いよいよゴールデンウィーク到来!今年は暦の並びがバッチリ!で、5連休をはさんで有休を組み合わせれば最大16連休の人もいるとか…!
しかし、ゆったり休める人たちばかりではありません。しかも長期休みだと連休前の業務対応も大変!「忙しくて何も考えてなかった…」といったノープランの方や、「どこに行っても混んでいるだろうし…」と諦めムードの方にぜひオススメしたいのが、渋滞の心配なく、ぶらりと気軽に楽しめる鉄道の旅!
鉄道ファンもそうでなくとも楽しめるような鉄道旅プランを雑誌『旅と鉄道』編集部に聞いてきました!専門誌ならではの豆知識が満載の、オススメ“のんびり鉄道旅”をご紹介します!
目次
【オススメ旅1】桜前線に間に合うかも!?〜津軽鉄道お花見の旅〜
今年は開花が早かったので、もしかしたら間に合わないかもしれないのですが…例年、ゴールデンウィークには青森では桜が見られるので、青森に行ってみるのもいいと思います。ぜひ乗っていただきたいのは、津軽鉄道。津軽地方を走るローカル線で、「日本の桜名所100選」にも選ばれている芦野公園の桜が楽しめます。桜がトンネルみたいになっていてとてもキレイですよ。「金木さくらまつり」が開催されている期間は特別に、冬限定で走る旧型のストーブ列車が運行するなど、イベントも盛りだくさんです。満開時期だと混んではいますが、列車に乗れないというほどではないと思います。
東京から新青森までは東北新幹線を使えば3時間で行けますので、意外に近いです。それから、「津軽フリーパス」という、列車とバスが2日間乗り放題のお得な切符があるので、フリーエリア内であれば、津軽鉄道はもちろん、JR奥羽本線、JR五能線、弘南鉄道、弘南バスが乗り放題なので、移動がとても便利なんです。
弘前を拠点にすれば、もうひとつの桜の名所で、日本一と言われている弘前公園のソメイヨシノも見ることができます。もしかしたら終わりかけかもしれないのですが、「忙しくて桜を見ることができなかった!」という方は、ぜひ桜の季節を感じに訪れてみてください。
【東京駅から行く場合】
東京⇒(東北新幹線)⇒新青森⇒(奥羽本線)⇒川部
⇒(五能線)⇒五所川原・津軽五所川原⇒(津軽鉄道)⇒芦野公園
津軽鉄道・芦野公園~金木間(撮影/佐々倉実)
【オススメ旅2】新宿から特急で2時間!〜小海線絶景の旅〜
1日なら時間が取れる…という方には、山梨県の小淵沢から長野県の小諸までを結ぶ小海線がオススメです。新宿から中央本線の特急スーパーあずさで行けば、約2時間で小淵沢に到着するので、日帰りも可能です。車窓からは南アルプスの山々が見えるので、手軽に行楽気分も味わえます。
小海線は日本一標高の高いところを走る高原列車で、日本の標高の高い駅、1位〜9位までを占めています。ちなみに一番高い駅は野辺山駅で、標高は1345.67m。駅前からは八ヶ岳の主峰や赤岳といった八ヶ岳連峰の山々を見ることができます。
今年の3月からは、全線開通80周年を記念して、一部の車両を国鉄時代の塗色に塗り替えて運行しているので、鉄道ファンの方も楽しめると思います。通常運転される車両は、ディーゼルエンジンで発電した電気と蓄電池に充電した電気で走る環境に優しい“ハイブリッド車両”で、世界で初めて小海線で営業運転された車両です。これもまたマニアには良いかもしれません。アルプスに沿って走って行きますから、車窓には絶景が広がっていますし、見どころは本当にたくさんあります。5月は新緑の美しい時期なので、ベストシーズンではないかなと。疲れたら、帰りは佐久平から新幹線で帰ることもできます。「かがやき」は止まらないので「あさま」になってしまうんですが、運が良ければE7系・W7系の新型北陸新幹線車両に乗れるかもしれません。あとは小諸そばを食べたり、軽井沢に寄り道したりと、気ままにコース変更しても楽しめる路線です。
【新宿駅から行く場合】
新宿⇒(中央本線特急スーパーあずさ)⇒小淵沢⇒(小海線)⇒小諸
※帰路は小海線内の佐久平駅から北陸新幹線利用がオススメ
小海線・小淵沢~甲斐小泉間(撮影/牧野和人)
【オススメ旅3】福が満開、福のしまに行こう!〜磐越西線の旅〜
福島県では6月末まで「ふくしまディスティネーションキャンペーン2015」を開催していて、そのイベントの一環として、4月25日から磐越西線でスイーツが食べられる「フルーティアふくしま」というカフェ電車が運行されています。予約制なのですでに満席かもしれませんが、福島のフルーツを使ったスイーツを電車に乗りながら食べられるので、ぜひチェックしてみて下さい。
会津若松から新潟間には、土日祝日限定で「SLばんえつ物語」という蒸気機関車が走っているのですが、この期間中は従来のC57形ではなく、C61形の蒸気機関車が走るなど、さまざまなイベントが行われるようです。SLは人気があるので乗れるかはわからないのですが、運が良ければ車両を見ることはできるかもしれません。磐越西線は阿賀野川に沿って走っていて、「水と森とロマンの鉄道」という素敵な名前がついているので景色が本当に美しいです。他にも「ディスティネーションキャンペーン」でたくさんのイベントをやっているので、事前にチェックしておくとさらに楽しめるかもしれないですね。
【上野駅から行く場合】
