【連載・“最高の授業”を世界の果てに 3】アクションは熱いうちに

 

 The end of life is not knowledge but action.

―人生の最大の目的は、知識ではなく、行動だ。

 

映像授業によるe-ラーニングを新興国で実践。19歳でノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士に認められ、バングラディシュ・グラミン銀行グループの研究ラボ『GCC』初の日本人コーディネーターに。その後、独立。現在『五大陸ドラゴン桜 e-Educationプロジェクト』をかかげ、ルワンダ、ハンガリー、フィリピン、パレスチナなど、さまざまな教育問題に取り組んでいるe-Education代表・税所篤快氏(早稲田大学7年生・24歳)に“思い”を行動に移すフローについて聞きました。

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――『ドラゴン桜』もですが、発想はいつも漫画をヒントに?
アニメ、漫画、映画、本も一応ありますけど、ワクワクしますね。最近はまっている漫画はヤングジャンプの『キングダム』とか『3月のライオン』 。『キングダム』は、秦の始皇帝が仲間の武将たちと協力しあいながら、どうやって中国を統一していくかを描いた作品です。『3月のライオン』は将棋漫画で、家族の温かさを知らない主人公が、戦いながら家族愛を知っていき、成長していくという話。今の自分と生徒たちみたい? 言われてみれば、そうかもしれませんね。

――“思いつき”をカタチにするために必要なものは?
“即断速攻”と“具体的に始めること”。この2つが軸です。その時、やれることをやっていくイメージ。目の前のやるべきアクションは明確に見えていることが多いです。

たとえば本の中で気になる人が出てきたら、その人の講演会を調べて連絡をする。そういう小さな一歩を、いかに熱いうちに踏み出すかが大事。そもそも思いつきって翌日には冷めるじゃないですか。だから具体的に、8時間以内くらいで、何かしらのスモールアクションを起こしておいて次につなげます。

僕がグラミン銀行で働き始めた時もまさにそうでした。熱が冷めないうちに、『グラミン銀行を知っていますか』の著者、秋田大学の坪井ひろみ教授に高速バスで会いに行き、すぐにバングラディッシュへ渡りました。次の感動体験に繋いでいく。そのリレーが大事かと。

――行く国の決め方は?
たとえば旅先の古本屋でパレスチナの本を手にして興味を持ったら、「じゃあ、次はパレスチナへ行こう」という感覚です。全て自分の興味。他のメンバーにもそれを推奨していて、自分の興味や思い入れのある国でやってほしいと思っています。じゃないと面白くないので。

僕は面白いカリスマ先生が本当に好きなんです。僕自身もそうでしたが、バングラディッシュでもアフリカでも中東でも、面白い先生の授業を受けるという感動体験によって、人生が変わる人は多い。その機会を増やすことが自分の天職だと思っています。

――当初考えていたビジネスの軸と今の軸は変わりましたか?
初めはバングラディッシュのハムチャー村の先生不足を解決することしか頭になかったんです。それがやっていくうち、バングラディッシュだけかと思っていたら、どうやら世界の国々で、さまざまなニーズがあるらしいということが分かってきた。ヨルダンなら数学、ルワンダなら理科、ガザなら学習障害という具合です。それも全く太刀打ちできないニーズではなくて、「うまくアレンジすればいけるかも」みたいな、現実的なニーズです。

――世界の教育格差を埋めるために日本人ができることは?
世界の教育格差というと、マクロすぎて自分は腑に落ちません。あるのは、個別具体的な各地域でのニーズだけなんです。そこで日本人である自分たちが何ができるか。地域活性化の原則で“よそ者、若者、馬鹿者”ってあるじゃないですか。僕ら一人ひとりがその地域に関わっていくことで、新たな着火点にはなれるんじゃないかと。その時、しめった木の葉じゃなくて、偶然、乾いた葉っぱが多いところに火をつけることができたら、燃え上がって永遠の火みたいになる……かもしれない!! ですよね。

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3回に渡ってお伝えしてきた【“最高の授業”を世界の果てに】。いかがでしたか。税所氏は現在、e-Educationの活動をさらに世界に大きく広げるため、ハーバード・ケネディスクールへの留学にチャレンジすることを決めたそう。

世の中を変えたいという思いを持ち続けて、即断速攻で行動に移す。学生が8割を占める世界標準の教育ソーシャルビジネス集団“五大陸ドラゴン桜 e-Educationプロジェクト”。そのパッションと行動力に突き動かされますね。

人生はやるか、やらないか。

―あなたの叶えたい夢は何ですか。

※「リクナビNEXT+1cafe」2014年1月14日記事より掲載。年齢・役職等は取材当時のもの。

※現在のe-Educationの代表は三輪 開人さん。

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取材・文:山葵夕子
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