売することを念頭につくられている。まずシンプルなものをつくり、各国で展開していく中で、新しい仕組みを取り入れたり、必要ない仕組みを捨てたりして、その国の仕様にバージョンアップさせる。

社会では未だにそういう流れに気がつかないまま、合意を得て完全なものを出そうというやり方をしている場合が多いように見える。しかしそれでは、時代についていけなくなってしまう。職場が少しでも、「完璧を目指すより、まず動くものを」という文化を受け入れられそうな世界なら、30点くらいの出来ばえでいいので、まずは周囲に働きかけてみてはいかがだろう。その後で完成度を80点、90点と高めていければいい。

f:id:k_kushida:20150522111840j:plain

Iamnee/iStock/Thinkstock

行動するときの工夫

「捨てる」「やめる」習慣が決断を早くする

動ける人と動けない人の違いは何か。奥田氏は、「決断する力があるか否か」ではないか、と主張する。すべての決断を常に早くすべきというわけではないが、すぐに決断ができるようにするためのトレーニングは必要であろう。

決断する筋力を鍛えるためには、「捨てる」「やめる」「逃げる」といった、一見ネガティブな行動を避けるべきではない。

実は奥田氏は、15歳で自立している。父親は僻地での教育を行う教師で、父親の行く先に高校がないという事態が発生し、奥田氏と妹は子供だけで暮らすことになった。無事、高校を卒業し、親の期待通り大学の教育学部に通って教員採用試験に合格したが、すべては親の敷いたレールの上を走っただけのように感じ、そこから逃げるように海外留学をした。

だがこの「逃げる」という経験が、その後の人生の大きな基盤になった。「逃げる」という決断をしたときほど、大きな転機が訪れるものなのだ。

人が言うことを鵜呑みにしてチャンスを逃すくらいなら、やりたい方向に舵を切ろう。そのほうが、満足度が大きく変わってくる。逃げると決めたら前に逃げよう。そうすることで、自分が「かっこいい」と思う人生を歩む選択をすべきなのだ。

自分でどんどん決める覚悟で仕事をしよう

奥田氏が、米国に本社のあるIT企業と仕事をしていて感じるのは、何かを決定するときのスピードが断然速いということだそうだ。

米国で最先端を走る企業は、日本なら10人で動かしているような仕事を、有能な社員が1~2人で動かしていたりする。差が出る原因は、仕事の区切り方にもある。決定の遅い企業は「業務内容」で仕事を区切り、スピードのある企業は「決裁権」で区切っている。

担当者に決裁権がないと、顧客と盛り上がって案件を進めていても、上層部から反対されてしまったりして気勢がそがれてしまう。いっぽう決裁権で仕事がまとめられていると、部署内で担当者が決断して動かしていくので、仕事がスピーディーに流れる。

決定のスピードをあげるために、社員が上司にお伺いを立てなくてもやれる範囲を広げていくというアプローチもある。部下が、「ここまでは私の裁量で判断していいですね?」ということを打ち出していくことで、状況を変えることができるかもしれない。

壁を感じたときにどうするか?

「できないこと」より「できること」を重視しよう

『西遊記』を思い浮かべてみよう。三蔵法師は戦わないが、経典を手に入れるというゴールを掲げ、困難な場面でもそれは曲げない。一方、孫悟空や沙悟浄たちは、目の前に現れる敵と戦うことがその日その日のゴールと考えているかもしれない。

彼らはそれぞれ、持つ能力はばらばらだが、それで良い。意思統一が図れていて、それぞれが役割分担していくのが理想的なのである。物語の中でも三蔵法師だけが馬に乗り、孫悟空たちは歩いてお伴している。

わたしたちの社会に立ち返ると、「あなたは体力がないから車に乗りなさい」といっても「いえいえ、私もみんなと同じく歩きます」という風に、平等にこだわる人が多いのに気づかされる。けれど、平等にこだわる必要はないのではないか。無理して一緒に歩いて全体のスピードが遅くなるくらいなら、弱い人は車に乗っていい。逆に、車に合わせて、強い人は走ったっていいのだ。

スピード重視の世の中を否定したがる風潮もあるが、スピードがあると合理的でチャンスに結びつく。できないことや、弱い部分があってもあきらめないでほしい。スピードのある流れに乗っていくために自分はどういうやり方をすればいいか、何ができるかを追求すべきではないだろうか。

物語の主人公だと思って動こう

見切り発車をすると、多くの失敗や後悔に直面することになる。しかし、そういったことを経験するうちに奥田氏は、自分が物語の主人公であるかのように、楽しみながら進んでいくことができるようになった。

