仕事に対する夢、やりがい…探しても見つからないワケとは?――マンガ『エンゼルバンク』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー(→)。今回は、三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第34回目です。

『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「仕事に夢だのやりがいだの言っているうちは、本当の努力はしない」

(『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第4巻 キャリア33より)

龍山高校の英語教師だった井野真々子(いのままこ)は、10年目にして仕事に飽きてしまい、転職を決意します。井野は、かつて一緒に働いていた弁護士の桜木建二(さくらぎけんじ)に相談。桜木は以前、経営破綻の危機にあった龍山高校で教鞭を取っていた時期があり、東大合格者を輩出することによって当校を救った救世主でした。

井野から話を聞いた桜木は、転職エージェント会社の転職代理人・海老沢康生(えびさわやすお)を紹介。井野は海老沢の下でキャリアパートナーとして働くことになりますが…。

働く理由が「お金」では、不純なのか?

井野は、かつての教え子で現・東大生の水野が、お金のために実家で水商売のアルバイトを始めたと聞きつけます。井野が会いに行ってみると、水野は自分の将来について桜木と相談した上で、「卒業後は億を稼げる外資を目指す」決心をしたことを打ち明けます。

真意を問いただそうと、桜木を探す井野。ところが桜木からは、逆に「金を基準に仕事を選んで、何が悪いんだ?」と切り返されてしまいます。「金で人が汚れるなんて、バカバカしい」と取りつく島もない桜木。「本当は、水野が自分より金持ちになるのがイヤなだけじゃないのか?」と言われて、井野は返す言葉がありません。

桜木は「夢を語るだけでは、何も変わらない」と言います。「そこへいくと、水野は金持ちになる方法を自ら考えて、具体的に行動している。これこそ、夢を夢のままで終わらせない唯一の方法だ」と語るのでした。

仕事に対して「夢」がない人はどうすればいいのか?

一般に、世間では「仕事で叶えたい夢や理想を持っていると、それがモチベーションとなって、目標達成の原動力になる」とされています。けれど実際、サラリーマンの方の中で「あなたは将来、どうなりたいですか?」と聞かれて、即答できる人は多くはありません。ほとんどの人は、今のことで手いっぱいであり、将来のことまで考えている余裕はないのが実情です。

大半の人は、夢や希望どころか、今年の目標すらも持っていません。それはおそらく、「夢だけでは生活していけない」と考えるのが、現実だからでしょう。だからといって、現在「私には夢がない」という人でも、心配する必要はありません。

なぜなら、かく言う私も、もとは夢を持つタイプの人間ではなかったからです。それでも今は独立起業し、自分のやりたい事業をいくつも同時に動かし、大好きな仲間と好きなだけ仕事をしています。

私は自分の経験から、「夢を持って追いかけて事を成すタイプ」と、「自分の得意分野にフォーカスして新しい選択肢を手に入れるタイプ」がいると思っています。

「嫌い」から始まる事業だってある

もちろん、中には仕事に対して壮大な夢を抱き、それに向かって走り続けられる人もいるでしょう。それができれば1番いいのですが、できない人はどうしたらいいのか、私の事例をお話しましょう。私は現在、金融の専門家とともに、一般社団法人日本IFP協会公認マネースクール(IMS)を共同運営しています。とはいえ、私自身は金融畑の人間ではありません。それどころか、投資家としては、最初は失敗続きでした。

そこで、「自分自身が苦手としていた分野で上手くいくようになったプロセスを世に広めれば、多くの人のお役に立てるのではないか?」と考えました。これがマネースクールを立ち上げた、そもそもの発端です。私にはスクールビジネスの経験があり、他人に何かを伝えるのが得意でした。そして、金融の専門家と人脈を持っていました。つまり、自分の持つリソース(資源)と世の中の需要を結びつけたのです。

ビジネスで大切なのは、最初に自分の持っている能力とリソースを活かせる分野を選ぶことです。それらを活かすことができれば、他との差別化要素になります。多くの人は、「何をすれば稼げるか?」という需要から先に考えます。だから、それに振り回されてしまうのです。

仕事のやりがいは「探せば見つかる」ものではない

現在、マネースクールの運営にはとてもやりがいを感じています。

開校から2年強で300人近くが集う会員の方にご満足いただけている様子を直に拝見し、時代に求められている手応えを感じているからにほかなりません。今回、お伝えしたいのは、仕事の夢ややりがいは、探して見つかるものではなく、「自らつくり出すものだ」ということです。

話を『エンゼルバンク』に戻しますと、要は仕事を選ぶきっかけは、何でもいいのです。もし、あなたがすでに働いている方なのであれば、今いる会社から与えられている環境下で、成果を出すことに集中することが大切です。貢献を通じて得意分野を見出したり、協力者を増やしたりことができれば、あなたが「できること」が自然に増えていきます。

俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン(→)』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?(→)』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」(→)』を上梓。著作累計は42万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

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