自分をラクにする秘訣─「執着を手放す」ための3つの方法

行雲流水という、「物事に執着せず行動すること」を表した言葉がありますが、そのような境地にはなかなか至れないものです。執着を捨てることができれば、ストレスから開放されるかもしれない…わかっていても、簡単にはいきません。

女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を手掛ける川崎貴子さんご自身にも、執着まみれの過去があったものの、ある大事なことに気づき、今では執着を手放すことができているそう。

そんな川崎さんに、今回は「執着を手放すためのアイディア」について語っていただきます。

執着をゴミ箱に捨てようとしている若い女性

プロフィール

川崎貴子さんプロフィール用画像川崎貴子さん

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

なかなか手放せないがゆえの「執着」

20年以上、キャリアカウンセリングに始まって、今では男女関係や夫婦関係のカウンセリングまでを手掛けている私は、いつも相談者さんに対して思うことがあります。

「この人の、〝この執着″を取り除けるなら何とか取り除いてあげたい」と。

自分の抱えている執着の正体にすぐに気づいて前を向いて歩ける人は良いのですが、執着を手放すのに時間がかかる人、いつまでも苦しみから逃れられない人、なかには執着の存在に自分で気づいていない人まで、執着と悪戦苦闘している人はたくさんおります。

かくいう私自身も、定期的にカウンセリングを受けていますが、自分自身の執着にはなかなか気づけず、気づいても切り替えるのは容易ではなく、相談者さんたちのお気持ちは痛いほどわかるのでした。

特に最近ではコロナの影響で、より強いグリップであらゆる物に執着し、苦しんでいる人が増えているように思います。

執着というと「恋愛関係」を連想する人が多いかもしれませんが、夫婦関係でも、親子関係でも、仕事や会社、友人知人、お金や持ち物などなど、ありとあらゆるものが執着の対象となり得ます。特に環境の変化による不安から、ますます「手放すまい!」と、頑なになってしまいがちなのです。

なぜ「執着」してはいけないのか?

例えば「真実の愛情」と「執着」、例えば「あきらめない気持ち」と「執着」は線引きが難しいという質問をよく受けるのですが、一番大きいのは「視野の広さの違い」だと私は考えています。

自分の愛情に目がくらみ、相手の幸せを考えられないのは「執着」ですし、俯瞰して自分の立ち位置を冷静に見定める見ることもせず、やみくもに続ける努力は人から応援されづらく、「執着」に映ることでしょう。

自分ひとりで、誰にも迷惑をかけずに遂行するなら問題ありませんが、「執着」は、強ければ強いほど、対象者や仲間、生活を共にする人にとっては少なからず負担や迷惑がかかるものです。また、自分自身にとっても「執着を手放さない」弊害はあります。

執着真っ最中の人間というものは、それを「純粋な愛」「不屈の精神」だと思い込もうとします。

なぜなら、そのほうが自分にとって都合が良いから。自分を正当化できるし、自分自身深く傷つかないからです。

「本当は独りになるのが不安」「私は愛されるに値する人間じゃない」「自分に才能なんてない」というような絶望的な気持ちを自分に対して巧妙に隠したい時、人は視野狭窄に陥り、美しくパッケージ化しようとします。

でも、当然ですが、自分をごまかしているにすぎないので根本の問題は解決しません。恋愛の場合だと、すがるように「私のこと愛している?」と聞きながら常に不安で、ずっと孤独を味わい続けるのです。

こんな風に、「執着」は周囲の人間も、自分自身も、誰も幸せにしないもの。早々に自覚して手放して、次の局面に進もうではありませんか。私はいつも、過剰な執着を抱えた相談者に出会うと、そんなふうに、アドバイスしています。

ここで、執着を手放すためのアイディアを3つ紹介します。

執着の手放し方その1:必要とあらば損切りの判断も

私たちは何かを判断するとき、費やした時間や労力やお金に目を曇らされます。本当は別れたほうがいいと思っている腐れ縁の彼も、「5年も付き合ったし、こんなに尽くしたんだから」と自分に納得させてだらだらと付き合ってしまう。

