「今の仕事は自分に向いていない」と感じたときはどうしたらいい?

「仕事にやりがいを感じない」「達成感を感じない」「数年後の自分が想像できない」など、今の仕事は自分に向いていないのではないかと悩む人も多いようです。本当にその仕事が向いていないのか判断する方法や、自分に向いている仕事の見つけ方などについて、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに伺いました。

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「仕事が向いていない」と思う代表的な理由(原因)とは

そもそも、どんなときに「今の仕事は自分に向いていない」と感じるのでしょうか。自分に向く仕事を見つけるためには、まず原因を分析してみましょう。よく見られるパターンをご紹介しますので、自身に照らし合わせてみてください。

仕事にやりがいを感じない

「やりがいを感じられない」とは、「前向きに取り組めない」「仕事に魅力を感じられない」状態です。その要因を細かく分解すると、次のような要素が挙げられます。

  • 自社の商品・サービスに自信や誇りを持てない
  • 仕事のやり方に、自身の考えやアイデアを反映できない
  • 自分ではなくてもできる仕事、自分がいなくても仕事が回ると感じる
  • 評価に納得できない
  • 成果を挙げても報酬に反映されない
  • 職場の風土やカルチャーに合わないと感じる
  • 職場の人間関係が希薄、仲間との一体感を持てないなど、孤独感がある
  • 会社のビジョンが曖昧で共感できず、目標を持てない

仕事で失敗ばかりしてしまう

仕事で失敗したり、上司から注意や叱責を受けたりすると、「向いていない」と考えがちです。確かにその仕事に対する能力やスキル不足が失敗を招くこともありますが、その会社のやり方が合っていないだけというケースもあります。

一方で、同じパフォーマンスでも他業界・他社であれば「失敗」と見なされず、むしろ「ナイスチャレンジ」と捉えられることもあります。

仕事に達成感を感じない

仕事の成果が出ていない、あるいは成果を実感できていない状態です。目標を達成できていないなら、それは自身の要因かもしれないし、会社・商品・市場環境が要因かもしれません。また、会社から与えられた目標を達成してはいても、自身の成長やスキルアップの手応えがなく、報酬などに反映されない場合は、達成感を味わえないこともあるでしょう。

数年後のキャリアがイメージできない

今の会社で今後どんなキャリアを歩んでいけるのか、目標となるようなロールモデルがいないと、ポジティブなイメージが持てずに悩む人も多いようです。「このまま頑張っても意味がない」と感じている状態です。

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8,568通り、あなたはどのタイプ?

仕事が向いている・向いていないの判断方法とは

現在の状況や一時的な感情だけで「今の仕事は自分に向いていない」と思い込むのはもったいないことです。やり方を変える、あるいは少し視点を変えるだけでも、自身に向いている要素を発見できたり、成果を挙げられるようになったりするかもしれません。

一人で考えるだけでなく、次のような方法を試してみてください。

上司や同僚に相談してみる

「頑張っているのに会社から評価されていない」と感じるのであれば、自身の行動と、会社があなたに求めている行動にギャップがある可能性があります。

例えば、「じっくり時間をかけて取り組んでいるが、会社としては生産性を上げて短時間で成果を挙げてほしい」「独自のアイデアを実践しているが、会社としてはチームワークを重視してほしい」などが挙げられます。

まずは上司に相談し、「自分は何を求められているのか」を確認してみてはいかがでしょうか。もし、上司とのコミュニケーションがかみ合わない場合は、さらに上の上長か人事担当者に相談する手もあります。

また、「成果が挙がらない」「仕事が面白くない」といった場合は、成果を挙げている同僚や楽しそうに働いている同僚に話を聞いてみましょ。成果を挙げるノウハウややりがいを感じるポイントなど、自身にはない視点を得られることもあります。

直属の上司や同じ部署の同僚と話しても状況が変わらなければ、社内の他部署の人と話してみるのもお勧めです。興味を持てるポイントが見つかれば、社内異動を申し出る手もあります。

社外の人と対話してみる

社外の人と対話する機会を持ってみましょう。異業界・異職種で働く友人・知人と話してもいいですし、さまざまな業界の人が集まるセミナーやワークショップなどを参加してみてもいいでしょう。

より「自分に合っている」と感じる業界・職種が見つかる可能性がありますし、逆に自身の業界や会社の魅力に気付けることもあるものです。

キャリアの専門家に相談する

キャリアコンサルタントやキャリアコーチなど、キャリアに関するプロと対話してみるのもいいでしょう。厚生労働省が運営している「キャリコンサーチ」(正式名称:キャリアコンサルタント検索システム)では、「国家資格キャリアコンサルタント登録者」と「キャリアコンサルタントを探している企業や個人」のマッチングサービスを提供しています。

また、転職エージェントでは、転職する意思を固めていなくても、キャリアの相談をすることが可能です。このほか、求人紹介を前提としない「キャリアコーチング」のサービスを提供している企業もあります。

「適性診断」を受けてみる

「適性診断」「適職診断」などを受けてみるのも一つの手です。自社内にある適性テストや育成プログラムなどを活用し、フィードバックを受けてはいかがでしょうか。Web上にも、自己理解のためのさまざまなアセスメントツールがあります。

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仕事が向いていない場合は辞めてもいい?

