カラオケで歌っても引かれない?!珠玉のアニソン5選 ―笑えるコミックソング編―【オタク社会人ノススメ】

 こんにちは、中年オタク社会人の富士野一徳です。

 アッパー系としっとり系の二系統の曲を押さえておけば、不意のカラオケでも選曲に困ることはあまりない……のですが、どちらでも対応できないケースというのも稀にはあります。その一つが「笑える歌」。例えば女子多めのお祝いの場など、陽気でありながら、熱血ソングのような「カッコよさ」は歓迎されない空気というのは確かに存在するのです。

 非オタの人々から笑いを取る、というのは、オタクにとって最も難易度の高いミッションの一つではありますが、そこは社会人、ぐっとこらえて慣れないジャンルにも挑戦してみましょう。今回は笑える歌、コミックソングをいくつかご紹介します。

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死ね死ね団のテーマ(キャッツアイズとフレッシュ)

『愛の戦士レインボーマン』(1972)挿入歌

 戦時中日本軍に虐待された東南アジア系の人々で構成された、日本人の絶滅を目論む秘密結社「死ね死ね団」と戦うという、今では絶対放映できないエクストリームな設定を持つ特撮ヒーロー番組『愛の戦士レインボーマン』の挿入歌。ファンキーなメロディに乗って、日本人に対する怨嗟と「死ね死ね死ね……」というフレーズが延々繰り返されるという、ナパーム・デスも真っ青の激烈な電波ソングで、実に歌詞の半分以上が「死ね」という言葉で占められています。

 内容が内容だけに歌う時と場所は慎重に選ぶ必要がありますが、ネタ曲としては第一級の破壊力を持っています。ただアドバイスとして、非オタのカラオケで歌う時はフルコーラス歌わず、一番が終わったあたりで止めておきましょう。経験上、はじめのうちは面白がって聞いてもらえますが、二番に入るあたりから皆げんなりしてきます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

俺は社長だ(たいらいさお)

TVアニメ『無敵ロボ トライダーG7』(1980)エンディングテーマ

 亡き父親の後を継いで、小学生にしてロボット派遣会社「竹尾ゼネラルカンパニー」の社長を務める少年・竹尾ワッ太の活躍を描く下町人情系ロボットアニメ『無敵ロボ トライダーG7』のエンディングテーマ。社員わずか五人、何をするにもまずソロバンをはじき、毎日が自転車操業……という零細企業を小学生の身で引っ張っていかねばならない主人公の苦労を、どこかトボけた調子で歌い上げた佳曲。

 まあ零細企業とはいっても時代は安定成長期、子供向けアニメであることもあり、今この言葉から想像されるほどの悲壮感はないのですが(いい時代だったんだなあ)、さんざん威勢のいいことを言って部下の尻を叩いた後、「口では発破をかけるけど、社長は辛ぇよなあ……」としみじみ呟くあたりなど、時代をこえて管理職なら誰でも共感できる内容になっています。

 ちなみにこのトライダーG7、あの『機動戦士ガンダム』の後番組だったりします。今では一大ブランドとなっているガンダムですが、本放映当時はあまり人気がなく、そのため後番組はまるで違う方向性のものになったのですね。

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どびびぃ~んセレナーデ(きたむらけん)

TVアニメ『タイムボカンシリーズ イタダキマン』(1983)エンディングテーマ

 アニソンでコミックソングと言ったらこの人を外すわけにはいかない、シンガーソングライター山本正之。「タイムボカンシリーズ」「J9シリーズ」等、子供の頃アニメが好きだった40代なら山本サウンドのどれか一つか二つは耳に染みこんでいるはず。そのタイムボカンシリーズの掉尾を飾る(リアルタイムでは。その後年月を経て何度かリバイバルしましたけど)『イタダキマン』のエンディングテーマです。

 和風カントリー調のイントロからの、懐かしさを感じさせる呑気なメロディーと、コミカルながらも哀感を漂わせる歌詞がちょっとクレージーキャッツを思わせる、正統派のコミックソング。一見ふざけたような歌詞もちゃんと意味を追うと、どれだけ失敗しても諦めず、恵まれた連中を何くそと見返してやるという泥臭い雑草魂を歌っており、しみじみ聴くこともできる懐の深い名曲です。

溝ノ口太陽族(manzo)

TVアニメ『天体戦士サンレッド』(2008)第1期主題歌

 川崎市溝口を舞台に、世界征服を企む悪の組織フロシャイムと正義の味方サンレッドとの戦いを描く……という名目で、彼らの生活臭あふれる日常を描く漫画『天体戦士サンレッド』がアニメ化した際の主題歌。歌っているmanzoは、『タモリ倶楽部』で取り上げられて話題になった「日本ブレイク工業社歌」の作者・歌手として有名。この「溝ノ口太陽族」も、熱血アニソン調のメロディと歌詞の中に時折妙な庶民くささや情けなさが顔を覗かせるという、この人お得意ともいえる構成でクスリと笑わせる曲になっています。アニメ第2期の主題歌「続・溝ノ口太陽族」は1期よりローカル色を強く押し出しておりこちらもいい曲なのですが、なんかリズムが取りにくくてちょっと苦手なのは私だけでしょうか。

Stand Up!!!!(西明日香、明坂聡美、荻野可鈴、大橋彩香)

TVアニメ『てさぐれ!部活もの』(2013)主題歌

 まず声優さんにアドリブで大喜利をやらせ、その内容に合わせてキャラクターのCGアニメを作るというユニークな手法で作られた、一風変わった日常系コメディ『てさぐれ!部活もの』の主題歌。

 ポップなメロディに乗せて、「カメラが下からパンしたところへタイトルロゴが出てくる」「窓際で空を見上げる」「特に意味なく走ったり手を伸ばしたりする」等々、アニメのOPによくある構図や展開を、そのまんま歌詞にして歌っているという珍曲で、「アニメのお約束」を知っていればいるほど笑えます。

 監督の石館光太郎(現・石ダテコー太郎)はお笑い芸人→放送作家というキャリアを持ち、バラエティ的な演出に長けた人だそうなので、こんな変化球な手法も思いついたのでしょう。余談ですが、最近ブレイクしたインディーズアーティスト・岡崎体育の『MUSIC VIDEO』が「あるあるネタをそのまま歌詞にする」という同じような手法を使っており、面白いことを考える人はどこにもいるんだなあと思わされました。インディーズ好きの人がいたら「アニソン界には3年も前にこんなのがあったんだぜ」とドヤ顔で歌ってやるのもいいかもしれません。

 ――さて、ここまでジャンルを変えて合計15曲の名曲を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。皆さんのカラオケライフが充実する助けにいくらかでもなれば幸いです。

富士野一徳

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中小企業勤務の40代会社員。

独身。

好きなタイムボカンシリーズはオタスケマン。

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