そろそろ大人の飲み方を身につけよう! 人生にメリハリをつける「酒活」のススメ

僕は、地元の居酒屋やバーでひとり飲みを続けている。ひとり飲みには「暗い」とか「さみしそう」というイメージもあるようだが、黙ってひとり飲むことで、何かがプラスに変わることがある。自分と向き合う時間が増えるだけでなく、それまでの平凡な生き方が、なんだか面白く、なんだか愉しい、変化のある人生に変わっていくのだ。

仕事とプライベートが充実しても、新しい何かが必要なときが突然やってくる

この記事を読んでいるような20代~30代のビジネスパーソンは、もう先輩からいろいろな知識を吸収する新人ではなく、そろそろ自分が先輩になっているだろう。責任ある仕事を任せられ、チャレンジすることで日々が充実してくる。趣味にもある程度お金を注ぎ込むことができ、プライベートも充実しているかもしれない。

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しかし、“それ”は突然やってくる。会社と自宅の往復のなか、本当に相談できる人も、気楽に笑いながら何でも話せる仲間もいないのではないか……という孤独感が、あるとき襲ってくるのだ。

僕も実際、会社と自宅を往復するだけのメリハリのない生活を送っていた時期があった。人は最後には孤独になっていくのかもしれないが、あまりにも早すぎる。新しい何かが必要だった。

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帰り道に出会った居酒屋は、会社でも自宅でもない楽しい空間

ある日、自宅までの帰り、いつもと違う道を通ると、とても店があるとは思えない道端の壁に居酒屋のメニューとおぼしき貼り紙を見つけた。「今日のおすすめ」と書いてあり 栃尾油揚げ 厚切り蓮根きんぴら 焼きそばオムレツ 牛豆腐煮 お刺身ちょいちょい盛りという文字。なんだかとても魅力的に感じた。

ただ、その店の場所がわからない。探索モードになり、周りを見渡すと、小さな路地を見つけた。恐る恐る進んでいくと、古民家みたいな店が確かにあった。

それまでの僕にとって、酒を飲む場所は会社の飲み会か自宅しかなかった。僕は酒が好きだ。飲んで騒ぐことが好きなのではなく、純粋に美味しい酒をちびちびと味わうのが好きだ。ビールも日本酒も、焼酎もワインも好きだ。でも、なんとなくコンビニで買える範囲で満足していた。

そんな僕が、こんな少し古びた隠れ家にどう入ればいいのか? それがよくわからず、数日は、30種類ぐらいの「今日のおすすめ」が数種ずつ変わっていくのを見ながら帰途についた。それがとても気になっていた。

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ある早帰りの日に、意を決して暖簾をくぐった。こういう居酒屋はなぜか引き戸が多く、外から中を見ることはできない。重い引き戸をガラガラっと開けると、カウンターに陣取っている常連とおぼしき先客がジロリとこちらを見る。指を1本立てて「ひとりなんですが……」と言うのが精一杯である。

「はい、こちらにどうぞ〜」と、店主にカウンターの隅へ案内された。それが、僕のひとり飲みのスタートだった。とにかくつまみが安いし、コンビニ酒しか知らない僕にとって、とても楽しい空間であることは間違いなかった。

外のメニューを毎日見ていたので、イメージトレーニングはできていた。念願だった「ちょいちょい盛り」も注文した。小さなテレビが置いてあり、普段見ることのない「世界ビックリ人間」や、吹き替えの映画をボーッと見るのも好きだった。

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酒場の「その場だけの付き合い」から、本当の友人ができる

店に通うにつれて常連とも話すようになり、自分のポジションもなんとなくわかってきた。

僕は基本的に人見知りで、自分から話しかけることはない。話しかけられればどんな年代の人とでも話すことはできるが、立ち入った話はまずしない。話しかけられても、適当に相槌を打つにとどめておく。すると向こうも察してくれて、立ち入った話はしてこなくなる。