上野⇒(東北新幹線)⇒郡山⇒(磐越西線フルーティア)⇒会津若松⇒(SLばんえつ物語号)⇒新潟(上越新幹線)東京
※フルーティアは郡山〜会津若松間を一日二往復運行している
磐越西線「SLばんえつ物語号」・徳沢~上野尻間(撮影/松尾諭)
【オススメ旅4】話題の路線に乗ろう!〜上野東京ラインのグリーン車の旅〜
関東近辺にしか移動できないという方には、上野東京ラインのグリーン車の旅をオススメしたいです。上野東京ラインの開業で、宇都宮線・高崎線と東海道本線との直通運転が開始されて、グリーン車を連結した普通列車が長距離を走るようになりました。最長距離は黒磯〜熱海間の267.9kmですが、他にもいろいろあります。関東周辺は大体網羅しているので、目的地にあわせて路線を選んで、のんびりグリーン車で移動するのもいいのではないかなと。
しかも、料金もお得になったんです。これまでは東京と上野で乗継が必要だったので、それぞれにグリーン車料金がかかっていましたが、乗り換えがなくなったことでかからなくなりました。
また、グリーン車にはホリデー料金があって、土日祝日は平日に比べて安くなるんです。料金も50kmを境に値段が上がるだけなので、あとは100km乗ろうが200km乗ろうが変わりません。乗車前にSuicaでグリーン券を事前購入し、Suicaのリーダーにタッチすれば、車内改札も省略されるので快適に過ごせます。空いていればグリーン車の2階がオススメです。ただし、事前購入と車内購入だと車内のほうが260円高くなるのでグリーン券は乗る前に購入しておきましょう。
行き先はグリーン車に乗れればどこでもいいのですが(笑)、熱海などの温泉地がいいかもしれないですね。余裕があれば熱海から黒磯まで行ってみて欲しいです。移動時間は5時間弱と少し長いですが……。あとは、熱海や湯河原から那須温泉まで行けますし、熱海から伊東線で伊東まで行き、伊豆急行に乗り換えて温泉三昧というコースもあります。小田原から箱根登山鉄道に乗り換えれば、箱根にも行けますよ!(笑)せっかくの長期休みなので、目的を決めずにゆったりとグリーン車に乗ってみるだけでも旅の雰囲気は味わえると思います。
【大宮駅から行く場合】
大宮⇒(高崎線・直通)⇒上野⇒(上野東京ライン・直通)⇒東京⇒(東海道線・直通)⇒熱海
※直通運転だが、本数は限られている
中央本線・根府川~真鶴間(撮影/牧野和人)
【番外編】これであなたも鉄道ファン!〜鉄道が見られるスポットめぐり〜
鉄道の予約ですら面倒だな…という方には、鉄道が見られる穴場スポットめぐりをオススメします。そんなに鉄道が好きじゃない方でも、行っていただければきっと好きになると思います!(笑)
旧万世橋駅の跡地、現在のマーチエキュート神田万世橋の中にある「カフェ&和酒n3331」は、かつてのプラットフォームをそのまま店舗にした、「日本でいちばん電車に近い店」です。両脇を中央線の上下線が走っていく様子を目の前で見られるので、迫力満点です。昼はカフェですが、夜は日本酒を中心としたバーになるので、鉄道好きじゃなくても十分に楽しめる上に、旅行している気分にもなれます。
東京駅丸の内口に日本郵政が運営する「KITTE」という商業ビルがあるんですが、その6階にある屋上庭園「KITTEガーデン」は、東京駅の駅舎とJRの路線が一望できるぜいたくなスポットです。「KITTE」に遊びに来てふらっと寄って行かれることが多い人気の場所です。夜はまた昼の雰囲気と違い、ライトアップされた駅舎や周辺のオフィスビルなど、都会の夜景が楽しめます。
もっと高いところから俯瞰で列車を見下ろすのなら、北区にある「北とぴあ」が穴場です。屋上に無料で利用できる展望ロビーがあって、東北新幹線、京浜東北線、宇都宮・埼京線、都電荒川線、貨物列車などなど、本当にさまざまな列車が行き交う様子を眺めることができます。周辺に高い建物がないので見晴らしが抜群に良く、飛鳥山公園なども見渡せるので、鉄道だけではない東京の町並みも堪能できます。
そして、バラエティ豊富な車両が見られるスポットと言えば、JR日暮里駅近くの「下御隠殿橋」です。この場所は、東北新幹線、京成電鉄本線、常磐線、宇都宮線、山手線などなど、14本の路線が行き交う線路密集地なんです。これだけさまざまな種類を見られる場所は、都内では他にはないですね。各車両センターに出入りする回送列車も通過するので、不意打ちに珍しい車両も見ることができるんです!って、珍しいかどうか、わかる人は少ないとは思いますが……(笑)。
今お話した場所はすべて近いので1日でも回ることが可能です!が、大忙しになると思いますので、気になったところがあればぜひ行ってみて欲しいですね。きっと鉄道を見る目が変わります。もっと「鉄道が見られるスポット」が知りたい!という方は、4月21日に発売したばかりの旅と鉄道増刊6月号『東京 鉄道ワンダーランド』という本にたくさん載っていますので、ぜひ読んでみて下さい(笑)。
カフェn3331の窓から見える様子(撮影/中野昭次)
旅と鉄道2015年6月増刊『東京 鉄道ワンダーランド』1000円(税込)で朝日新聞出版から発売中!
鉄道旅行の魅力を伝える情報誌『旅と鉄道』も発売中
EDIT&WRITING:石本真樹