「やはり今の仕事は自分に向いていない」と考えても、安易に会社を辞めることはお勧めできません。退職する前に、次のことを試してみてください。

仕事を辞めずに、さまざまな求人に触れてみる

今の仕事を続けながら、転職活動を始めてみてはいかがでしょうか。自分に合うと確信できる求人が見つかれば応募してみるのもいいですし、いろいろな業種・職種を見るうちに「やはり今の仕事をもう少し頑張ってみよう」という気持ちになるかもしれません。

転職活動にはさまざまな手段があります。手軽なのは転職サイトで求人情報を閲覧してみること。業界・職種を絞らずさまざまな求人を見てみるうちに、自分の興味・志向がつかめてくるでしょう。

転職ならリクナビNEXT

転職サイトに経歴や希望条件を登録しておくのもお勧めです。企業などからオファーが届くことで、自身の経験が市場でどのように評価されるかがわかります。

転職エージェントを利用すれば、キャリアアドバイザーとの対話の中で自分の強みを発見し、それを活かせる企業の紹介を受けられる可能性があります。

「社内異動」の可能性を探る

「社内異動」が可能かどうかも検討しましょう。例えば、同じ「営業」であっても、「新規開拓」か「既存顧客のフォロー」か、あるいは扱う商材、対象顧客層によって向き・不向きがある場合も考えられます。

対人コミュニケーションよりも数値分析が得意であれば、マーケティングや企画などの部門で活躍できる可能性もあるでしょう。「社内公募制度」などの有無を確認し、そうした制度や仕組みがなければ人事担当者に相談してみましょう。

自分に向いている仕事を見つけるにはどうしたらいい?

自身に向いている仕事を見つけるためには、次の方法を試してみてください。

「四象限マトリクス」を活用する

これまで経験してきた仕事を細かく書き出し、以下4つの象限に当てはめてみます。

  • やる気が上がる
  • やる気が上がらない
  • 結果が出せる
  • 結果が出せない

「向いていない」と思う仕事であっても、意欲が高まった場面や成果を出せたこともあるのではないでしょうか。それを洗い出してみます。もし「成果と言えるものがない」という場合は、「周囲からほめられたこと」「感謝されたこと」を思い出してください。

以下図の右上の「やる気が上がる」かつ「結果が出せる」に分類された業務が「向いている」と判断できるでしょう。

●四象限マトリクスを活用した自己分析例

四象限マトリクス画像

モチベーショングラフを作成する

社会人になってからこれまでの「自分史」を作成し、その時々の気持ちを曲線で表します。前向きに取り組んだ経験を思い出すことで、自身が仕事で大切にしていること、やりがいを感じる場面が浮き彫りになります。社会人経験が浅い人は、学生時代から作成してもいいでしょう。

●モチベーショングラフを活用した自己分析例

モチベーショングラフ画像

企業に求める要素を「4つの観点」で可視化

「向いている・向いていない」の感覚は、業務内容だけでなく「どんな職場に所属するか」によっても左右されるものです。自身が職場に求める要素を、次の4つの観点から整理してみましょう。

「目的への共感」── 企業理念に共感できる、ビジョンにワクワクする
「活動内容の魅力」── 扱う商品・サービスが好き、仕事内容が魅力的である
「構成員の魅力」── 風通しの良い社風である、優秀な従業員が多い
「特権の魅力」── 給与・福利厚生・勤務場所・評価・教育制度など

現在の仕事について、それぞれの項目に「10点満点」で点数を付けます。次に、「自分が理想的だと感じる職場の状態」についても、同様に点数を付けます。この時、「合計点数」は現在の仕事と同じにしてください。

これにより、自身が職場に対してどのような要素を優先しているのかが可視化されます。結果次第で、転職先を選ぶ軸としてみてはいかがでしょうか。

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粟野友樹氏組織人事コンサルティングSeguros
代表コンサルタント粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

取材・文:青木典子 編集:馬場美由紀
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