酒場では「その場だけの付き合い」が良い。人は、仲良くなると付き合いや頼みごとも増える。そんな面倒には巻き込まれたくない。僕は、お酒を楽しく飲みたいから居酒屋に来ている。料理を美味しく食べ、ひとりでボーッとしたい。自分の良いところだけを出しながら楽しめばいいのだ。それが、大人の飲み方なんだと思う。

家族や会社の仲間なら、自分の悪いところが出ていれば注意してくれるかもしれないが、酒場で自分勝手な飲み方をすれば、誰も相手にしてくれなくなる。酒だけでつながっている仲だからこそ、キレイに飲めることが実は試されているのだ。

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そんななか、妙に気の合う常連と知り合った。居酒屋では「その場だけの付き合い」が良いと思っていた僕でも、彼とは「本当に気が合う」と思える瞬間があった。同性で、同年代。趣味があうかどうかより、ものの考え方、何かに共感するポイントが似ていた。

何より、話したいときには話すが、黙って飲みたいときは無理に話さないという関係が築けたことが一番大きい。周りの人と一定の距離を置きながらも、そんな友人と知り合えたことが面白かった。もしかしたら、引退してからも一緒に飲める仲間と出会えた瞬間だったのかもしれない。

会社の人間と飲む酒では、話が仕事上の人間関係に及ぶことが多く、気分よく美味しい酒を飲めないことが少なくない。仕事のつながりがない知り合いとなら、お互いに仕事の不平不満や愚痴を話すことがない。それがいい。

若い世代も、ぜひ静かで豊かなひとり飲みをしてみよう

そんな繰り返しから、とてもゆっくりではあるが、酒をベースにしたコミュニティが広がっている。酒好きが本当の友人や一生の仲間と知り合うのは、やはり酒とじっくり向き合い、その先にある数少ない出会いを通してであるような気がしている。

最近は、居酒屋やバーで30代ぐらいの若い世代のひとり飲みを見かけることもある。若いうちは、お酒を飲んだら騒がないといけないという使命感にかられたり、はしゃいだムードに乗せられるものだが、基本的に騒ぐこともなく、その店に合った飲み方をしている。

気の合う仲間と楽しく飲んでいる姿も見かけるし、それぞれひとり飲みをしていた男女が仲良くなり、恋に発展することもある。僕は、居酒屋で2組、バーで1組のカップルが誕生したのを見ている。嬉しいことに披露宴にも呼ばれ、とても幸せそうな2人に涙したこともある。

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会社と自宅だけの往復だけではなく、酒場でひとり飲みをすることで、いろいろな変化が起きる。酒から始まる社外のコミュニティ、それが広がることで、人生にメリハリが生まれ、活き活きとした自分が見えてくる。敢えて言うなら、それを就活ならぬ「酒活」と呼ぶのかもしれない。

最後に、仕事上のつながりとは関係ない酒活だが、実際のビジネスと関係したこともひとつある。先に書いたように僕は人見知りで、雑談をするのもなかなか苦手だったが、居酒屋で他愛のない会話を続けることで、かなり「どうでもいい話」ができるようになってきた。

「こんな話をしても面白くないだろうな」と思ったことから口にしていくと、意外と相手もノッてくれて話がつながる。あっさり流されることもあるが、そのときはそのときで、そのうちに思いついたことをまた口にしてみる。人見知りで口下手で、雑談が何より苦手だった僕が「話せるかも」と感じる瞬間もあり、意外とビジネスにおいても役に立っているのかもしれない。

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著者:ロケットボーイみや (id:rocketboy_miya)

ロケットボーイみや

地元中心呑みライフにどっぷりなごくごく普通のサラリーマン。瓶ビールと冷奴とポテサラ、そしてアジとカツオの刺身をこよなく愛する。 酒とカメラとKindleとブログ書きで何時間でも過ごせるのが地味な特技。昼飯は蕎麦と決めている。
ブログ「Rocketboy Digital」を運営。

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