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不条理にキく処方箋(クスリ) ―希望のない会社にドロップキック―

Prescription Prices Ver3

Prescription Prices Ver3 by Chris Potter, on Flickr

はじめまして。僕はフミコフミオ。悪い意味でアットホームな会社で営業課長をやらされている。唐突だが、本日は会社で頻発する不条理を病と捉え、それに対する処方箋をご紹介したいと思う。

まずは諦めよ

まず「会社」とは納得のいかないことだらけの不条理なものだと諦めることが大事だ。定年まで諦念。それが重要。そもそも、価値観も年齢も経歴も学閥も出身地も好きな芸能人も異なる人間がひとつになり、ひとつの方向を向いて働く方が不自然なのである。

第一志望の会社に入れた人はまだいい。大半は違う。ある者はアップルやグーグルやフェイスブックに入りたいという身分不相応な目標に破れ、またある者はロック歌手になりたい、俳優になりたいというおめでたい夢幻に敗れ、「ここは、僕、俺、私がいる場所ではない」とくさくさした気分で働いているのだ。

もし、あなたのいる会社が一枚岩で、朝礼時に大声を上げるよう強制されたり、過酷な研修を課されて大した人物とは思えない先輩にアメと鞭の要領で調教されたり、休日を潰すようなバーベキューや運動会が頻繁すぎるほど開かれるような会社なら、それは不条理ではなく「無理」なので一刻も早い脱出をおすすめする。

会社の不条理に解決策はない

結論から言えば、会社で見られる不条理に解決策はない。絶望的なことを付け加えるようで忍びないが、会社には学校のように卒業がない。下手をすると定年までの数十年を不条理に苦しむしかないのだ。

「若い時分に味わった不条理な経験は人生の糧だよ。気付きだよ。シェアすべきだよ」とプラスに捉えるよう書籍などで指南する方もおられるが、すべてウソ。そんなウソだらけの指南にドロップキックをかましたい。そんな熱い想いと虚栄心が僕にこの文章を書かせている。

なお、ここで紹介する対不条理のテクニックは気休めの処方箋であり、決して、断じて、抜本的な解決策ではない。心身に変調を感じたら、しかるべき専門家に相談してほしい。


【症例1】文句ばかり言っている人が、自分よりも評価されている

【処方箋】追随して文句を言うべし

会社では黙々と仕事をこなす人よりも、仕事もできないのに文句ばかり言う人が評価される。悲しいけど現実だ。事あるごとに文句を言う人、通称 文句マンは評価される。なぜか? マナーモードのように黙々と仕事をしているよりも仕事デキル感がするからである。

歴史的に日本人は浦賀にやってきたペリー提督のようにズバズバ言う人が苦手で、そのような人の言動に対すると「なんか合ってるっぽい」「よくわからないけど正論っぽい」などとぽいぽい言いながら、検証することなく、服従し、評価を与えてしまう。

加えて、人を見る目が節穴な大部分の上役には、不満を口にしているだけの文句マンは問題意識を抱えているように見えてしまいがちだ。文句マンはメンドくさい人なのだ。数年で別の部署に人事異動になってしまう上役にすれば臭いものにはフタをする感覚で、文句マンにその実力以上の評価を与え、その場をおさめ、任期を全うしたいと考えるものだ。

一方で、黙々とマジメに働く人について、人々は「指示やルールに従って誠実に黙々と働いている人っていいよね」と言うが、良くも悪くも「いいよね」止まりなのである。「いいよね」は つまり都合いいよね。上司から見て、預かっている部下にガンダムとザクほどの性能の差はない。「いいよね、のあいつは平均的であるし、黙々して何を考えているかわからない節があるが、特段評価しなくても黙々だから別に後回しでいいよね」となり、結果、没落するのだ。

デキる感×メンドくささ+黙々の地味さ が、この不条理の正体である。

けれども安心してほしい。僕の経験上、文句マンも中長期的には没落する。なぜなら文句マンが不当な評価を受けて出世した先には、“米国帰りのドライなビジネス感覚を持つCEO”のような人が待ち構えており、そこでその手法は通用しないから。

「A案では無理です」
「オッケー。イッツ A イズ インポッシブル。ジャア、ユーノイケンヲ キカセテホシイ。ソコマデイウナラ カッキテキナ ソリューションヲ ハブシテイルハズデスヨネ」
「いや無理と言っているだけでソリューションはありません
サッサト ニモツヲ マトメタマエ!!

このとき黙々と働く人は救済される。問題は、文句マンが没落するまで、数十年の不遇に心身が耐えられるか。「ウサギとカメ」のカメになれるかだ。

カメはイヤ」。そう思う方が多いはず。僕もそうだ。できることなら元気なうち体が動くうちに金がほしい。偉くなりたい。ウサギのように女の子の周りで飛び跳ねたい。そこで、カメになりたくない僕が、文句マンにどう対峙したかをお話しておこう。

