5月の京を彩る「葵祭」の見どころ徹底解剖!魅力度2位の京都・観光の最新事情に迫る

f:id:k_kushida:20150515175901j:plain

観光資源が豊富な京都は、行ってみたい観光地ランキングでは常に上位に支持される人気エリア。そんな京都の5月を彩る葵祭の歴史と見どころを解説。さらに最新の京都観光事情をビジネスの視点で紹介する。

■起源は1400年以上前!『源氏物語』にも描写がある「葵祭」

「葵祭」は、祇園祭や時代祭とともに京都三大祭に数えられる古都を代表するお祭り。例年5月15日、新緑まばゆい京都の街は平安時代さながらの王朝絵巻に彩られ、地元京都だけでなく日本全国から集まった約8万人もの観光客を魅了する。

「葵祭」は、正式名称を「賀茂祭」という。その歴史は古く、起源は今から約1400年以上前の欽明天皇の時代に遡る。この頃、風水害による凶作が続いたそうだ。その理由が、「賀茂社に祀られている神の祟り」ではないのかと考えたすると風雨はおさまり、五穀は豊かに実って国民の生活が安泰になった。

それ以降、歴代の朝廷により国家的な祭事として執り行われ、平安中期には祭りといえば「葵祭」を指すほどになった。『源氏物語』では、葵の巻でこの祭りが描かれている。光源氏が勅使を務めるために、参列する姿を見物しようと訪れた正妻・葵上と愛人・六条御息所の車争いのシーンがそれである。当時の貴族達にとって「葵祭」がどれほど重要であり、かつ身近なものであったかがうかがい知れる。

そんな国家的な人気祭事でもある、「葵祭」にとっても受難の時代はあった。それは室町時代の応仁の乱から江戸元禄時代までの約200年間、さらには明治の一時期や太平洋戦争の戦前戦後など。こうした動乱の時代には祭りの中断が余儀なくされたこともあった。しかし、王朝の伝統行事は途絶えることなく、人々の手によって忠実に守り伝えられてきたのである。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

■総勢500名、1kmにも及ぶ風雅な王朝行列は圧巻の一言!

平安時代以来、国家的行事として脈々と行われてきた「葵祭」は、数多ある日本の祭りのなかでも、王朝風俗の伝統が色濃く残されているのが最大の特徴。

中でも最大の見どころは、風雅な王朝行列の路頭の儀である。この儀式は「葵祭」の主役である勅使をはじめなど、総勢500名、長さ約1kmもの行列が平安貴族そのままの姿で、京都御所を出発し、上賀茂神社を経て下鴨神社への約8kmの道のりを歩む。

「葵祭」というと注目の的がヒロイン・斎王代だ。斎王とは、賀茂社に巫女として使えた女性皇族のことである。この斎王を演じるのが斎王代で、女官や文官などの従者達に囲まれて、華やかで可憐な行列、女人列に参列する。

斎王代は京都にゆかりのある未婚女性から選ばれる。祇園祭のお稚児さん同様、京都人にとって選ばれることは大変な名誉とされている。本来は元華族(貴族や大名家)など家柄の高い家系から選ばれていたが、

雅な衣装をまとった斎王代の美しい立ち振る舞いを見ていると、時間の流れがゆったりと感じられるから不思議だ。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

■日本に訪れた外国人の10人に1人が京都に宿泊という事実!

京都は国内の都道府県魅力度ランキング(ブランド総合研究所調べ)でほぼ毎年、北海道に続いて第2位にランクされるほどの人気観光地である。市内中心部はもとより郊外にいたるまで名所旧跡などの観光資源や美しい自然が豊富にあるので、リピーター率も非常に高い。

京都市産業観光局が行った「京都観光総合調査」(2015年)によると、平成25年には京都市を訪れた観光客数が過去最高の5,126万人に達した。さらに滞在型の観光地の基準となる年間宿泊者数は1,308万人で前年比7%の増加を記録した。それに伴い観光消費額は7,002億円(過去最高の平成20年度より441億円の増加)とこれも過去最高を計上、京都の観光地としてのポテンシャルがさらに上昇しているのは事実だろう。

注目すべきことは、外国人宿泊者の数が113万人に達したことだ。これは対前年比35%アップという驚くべき大幅増加である。これは、日本を訪れた外国人の10人に1人が京都を宿泊地として選んでいるということ表している。中でも、古い京町家をリニューアルしたゲストハウスは、古都を肌身で感じられる宿泊施設として「ニューヨークタイムズ」でも絶賛されているほど。このように、外国人旅行客にとっては自分の旅のスタイルに応じて宿泊設備を選べるという利点もあるのだ。

日本人の国内旅行先として盤石な基盤を築いている京都。観光地としてさらになる飛躍を遂げるには、外国人観光客をさらに取り込んでいくことが鍵になるのは間違いなさそうだ。

■日本における観光地、その京都ならではの魅力

京都には情緒溢れる雰囲気や受け継がれる慣習などに合わせ、1,200年の歴史に培われた芸術や伝統工芸、食文化があり、日本人の心の中にしっかりと根付いている。多くの日本人がそんな京都のもつ遺伝子に惹かれて訪れていることは確かだろう。これは観光地として京都のライバルにも挙げられている北海道や沖縄にはあまりなく、京都独特の魅力といえる。

そうした京都の魅力は、外国人にとってもしっかりと感じ取れるものである。世界で最も影響力があるとされるアメリカの旅行雑誌「トラベル+レジャー」が2014年に行った読者による世界の観光都市人気投票で京都が1位に選ばれたのだ。この投票では京都のもつ食・文化・芸術への評価が高かったとされている。

この結果を京都市観光MICE推進室では「和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことも影響したのでは」と分析している。事実、和食はいま世界的なブームを迎えている。京都は周知の通り、日本料理発祥の地。日本人はもちろんのこと外国人の舌をも唸らせる飲食店が数多く存在する。

このように、日本人が惹かれてやまない京都の文化や芸術は、多くの外国人の心も虜にしている。では、こうした動向をより強固なものにするためにはどうしたらよいのだろうか?それは日本が誇る「文化」を、外国人含む多くの人々に実際に体験してもらうことではないだろうか。京都には茶道、華道、香道、陶芸、和装、染色などの伝統文化が色濃く残っており、それらの体験施設がどの都市よりもしっかりと整っている。そこで、京都という情緒あふれるロケーションの中、「触れる」「体験する」という能動的な一面からも観光をアピールできるのではないだろうか。

監修:リクナビネクストジャーナル

PC_goodpoint_banner2

Pagetop