©森田まさのり・スタジオヒットマン/集英社
突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?
普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー。
今回は、かつてジャンプで絶大な人気を博した『ろくでなしBLUES』(集英社)に登場する各キャラクターから、組織のリーダーのあり方を学びたいと思います。
目次
【渋谷の鬼塚】恐怖で人は縛れない
©森田まさのり・スタジオヒットマン/集英社
東京四天王のひとり、渋谷のボス的な存在である鬼塚は、「恐怖」で学校をまとめていました。誰よりも強く、誰よりも恐れられることで人を従える方法は、一見すると統制のとれた組織に見えるかもしれません。
ですが、恐怖による統制は、所属する人間の心の中に反発心を生み出すことになります。仲間を道具のように扱う鬼塚への忠誠は次第に薄れていき、いつしかNo.2的な存在だった上山も「鬼塚を倒す」と言い始めるような状態に。
タイマンの末、鬼塚を破った主人公・前田太尊の「一人で生きてんじゃねーんだよ」という言葉が鬼塚の心に突き刺さり、その後は仲間と信頼関係を築けるように変わってくのです。
恐怖で人をまとめようとしても、それは見せかけの統制。本当の意味で一丸となれるような組織は作れないということですね。
【浅草の薬師寺】先頭に立って引っ張るわけではないが、責任はちゃんととる
©森田まさのり・スタジオヒットマン/集英社
同じく東京四天王のひとり、浅草の薬師寺は、“ケンカを売るのは趣味じゃない。買うからカッコいいんだ”という信念の持ち主で、自らが先頭にたって他校に攻め込むというようなことはしません。しかしその強さは本物で、自分が望む、望まないにかかわらず周りに仲間が集まってきて、いつの間にかリーダーになっていたタイプといえるでしょう。本人は元々前田とケンカをするつもりはなかったものの、仲間がやられてしまったこと、そして思いのほか自体が大きくなってしまったことの責任を取る形で、前田との一騎打ちを行います。
リーダーでいることを薬師寺が望んだかは定かではありませんが、結果としてリーダー的ポジションになった以上、仲間を想い、仲間を守ろうとする。責任を取ろうとする。そんな彼だからこそ、仲間がついてくるのでしょう。
【池袋の葛西】時に弱さを見せることも、リーダーの度量
©森田まさのり・スタジオヒットマン/集英社
東京四天王のひとりとして最後に登場したのが池袋の葛西。鬼塚、薬師寺を倒し、一度は前田すら完敗したほどの強さの持ち主である彼は、過去に一度ケンカに負けたことで仲間の信望を失い見捨てられてしまうという経験をします。その結果、強くなければ仲間を失うという恐怖心が生まれ、常にナンバーワンでいなければいけないと強さに固執してしまいます。
暴走を止めようとする親友坂本の声すら届かない状態になっていた葛西は、前田との最後の戦いでついに敗れます。しかし、それでもついてきてくれる仲間の存在に気付くのです。
リーダーは強くなくてはならない、そう感じている方も多いことでしょう。しかし、強くあることばかりに執着して、仲間から恐れられてしまっては本末転倒です。時に弱さを見せられる度量をもつこともリーダーの大切な資質なのかもしれません。
【吉祥寺の前田】信頼を力に変えるリーダー
©森田まさのり・スタジオヒットマン/集英社
そして本作の主人公であり、東京四天王のひとりである吉祥寺の前田太尊。感情的で、むちゃくちゃな行動をとることもある彼ですが、そのまわりには常に仲間が集まり、敵だった男さえも、いつの間にか仲間に変わっていくのです。
何度負けそうになっても立ち上がり、最後には必ず勝つという前田の力の源については、関西の川島が攻めてきたとき、最後に言い放ったこの言葉に表れています。
「力が信頼を生むんじゃねぇ、信頼が力をくれんだよ」
普段情けない姿をさらしていても、いざピンチの時には必ず助けてくれる、最後には必ず勝ってくれる、そんな前田の姿を見て、仲間は彼を信頼し、その信頼がさらに彼に力を与える。そんな好循環を生み出す人間関係を作れていることこそが、前田の強みなのかもしれません。
普段の行動もそうですが、「いざというとき」にどう振る舞うかで仲間の信頼を得られるかが決まる。リーダーにとってはとても重要な一瞬であると心掛けましょう。
「放っておけない」と思わせるのも、リーダーの形のひとつ?
©森田まさのり・スタジオヒットマン/集英社
最後にご紹介するのは、前田と同じ帝拳高校で「小兵二軍団」を率いる自称・番長の中田小兵二。大ぼら吹きで、ケンカはそんなに強くなく、やることなすこと裏目に出てしまう、いわゆるピエロ役のキャラクター。そんな彼の軍団に入ろうと思うメンバーはほとんどいないものの(最後には大軍団となったけど)、不思議と数人の仲間は小兵二を決して見限ることがありません。
小兵二にいつも振り回され、迷惑をたくさん被っているにもかかわらずついていくのは、放っておくと何をしでかすかわからないという心配なのかもしれません。
しかし、多くの場面でトラブルメーカーとなる小兵二も、本当に仲間がピンチになったときは、しっかりと身体を張って助けに行く男です。リーダーの形やあり方は様々ですが、仲間が「ついていこう」と思うリーダーに共通する要素は、何よりも「仲間を大切にする」ことなのかもしれません。
監修:リクナビネクストジャーナル編集部