あなた、W杯決勝でPKを蹴れますか? サッカー選手・監督の名言5選

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みなさん、感動してますか? ボクはされてます!
 
こんにちは、37歳になっていよいよ物事に感動しなくなってきたサワヤマです。父親には別の文字でカンドウされ10年ぐらい会ってないですが、せいぜいそれぐらいですね。あと3年でいわゆる不惑、精神の起伏が少なくなるほうが望ましいのかもしれませんが、どうにもボクの場合単に生命力が落ちてるだけの気がします。たまには勘当、いや感動したい!
 
そんな時、ボクを助けてくれるのは、サッカー選手・監督たちの名言なのです。
 
少し前まで、「名言を聞いて感動するなんて、底が浅い」と思っていました。相田みつ●は好きでも、相田み●をを孫引きして説教してくる人はイタい。余談ですがウチの祖父の名前も●つお、でした。ともかく名言、座右の銘、モットー、そういう言葉は人に説教するときに援用するのではなく、自分の心に留め、反芻するだけでいいではないか。そう思っていました。
 
しかし、名言たちに罪はありません。あなたの数学嫌いは先生の教え方が悪いだけで、数学自体のせいではない。それと同じ。たまたま読んだ文章の中に引用されていた、クサクサした気分の時に接した名言が、あなたの琴線に触れることもあるかもしれません。
 
「よし、新年早々、人の役に立とう!」
 
それが、この記事を執筆した動機です。ぶじに年も明けたと思いきや、おとそ気分も抜けない4日から早々に仕事。「ダルいなあ、かったるいなあ、めんどくさいなあ」と思いながら初出社を迎えたそこのあなた! これらの名言を読むことで少しでもやる気が出るなら儲けものですよ。
 

「馬鹿な質問をする前に、ググれ」
――ジョゼ・モウリーニョ

チェルシーの監督を務め3年目となるジョゼ・モウリーニョ。2015年9月15日、UEFA CLマッカビ・テルアビブ戦の前日会見で、記者に「あなたのチームは3年目に調子を崩す」と言われた時の反論がこちらです。
 
実際のところポルト・インテルでは3年目がなく、初めてチェルシーを率いた3年目はFAカップ・カーリングカップ優勝、CL準決勝進出。レアル・マドリードでの3年目はスーパーカップ優勝、コパ・デル・レイ決勝進出、CLベスト4という結果を残しています。記者の勉強不足だったわけですが、それを「ググれ」と言ってしまうのがカッコいいところです。

「ググれ」。言ってみたいですね。「あなたが今、指を置いているそれは何? 自分で調べるのが先でしょ?」と。残念ながら「聞くほうが早い」と思い込んでいる時点で、あなたをグーグルだと勘違いしている可能性があります。そんな人に限って上長だったりします。「自分をグーグル化する方法」といったベストセラーもありました。ここは素直にグーグル化し、上長の知識の泉に成り代わるほうがスキルアップにつながります。
 
なお残念なことに、この発言の約3カ月後、モウリーニョは解任の憂き目に遭います。記者の質問は、結果論にせよ的を射たものになってしまいました。あなたも3年耐えてみましょう。そんな上司は3年もたずに居なくなるか、グーグル化したあなたがステップアップしているに違いありません。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「ズラタンも人間にすぎない。ホオジロザメもまた魚にすぎない」
――ズラタン・イブラヒモビッチ

一見謙虚と見せかけて、やっぱり不遜。スウェーデン代表で長年不動のエースを張り、数々の問題行動や発言を残す一方、4つのリーグで優勝を経験し、3度の得点王を獲得したイブラヒモビッチは、押しも押されぬ名選手です。
 
そんな彼が残した名言がこちら。ホオジロザメは、強さの象徴です。相手がサメだろうと、所詮は魚。生きたやつに海の中で遭うか、死んだやつと寿司屋で出会うかで全然違う気はしますが、そのへんはツッコミません。とにかく「強い相手に簡単に屈するな」ということなのでしょう。
 
「オレも人間に過ぎない。同じように、彼らもまた部長に過ぎない」。毎回細かく進捗要求をしてきて、ちょっとのミスにも手厳しい部長。あるいは、イライラをエンターキーにぶつけ、1時間に1回まるで時報のように「スパーン!」とオフィスに打鍵音を響かせる先輩。彼らに文句を言いたいあなたは、ここで一つ大人になりましょう。彼らもまた人間に過ぎません。細かい進捗要求、結構じゃないですか。  

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「ボクが記録を求めているんじゃない。記録がボクを求めているんだ」
――クリスティアーノ・ロナウド

 
今回取り上げる中では最新の名言です。2015年12月8日に行なわれたUEFA CLのグループリーグ、マルメ戦で4得点を挙げたロナウドは、史上初となるCLグループリーグでの二桁得点を達成しました。
 
ルックスもプレーも一級品、おまけに人格者。若いころにはヤンチャもしてきましたが、今やそんな幼稚さは影を潜めました。来日した際には多忙なスケジュールを縫ってバラエティ番組に出演、恐らく今後一生聞かないであろう歌手のパフォーマンスを死んだ目をしながら手拍子する姿が目撃されました。その後文句を言ったという話も聞きませんし、まさに完璧超人と言えるロナウド。だからこそ、高揚感の中でこうした発言をしても許されます。
 
社会人なら、どういうタイミングで使えば許される言葉でしょうか? 例えば、皆勤賞などがいいですね。それも1年ちょっとでは足りません。最低でも10年、雨の中も嵐の中も皆勤賞を続けてきたアナタだからこそ、「記録がボクを求めている」という言葉に重みが加わります。会社が10年間存立していること自体、あなたの仕事が社会から求められている証拠です。自信を持ちましょう!
 

