カラオケで歌っても引かれない?!珠玉のアニソン5選 ―しっとり聞かせるバラード編―【オタク社会人ノススメ】

 こんにちは、中年オタク社会人の富士野一徳です。

 それほど親しくない人とカラオケに行った時は、明るい曲を選んでおくのが無難かつ確実といえましょう。とはいえ、前の曲との取り合わせや場の空気によっては、しんみり聞かせる系の歌にした方がいい場合もあります。

 アニソンにしんみり系の曲なんてあるか? というと、あります。というか実はこちらの方が、アニソンにとっては得意分野といってもいいくらいです。とりわけ古めのアニメのエンディングテーマには、作品固有の題材を離れて主人公の心情や境遇を歌い込んだものが多く、歌詞に味わいのあるバラード系の歌が豊富です。今回はそんな名曲の中から、カラオケ映えしそうなものをいくつかご紹介します。

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ポプラ通りの家(ピーカブー)

TVアニメ『キャプテン・フューチャー』(1978)EDテーマ

 いきなり大層古いのを持ってきましたが、バラード系の曲は比較的時代に影響されにくいのでこれでいいのです。エドモンド・ハミルトンの古典スペースオペラをアニメ化した懐かしのSFアニメ『キャプテン・フューチャー』のエンディングテーマ。旅から旅への暮らしを続ける船乗りが、遠い故郷にいる、ずっと昔恋人だった女性を思い返し、「君がいつかあの町に行くことがあったら……」と仲間に言付けを託すという、ほろ苦い哀愁をふくんだ名曲です。ちなみに作品の内容からいってこの「船乗り」とは「宇宙船乗り」のことと思われますが、歌の中に特にそういうSF要素は出てこないので安心。出典の古さとマイナーさからいって、非オタのカラオケであればまず絶対に誰も知らないであろうという点も状況によっては強みになるでしょう。

 歌っているピーカブーは70年代後半に活動していたバンドで、NHKの長寿番組『できるかな』のテーマソング(番組終盤の、スイング調のやつ)を歌っていたのが有名。他にも『名犬ジョリィ』や『銀河鉄道999』の挿入歌など、渋いアニソンをいくつか手がけています。

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若き旅人(MoJo)

TVアニメ『釣りキチ三平』(1980)OPテーマ

 釣り漫画の代表として知らない人はいないであろう『釣りキチ三平』が1980年にアニメ化された際の主題歌。バラードとは少し違いますが、タイトル通り人生という旅路を今まさに歩き始めた若者の心を雄大かつおおらかに歌い上げた名曲です。二番の「たとえば想い出/アルバムをめくって/唇を噛むけれど……」のあたりなど泣かせます。

 上の「ポプラ通りの家」なんかでも思うんですが、こういう「過去をほろ苦いものとして思い返す」という視点というかテイストって、昔のアニソンでは多用されてましたが最近では滅多に見ない気がしますね。流行りの問題なんでしょうか。さておき、内容からいって新人の歓迎会などで歌うといいかもしれません。ただ、かなり声量がないと映えない歌なのでその点だけは注意。

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少年期(武田鉄矢)

映画『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』(1985)挿入歌

 アラフォー世代にとって、小さい頃毎年春に公開される「大長編ドラえもん」(当時は大山のぶ代です、もちろん)は東映まんがまつりと並ぶ一年の楽しみの一つだったものです。その大長編の中でも屈指の傑作と名高い『のび太の宇宙小戦争』の挿入歌。何しろ歌っているのが武田鉄矢ですからアニメと関係なく知っている人も多そうではありますが、特定の世代にとっては「少年期」といえば『のび太の宇宙小戦争』、『のび太の宇宙小戦争』といえば「少年期」というれっきとしたアニソンであります。

 子供時代に誰でも一度は抱いた「大人になる」ということへの漠とした疑問と不安を、素朴な歌詞と柔らかくも物悲しいメロディで描き出した名曲。歌詞の内容、曲の素晴らしさ、歌自体の知名度といずれの方面にも隙がなく、場面を選ばず歌っていける「引かれないアニソン」の鉄板中の鉄板です。

もしかすっとナンセンス(大事MANブラザーズバンド)

TVアニメ『南国少年パプワくん』(1992)EDテーマ

 切れ味鋭い脱力系ギャグが持ち味の漫画家・柴田亜美の出世作で、「月刊少年ガンガン」創刊当時の看板だった『南国少年パプワくん』がアニメ化した際のエンディングテーマ。忙しさに埋もれてゆく日々の中、ふと「もしかすると、人生も何もかもナンセンスなのかもしれない」と、今背負っているものを全部脇に置いて、かつて大事にしていた気持ちを思い返してみたら?心が壊れちゃったらそれこそ意味がないよ?という、まさに現代のサラリーマンに向けたようなメッセージ性の強い曲です。

 歌っている大事MANブラザーズバンドは90年代初頭に「それが大事」で大ヒットを飛ばしたので有名。このバンドは他にも『クレヨンしんちゃん』『ポコニャン』などアニメとのタイアップ曲を手がけていますが、どれもいかにもタイアップ的というか、作品内容との関連性があまり感じられない曲が多い中、この曲だけは『パプワくん』の、マイペースでシニカルながらどこかほのかに温かい空気とよくマッチしています。

おじいさんへのおてがみ(TARAKO)

TVアニメ『みかん絵日記』(1992)EDテーマ

 人の言葉を喋れる不思議な猫・みかんの暮らしを描いた日常系ファンタジー漫画『みかん・絵日記』がアニメ化した際のエンディングテーマ。なぜだか知りませんが漫画は『みかん・絵日記』でアニメは『みかん絵日記』と、点の有無が違います。

 主人公である猫のみかんはかつて一人のお爺さんに飼われており、そのお爺さんと死に別れたあと今の家に拾われました。今は毎日幸せだけれど、幸せだからこそ、それがいつか失われるのが怖い。また、今の幸せに浸って、かつてのお爺さんとの日々が遠ざかっていってしまうのも怖い。そうした不安と切なさを、今はもういないお爺さんに向かって切々と歌いかけるという、極めてストーリー性の強い曲です。それだけに歌える時と場所は限られますが、ちゃんと聴いてもらえさえすれば(そしてちゃんと歌えれば)、誰もがグッとくること必至の名曲です。

 主題歌ももう一曲あるエンディングテーマも、このアニメの曲はいずれも作品内容をよく表し、かつ聞いていて心地のいい名曲揃いなのですが、アニメ本体の人気はふるわなかったらしく、30話という半端な話数で終了してしまいました。歌っているTARAKOは『ちびまる子ちゃん』の声優として有名すぎるほど有名ですが、シンガーソングライターとしても長いキャリアを持っており、別のアニメ(『とんがり帽子のメモル』)では作詞なども手がけている多才な人だったりします。

 ――いかがでしたでしょうか。バラード系の曲はそもそも歌える空気が限られるため、バラードを歌って聞いてくれるようなメンツだったらアニソン歌っても許容してくれるんじゃないか?という気も若干しますが、それでも気取ってみたいあなたにどうぞ。

富士野一徳

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中小企業勤務の40代会社員。

独身。

好きな大長編ドラえもんは『のび太と鉄人兵団』。大山ドラの方の。

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