インド留学を決めた当初、英語の出願書類で苦しむことになった。そもそも奥田氏には一般的な英語レベルしかなかったし、書き方のお手本も何もなかったからだ。ひたすら問題集をあさったり、学校の先生をつかまえたりして、短期間のうちに必死で英語力アップを強いられることになった。

留学先でも多くの課題が毎日与えられ、辛かった。だがそこで、自分は冒険ストーリーの中の主人公なのだと思うことにしたのだという。それ以来、自分が冒険の主人公として、「どう行動すれば話の展開が面白くなりそうか?」と発想しながら行動するようになったそうだ。自分を客観的なキャラクターに置き換えることで、自分自身もよく見え、次に進むべき方向も見えやすくなることがある。

これは行き詰まったときにおすすめの方法だ。慣れてくると、多少の困難は楽しめるし、きっと冒険したくなってウズウズしてくるはずだ。

「見切り発車」で仲間を増やす方法

回転寿司とチャンスの法則

チャンスにたくさんめぐり会う方法はとして、奥田氏はいつも回転寿司を例に挙げて話をするそうだ。

たとえば回転寿司に3人で行ったとする。Aさんが好きなネタはタマゴ、Bさんが好きなネタはウニ。あなたがそれを知っていたら、タマゴとウニが回ってきたとき、AさんとBさんに教えてあげるだろう。そういうふうにしていると、あなたが好きなネタがマグロだとして、マグロが出てきた瞬間、誰かが「マグロがきましたよ!」といち早く教えてくれるようになるという。

人は、自分に回ってきたチャンスには気づきにくいことがある。反対に、自分以外にめぐってきたチャンスは見つけやすいものだ。まずは人のチャンスを見つけて、伝える訓練をしてみよう。そうすると、ほかの人も、チャンスを見つけたときこちらに伝えてくれるようになる。

チャンスや情報の多くは、人を介してやってくる。チャンスを求めるなら、必ず人との関係性を意識することが大切だ。

互いにチャンスを教えあっているうちに、目をつぶっていてもチャンスにめぐり会えるようになり、チャンスを自ら引き寄せる機会も増えるのである。

f:id:k_kushida:20150522111919j:plain

captainsecret/iStock/Thinkstock

今回紹介した本

『人生は見切り発車でうまくいく 完成度30%で結果を出す!スピード仕事術』

f:id:k_kushida:20150522112525j:plain

著者: 奥田 浩美
価格:1,404 円
単行本: 240 ページ
出版社:総合法令出版(2014/7/2)

著者情報

奥田 浩美

株式会社ウィズグループ代表取締役。株式会社たからのやま代表取締役。鹿児島県生まれ。インド国立ムンバイ大学大学院社会福祉課程修了。1989年、国際会議の企画運営会社に入社。当初は政府機関系の情報技術系国際会議に携わり、あらゆるIT分野の先進技術会議をサポート。1991年、ITに特化したイベントサポート事業を設立し、ITイベントの日本への上陸を支える。主にMac WorldやWindows world、Interop、Google Developer Dayといった大型プライベートショーの事務局として、運営に携わる。2001年、株式会社ウィズグループを設立。引き続きIT系大規模コンファレンスの事務局統括・コンテスト企画などを行う。2012年、伝えながら行動を促すメディア「fin.der.jp」を立ち上げ、地域のIT活用事例を紹介するとともに、IT活用促進プログラムを提供・創業支援などを行う。2013年には株式会社たからのやまを設立。徳島県の限界集落に高齢者のタブレット使用のサポートを行う拠点を設け、高齢者との共同製品開発事業を開始。2014年より、情報処理推進機構(IPA)の未踏IT人材発掘・育成事業の審査委員を務め、若い世代の新たなチャレンジを支援している。世界展開されている「Startup Digest」の初代東京キュレータ、APECを機に発足させた女性起業家コミュニティ「Spark!」主宰。広瀬香美氏のIT戦略の仕掛け人としても知られている。これまでに携わったITイベントの数は300以上。のべ動員数は10万人以上。数億円規模のイベントをいくつも成功に導いてきた実績からIT業界では「女帝」と呼ばれている。

※本記事は、本の要約サイトflierより転載しております。

「本の要約サイトflier」では、他にも1冊10分で読めるビジネス書の要約を掲載中!

本の要約サイト flier(フライヤー)www.flierinc.com

他にも、奥田さんに関する記事を掲載中!

Pagetop