【20代の不格好経験】同僚の代理で制作した見積書を1ケタ間違え、90%OFFで受注… ~Tokyo Otaku Mode CEO・亀井智英さん

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今、ビジネスシーンで輝いている20代、30代のリーダーたち。そんな彼らにも、大きな失敗をして苦しんだり、壁にぶつかってもがいた経験があり、それらを乗り越えたからこそ、今のキャリアがあるのです。この連載記事は、そんな「失敗談」をリレー形式でご紹介。どんな失敗経験が、どのような糧になったのか、インタビューします。

リレー第2回:Tokyo Otaku Mode Inc,(トーキョー・オタク・モード)CEO 亀井智英さん

Fringe81株式会社・田中弦さんよりご紹介)

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(プロフィール)
大学卒業後、2002年にサイバー・コミュニケーションズ入社。NTTアドやデジタルガレージ、電通などに出向し、メディアの立ち上げや広告展開などを担当。2012年4月、日本の漫画やアニメ、ゲームやコスプレなど「オタク文化」のニュースを集めて世界に発信するTokyo Otaku Mode Inc,を米デラウェア州にて創業。

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▲現在、Facebookページは1487万いいね!を集め、うち9割9分が外国人

■まさかの入力ミス!9割引で決済終了…

 私がTokyo Otaku Modeを創業したのは2012年のこと。それまでの約10年間は、ずっと広告代理店に勤めていました。
 会社員時代は、本当にたくさんの失敗をしましたね。アプリの企画を立ち上げ、協力クライアントを何社も集めた後に、プラットフォーム側の都合で仕様が代わり突っぱねられたり、広告発注を受けた後になぜかクライアントの都合で発注取り消しになり会社に損害を与えそうになったり、大きな失敗もいくつかありました。
 その中で、一番思い出深く、今に活きていると感じるのは、社会人になって2年目、24歳の時の失敗です。
 
 同僚が、あるクライアントからネット媒体での販促広告を受注し、正式な見積書を提出することになりました。ただ、その時点で同僚は、以前から予定していた休暇に入ることに。そこで、彼の代わりに私が見積書をまとめ、先方に提出することになりました。
 簡単な作業でした。同僚がまとめていた提案書の数字を、入力して見積書の体裁にするだけですから。しかし、項目の一つであるバナーの掲載料金90万円を、間違って9万円としてしまったんです。

 資料を見て数字を入力する際に0を1つ入力し損ねたという単純なミス。まさかの9割引ですよ。「以前の提案より安くなったね」とクライアントから言われて初めてミスに気づき、血の気が引きましたが、すでに決済は終了しており、9万円が確定してしまいました。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

■どでかいミスをしでかしたのに、誰も責めない

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 私の担当ならさておき、同僚が受注した案件でのミスです。これは本当にマズイ…と慌てたものの、どうすることもできません。休みから戻ってきた同僚に、恐る恐る打ち明けました。でも、彼は全く怒りませんでした。「お前に任せて休みを取ったオレも悪い」と私を全く責めませんでした。

 さすがに、このままでは彼の査定に関わるし、ヘタをしたら減俸になると思い、私から上司に「自分のミス」だと報告しました。しかしここでも…もちろん怒られはしましたが、コテンパンに怒鳴られ、やり込められることはありませんでしたね。即座に、迷惑をかける側であるネット媒体の責任者にアポを取り、どこでマイナス分の帳尻を合わせるか、落としどころを検討してくれました。

 不幸中の幸いで、今回の受注はバナーのみではなく、ロットで500万円ほどのまとまった受注だったので、当社の利益部分で少しずつ調整し、損をいく分かは減らすことができました。とはいえ、ネット媒体側から見れば、当初入るはずの広告料が目減りしてしまったということになります。上司は最終的に、ネット媒体の担当者に「今後はウチの亀井が責任を持って、いろいろな企業から広告を取ってくるから」と約束をして、その場を丸く収めてくれました。

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■個人レベルの失敗で、会社が背負えないものはない

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 この一件で学んだのは、「仲間の気づかいってありがたい。ピンチのときにフォローしてくれると、こんなに精神的に楽になるんだ」ということと、「社員の失敗は、最終的には上司が責任を持って巻き取り、冷静に状況を見ながら指示を出し、解決するものなのだ」ということ。特に後者は、経営者になった今、改めて肝に銘じていますし、トラブルがあった時には、出向経験が多かった私は、その時どきの上司の立ち回り方や交渉テクニックを参考にしています。加えて、ピンチはチャンスではないですが、迷惑をかけてしまった相手とも、これをきっかけにさらに仲良くなれることがあると学べたことも収穫でした。

 実は先日も、ちょっとした失敗がありました。複数の会社とコラボした案件があり、ローンチ直前に各社に確認出しをしたら、「そんな話は聞いていない」と言われ、急きょ進めていたプランをストップするという事態に見舞われました。社内の連絡ミスで、全社に確認が取れていると認識していたことが原因。夜中に発覚した出来事でしたが、ローンチをストップし、各社への事実確認、部下への指示出しなど、冷静に対応することができました。ここで心がけたのは、失敗をただの失敗で終わらせないこと。できればこれをきっかけにさらに各社との距離感を縮められたら、失敗もいい経験になると過去の経験から考え、リードしました。

 経営者になってからつくづく感じますが、個人が起こす失敗レベルなら、会社が解決できないものは基本的にはないと思います。だから、若いうちは失敗を恐れずに、どんどん突き進んだほうがいい。特にうちのようなベンチャーは、社員が失敗を恐れてチャレンジしなくなるほうが、会社にとってよほどダメージです。
 それに、失敗は若いときにたくさんしておいたほうが、後々のためにいいですよ。失敗から学ぶだけでなく、精神的にも強くなりますから。30代になって初めてドデカイ失敗をやらかしたら、立ち直るまでに時間がかかりますよ(笑)。

※次回は、亀井さんのご紹介で、スターフェスティバル株式会社代表取締役の岸田祐介さんが登場します!

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

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