これは、会社や仕事も同じです。もっと良い道がほかにあるのに、これまでのやり方に執着して機会を損失してしまうことはよくあります。幸せな人生に軌道修正するために、ときには「損切り」も大切。

執着の手放し方その2:過去の成功や「なんとかなった」ことにフォーカスする

まずは自分が隠している「本当の不安」は、何から来ているのか分析してみましょう。

例えば「両親が厳しくて甘えられなかった」とか「幼少時から人見知りで、なかなか人の輪に入れない」とか、人はそれぞれ要因となるものを何かしら持っているわけですが、その時の感情を認めてあげましょう。

これは誰かに話を聞いてもらってもいいし、自分で書きだしたりしても良いです。悲しかったり不安だったりした自分の感情を認め、外に出すことが大切です。

そして次に、成功体験を思い返してみてください。努力の末に得たもの、「ラッキーだった」と思うもの、どちらでも構いません。「成功体験なんてないよ…」とすぐには思い当たらない人がいるかもしれませんが、「なんとかなった」レベルのできごとも成功体験として考えてください。じっくり振り返ってみると、なんとかなったことは割とあったことに気づくはずです。

不得意な教科があってもなんとか高校を卒業できた、とか、大学は第2志望のところだったけどそこで生涯の友に出会えた、とか、就活が思うようにいかずしぶしぶ入社した会社だったけど思いのほかやりがいを得られる場所だった、とか。

私たちは不思議なことに、傷ついた経験や失敗体験はよく記憶し続け不安材料にする一方、うまくいった体験やラッキー体験は忘れがちになる傾向があります。でも実は、この「なんとかなったこと」が、執着からの開放のヒントになることがよくあるのです。

「なんとかなった」のは、執着を捨てたからではありませんか?
自分が今必死でつかんでいるものを手放しても、大丈夫だったのではありませんか?

もしそうだとしたら、「難しく見える状況でも実はなんとかなるかも」と過去の経験が教えてくれたことになります。それを活かして、「今を生きること」に注目しましょう。

自分自身が思いもしなかった方向へ動くことによって歴史は変わるわけであり、今を変えることによって未来が作られるのだとイメージしてゆきましょう。

執着の手放し方その3:完璧主義をやめて自分マターで生きる

執着するということはすなわち、自分じゃない誰かや物など、何かしらの対象が存在するということです。

あ、「若さや美への執着」なんていうのもありますね。これは多少努力が及ぶ部類かもしれませんが、「老い」に逆らうにも限界がありますから、「理想主義」を貫こうとするのはほどほどにしておきましょう。自分自身はおろか他人の価値観まで否定するようになり、周りの人を傷つけることになりかねません。

また、他人の評価に振り回されたり、自分がしたことに対しての見返りを求め続けたりするのもやめましょう。本当の自分はどう生きていきたいのか、本当はどういう状態が幸せなのかを、この際とことん考えてみましょう。

他人には寛容で、自分自身の軸をしっかりと持ち、自分マターで生きることが「執着」を遠ざけます。

最後に

私は今40代後半なのですが、10年前はもっと執着にまみれていたように思います。(今も修行中ですが!)

それには私のエネルギーも関係していると思っていて、年月を経るうちに生物として弱ったから収まってきた、という自覚も否めません。エネルギッシュであればこそ、他人の芝生はどうしようもなく青く見えて、他人や物に執着してきたというわけです。

しかし、一応そんな嵐の時代を終えたからこそわかるのは、「自分を真から幸せにできるのは自分だけ」という、至って普通でまっとうな事実(真理でもあります)でした。

夫でも子どもでも友人でも部下でもない、私自身が私を幸せにしないで誰がするんだ!という矜持と、「この後の人生もなんとかなりそう」という楽観主義に支えられ、今はかなり快適な人生を送ることができています。

手放せない執着は、不安の上に不安をどんどん上塗りするようなものです。自分の人生のハンドルは自分で握り、好きな方向に好きな速さで、ドライブしてゆきましょうね。

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イラスト:yoko

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