通勤電車東西対決!西の「阪神」vs.東の「○○」

「まったく違うエリアを走っている路線や、違う鉄道会社が運行している路線なんだけど、“なんとなく似ている感じがする”」体験、皆さんにはありますか?

今回は『鉄道的な視点』から、似ている路線を持つ関東と関西にある、大手私鉄の例をご紹介したいと思います。

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鉄道的「似ている」の定義とは

一言で「似ている」といっても、その定義や解釈はいろいろあります。

「車両の性能や仕様」「駅やホームなど鉄道施設」「電車の運行形態」「駅員や車掌の人柄」などなど。そのため、そうしたすべての視点でチェックすると、大体の路線は何らかの項目で「似ている」ことになります。

例えば東京と大阪、それぞれを代表する路線として有名な「山手線」と「大阪環境線」の場合、鉄道に詳しくない方でも「似ている」と感じるのではないでしょうか。

それは共に「環状線」という路線形態が、大いに影響しているでしょう。日本で環状線を形成している路線は少ないので(他に名古屋市営地下鉄名城線や都営地下鉄大江戸線※正式には6の字運転形態、など)特に似ている印象を受けるのだと思います。

一方、「環状線」であること以外に注目すると、実は異なる点も多数あります。

●山手線はすべて普通電車かつ4扉11両編成の同一車両による運行
 VS
●大阪環状線には、京都線や大和路線など、他路線から乗り入れる特急電車や快速電車が多数運行されている

●山手線は、ほぼすべての車両が終日周回運転されている
 VS
●大阪環状線のみを運行している電車でも、区間運転しているケースがある

この2つの点だけでも、「かなり違うな」というイメージを持たれるのではないでしょうか。

…というわけで、このコーナーで定義する「鉄道的に似ている」について、「一見すると全く違うんだけど、よくよく観察するとなんとなく似ている」という、かなり主観的な内容でお届けしたいと思います。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

なんだか似ている路線:「京急」と「阪神」

さて、半ば強引に話を進めていきますが、関東と関西で「似ている」路線といえば、ズバリ「京急電鉄」と「阪神電鉄」ではないでしょうか。

どちらも大手私鉄として、京急は主に三浦半島各地~横浜~品川・泉岳寺、その先都営浅草線や京急線に乗り入れて成田空港へ。また最近では羽田空港へのエアポートアクセス強化を推進していることでも注目を集めています。

一方、阪神は大阪・梅田~神戸・元町を結びつつ、西は神戸高速線や山陽電鉄に乗り入れて姫路へ、また東へは阪神なんば線・近鉄奈良線に乗り入れて奈良まで運行。

どちらも自社路線に限って言えば、それほど長距離ではないのですが(※特に阪神は路線長48.9kmと、大手私鉄でも相模鉄道に次ぐ短さ)、他社に乗り入れることによって広大な運行範囲をカバーしています。

この2つの私鉄の似ているポイントをご紹介します。

  • 海岸沿いをメインルートとし、沿線には工場地帯や下町が多くある
  • メイン路線でも大手私鉄では珍しく、4両編成の電車が運行されている
  • 1車両18m/19m級&3扉中心の運行形態
  • 近年導入されている車両は、ステンレス製の銀色ベースが主体(※それ以前は鋼製やアルミ製)
  • 線路の軌間が新幹線と同じ標準軸

さらに鉄道視点で見た時の最も大きな共通点は、

◎通勤電車として、国内屈指のスピード&加速度を誇る

だと思います。

阪神では「ジェットカー」と呼ばれる通勤車両が自慢の加速度で発車後、最高速度91kmまでわずか25秒で到達。某人気バラエティ番組でも、ジェットカーとタレントチームが競争する企画で盛り上がりました。

一方、京急では通勤電車としてはトップクラスの最高速度120km(品川~横浜間)で一気に駆け抜けるなど、昔からその俊足を生かしたスピード運転が特徴です。

高度経済成長期のころから採用された赤い車体にちなみ“赤い弾丸”と呼ばれ、特に線路沿いギリギリに民家が密集する京急川崎~三浦半島の地上区間&急曲線をトップスピードで駆け抜ける様は、まさに圧巻の一言。

実は同じ区間を並走するJR東海道線もかなりの俊足ですが、京急に比べ直線かつ線路沿いに空間があるため、より京急のスピード感が高まり、なかには恐怖感さえ覚える方も…。

――いかがでしょうか?

海岸沿いの工場&下町エリアを、通勤電車がトップスピードでビュンビュン飛ばす

こうした共通点を知るだけでも、なんだか妙に親近感を抱くようになりませんか?今後も機会があれば、ぜひご紹介していきたいと思います。

WRITING:山田モーキン イラスト:海月あいる

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