「もし世界チャンピオンになりたいなら、別の監督を探してもらいたい」
――イビチャ・オシム

 
オシムさんを知らないサッカーファンも、ぼちぼち増えてきました。2006年7月、ジェフ千葉から引き抜かれる形で日本代表監督に就任、翌年11月に脳梗塞で倒れ退任を余儀なくされるまで数々の名言を残した人物です。中でもひときわ印象的なのが、就任会見におけるこの言葉。
 
サッカー日本代表は総じて、過大評価されてきた部分があります。報道だけ追っていると、まるで日本が世界との差を年々詰めていると思う人がいるかもしれません。しかしAFC U-19選手権では4大会連続で敗退するなど、実際はアジア予選の通過すら危うい状況なのです。
 
オシムさんはすでに10年前、過熱する報道に対し「現実を見ろ」とクギを刺してきました。一方で、日本人が真面目に物事に取り組む資質を認め、「水を運ぶ選手」つまり汗かき役として鈴木啓太を重用するなど、フラットな選手評価をし続けました。志半ばで倒れなければ、どんなチームを作っていたか……オシムさんが一命を取り留め今も母国でご活躍のことを喜ぶ一方で、退任を余儀なくされたことは非常に残念に思います。
 
大きな目標を立てることは結構なことです。たまには夢を見るのもいいでしょう。しかし、竹槍でB29を落とせますか? オシムさんは「ライオンに追われるウサギが、肉離れしますか? 準備が足りないのです」とも言っています。肉離れしないよう準備を万端に整えたうえで、目標設定を見直す契機にしてみてはいかがでしょうか。
 

PKを外すのは、蹴る勇気を持った者だけだ
――ロベルト・バッジョ

 
1994年アメリカW杯、灼熱のローズボウル。大会前の予想を覆し、奇跡的な快進撃を見せたイタリア。決勝のブラジル戦では延長まで0-0でもつれたものの決着つかず、PK戦へ。W杯の価値は当時UEFAチャンピオンズカップ以上に高く、疑いようもなく人生最高の舞台。そんな場でのPK戦、まさに天国と地獄の間を目隠しして綱渡りするような鉄火場です。
 
超人たちが集まる代表チームでさえ尻込みする場に、最後のキッカーとして立ったのがロベルト・バッジョでした。チームを数々のスーパープレーで救ってきた英雄の蹴ったキックはしかし、GKタファレルの守るゴールを大きく外してしまいます。この瞬間、ブラジルの4度目のW杯優勝が決まりました。
 
だけど、バッジョは決して卑屈にならない。PKは外した。だけど、自分は蹴る勇気を持っていた。人生史上最大の鉄火場を終え、激しいプレッシャーから解放された後ですら、自分を見失っていません。過大でも過小でもない自己評価です。イタリアを決勝まで引っ張りあげた立役者の地に足の着いた名言は、PKを外した勇者を称える言葉として今なお語り継がれています。
 
あなたにとっての“W杯決勝のPK戦”、それは例えば億単位の取引が掛かったプレゼンかもしれません。あるいは、何カ月も掛けて準備したコンペかもしれません。W杯決勝のプレッシャーも凄まじいですが、あなたが経験するそれらも決して劣りません。疑いようなく、人生が掛かっているのですから。
 
ではその時、蹴るのか? 蹴らないのか? 「大丈夫か? オレが代わってやろうか」と、優しい先輩が手を差し伸べてくれるかもしれません。あなたはつい、その提案を飲んでしまいたくなるかもしれません。PKを外すことに怯え、誰かの背後に隠れるのもいいでしょう。だけど、それでは欲しいものは決して手に入らない。“PKを蹴る勇気”、あなたは持っていますか?
 

まとめ

スーパースターたちの名言を駆け足で紹介してきました。彼らは、人類史に名を刻むような選手あるいは監督たちです。しかし、われわれと同じく心を持つ人間でもあります。そんな彼らが進退窮まる中、悩みもだえてとった選択、そこには確実に人間性の究極が存在します。そんな中で絞り出された言葉は、誰の心にも染み入るチカラがあると思います。新年を迎え、新たな気分で出社するあなたの背中を、きっと押してくれることでしょう。
 

文:サワヤマダイスケ(澤山大輔)
編集:鈴木健介
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