必殺 文句リフレイン である。

簡単だ。文句マンに同調して文句を言ったのだ。内容や思想はいらない。オウム返しでいい。

「A案では無理です」
私もA案は無理だと思います」

という風に。

プライドが邪魔して文句マンに同調するのはちょっと……と思うなら文句マンに対抗するのもあり。

「A案では無理です」
「A案が無理? なんで?
「A案は無理なんだよ。うっさいなー」
「無理? なんで? どうしてそう考えるの?」

見えてないものが見えている風にやると、文句マンには効果テキメンなので実際に試してもらいたい。

そして試してみればわかることだが、これらの方法で出世はできない。しかし、文句マンの出世だけは妨害できるはずである。やりすぎると僕のように窓際の席をあてがわれるという副作用もあるので注意してほしい。皆の健闘を祈る。

Three Desperate Men

Three Desperate Men by Bezalel Ben-Chaim, on Flickr

【症例2】「責任は俺が取る」と言った人が、失敗しても責任を取らない

【処方箋】トカゲの尻尾切りのサイン。警戒して報告すべし

責任は俺が取るからやれ」と言って仕事を押し付けるだけ押し付ける上役がいる。ドラマや映画では実際に責任を取る熱い上役もいるけど、それは「こんな上役がいたらいいな」という願望の投影、つまりファンタジー、ハリーポッターである。

もちろん、責任にも大小あって、それは仕事の重大さとほとんど同義なのだけれども、コピーやホチキス止めのようないわゆる雑務を任せる際にいちいち責任を取ると言ってくる上役がいたらできるかぎり避けるようにしたほうがいい。ライフイズベリーショート。タイムイズマネーなので。

よく考えて欲しい。本当にしくじってはいけない重大かつ利益が見込める仕事を自らの責任、責務と考えているのなら、常日頃内心では無能力と舌打ちをしている下々の人物に投げたりしないはずである。

なぜそこまで上役の内心が手に取るように分析できるのかというと、僕が中間管理職という上でも下でもないファジーな立場におり、部下に対して常々そう思っているからである。

大事MANブラザーズバンドの歌詞のようで申し訳ないが、会社では、負けないこと投げ出さないこと失点しないこと、それが一番大事、なのだ。不条理の巣窟たる会社においてプラス評価は翌日には忘れられ、マイナス評価は定年まで遺恨のように忘れられない。

会社にとって大切、重要で成功すれば立身と将来が約束されるような仕事、しかし、メリットの大きさに比例して難易度までも無駄に高い仕事。もし、そんな仕事を自分でやって、成功するのならともかく、しくじったら? 社長や取締役から激しく叱責され、会社での将来と心身に著しいダメージが残ってしまう。

それならば、下々に投げてしまおう。責任を取るとか言うとかっこつくしね。危機管理。リスクコントロール。成功したら部下を見る目があるという感じで評価の対象になるしね。そういうマインドの動きを上役はしているのだ。

なので、責任を取ると言われて投げられた仕事は断るのがベスト。とはいうものの、それができるくらいの精神力があるのなら会社勤めなどせずに事業を興すなどして左手でうちわのはず。

もちろん僕も十数年の会社勤めにおいて、幾度も上役から責任を取ると言われ、しくじってはいけない仕事を任されてきた。たいていはしくじって始末書や理由書を書いたものだが、何度かは投げられた責任の回避に成功したこともある。

それは フェイント報告 という手法による。

しくじってはいけない仕事を終えたら、投げてよこした上役にこう笑顔で言うのである。

「部長、例の仕事、なんとか終えました」。

すると部長は「本当か!」と狂喜乱舞、そのまま「社長に報告しよう」という流れになる。

自分が任せた仕事が上手くいった。会社にとって大切かつ重要な仕事だ。この仕事をやったのは部下だ。部下の手柄は自分の手柄だ。そんなジャイアン思想の表れである。プラスの責任だけは負うという都合のいい考えでもある。

フェイント報告のポイントは「成功した」と絶対に言わないこと。スマホの普及により会話は録音されている可能性があり、嘘は命とりだ。

連れて行かれた社長室、成功我が物顔の部長の前で社長に

「部長に全責任を取ってくださると言っていただいたので全力を尽くせました。終わりました。けれども残念ながら結果はしくじりました。大敗です。全責任は部長にあるとはいえ、力不足で申し訳ございません。部長には部下の力をはかる眼力および管理能力が欠如していると思われます」

と言えば、責任の幾分かを上役に被せられるかもしれない。

もっとも、多くの場合、社長と上役の両者から叱責十字砲火を浴びるという最悪なパターンに陥るので、会社の情勢や社長の機嫌をよく確認して実行していただきたい。僕は社長の機嫌を読み違えた結果、この夏、社長が面白半分で取得した海の家で働かされるはめになった。

* *

このように会社というのは不条理の塊。無理……と思ったら、過大な負荷によって心身が壊れてしまう前に離脱するのがベストである。

Hopeless dream

Hopeless dream by Asif Salman, on Flickr

しかし、いくら不条理きわまりない地獄であっても希望はある。それは、どれほど不条理な会社、上司、同僚であっても、基本的に日本の会社の根底にはお客様第一主義的な、お客様によく思われたい哲学が脈々と流れていることだ。なので、退職したら「客」として再会するといい。それではまた。

著者:フミコフミオ (id:Delete_All)

フミコフミオ (id:Delete_All)

海辺の町でロックンロールを叫ぶ不惑の会社員です。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在の主戦場ははてなブログ。内容は日常生活の中で生まれては消えていく小さな幸せの記録です。更新頻度は不整脈のように不定期。でも、それがロックだろ?ブログ「Everything you've ever Dreamed