需要増加傾向あり!理学療法士の年収はいくら貰える?

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 理学療法士とは運動機能回復のためのリハビリの専門家のことを言います。理学療法士になるには、高校を卒業し、専門の施設で3年以上勉強し、国家資格を取得することが必要です。ケガや病気をした人、高齢者や障害者などリハビリを必要としている人は多く、理学療法士の需要は増加傾向にあるといわれています。病院以外でも活躍の場が広がっている理学療法士ですが、仕事内容、就業先、年収などの実態はどのようなものなのでしょうか。リクナビNEXTの会員登録者のデータから理学療法士について調査しました。

理学療法士になるには?国家資格と適性について

 理学療法士になるには国家資格が必要です。理学療法士国家試験を受験するためには、高校を卒業してから、文部科学大臣もしくは厚生労働大臣に指定された養成課程がある大学や専門学校などで3年以上学び、生理学、運動学、リハビリテーション医学など必要な課程を修了していることが必要です。

 厚生労働省のデータによると*1、国家試験の合格率は、80~90%前後で推移しています。ちなみに2015年の理学療法士国家試験の受験者は12,035人で合格者が9,952人で、合格率82.7%でした。

 リハビリの方法は患者によって千差万別なので、リハビリテーション医学や生理学などの基礎知識を正確に幅広く習得していることが必須条件です。それに加え、さまざまな状況に対応するための応用力や判断力も求められます。また、運動機能を援助する仕事なので、患者の体を支えたり補助をする必要があります。肉体労働で根気よく作業することも多いため、ある程度の体力や根気強さは必要です。患者の精神面を支える仕事でもあるので、献身的な姿勢や人を思いやる気持ち、ポジティブさも不可欠となります。

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理学療法士の全年齢平均年収は372.7万円

 2010年12月から2015年11月のリクナビNEXTの新規登録者のデータによると、理学療法士の平均年収は372.7万円でした。国税庁の2014年(平成26年)分の「民間給与実態統計調査」*2によると日本人の平均年収は415.0万円なので、日本人全体の平均年収としては決して高い方ではありません。しかし、医療・福祉関係従事者の平均年収は379.1万円となっており、理学療法士の平均年収は、医療・福祉関係従事者で見るとほぼ平均的な水準であることがわかります。

 年代別に見ると、20代が339.0万円、30代が399.5万円、40代が495.4万円です。一方、国税庁の調査による医療・福祉関係従事者の年齢別の平均年収は、20代が296.0万円、30代が408.5万円、40代が471.9万円となっています。この2件のデータを見る限り、理学療法士年収は、20代では医療・福祉関係従事者の平均よりもやや低いものの、その他の年代では同じくらいの水準で推移していることがわかります。

 医療・福祉関係従事者の給与の多くは診療報酬がベースになっています。診療報酬の見直しは2年に1度実施されており、今後の動向によっては、理学療法士の年収にも少なからず影響が出てくるものと考えられます。

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理学療法士の仕事内容

 理学療法士は、病気やケガをした人や高齢者や障害者など、運動機能が日常生活に支障を来たしている人に対して医師の指示のもとで運動機能の回復を目的とした治療や訓練を行う仕事です。

 具体的な仕事内容としては、筋力の回復や関節の動きを回復させる「運動療法」、電気や温熱などにより痛みを軽減する「物理療法」、起き上がる・立ち上がる・歩くなど基本的な動作を円滑にできるようにする「日常生活活動訓練」、車椅子や義手・義足などの装具に関するアドバイスや訓練などがあります。

今後の理学療法士の需要

 理学療法を必要としている人は、病気やケガをした人、障害者、高齢者、プロスポーツ選手などです。また、理学療法士の活躍の場としては、病院、高齢者福祉施設、障害者福祉施設、児童福祉施設、スポーツ団体やフィットネスクラブなどがあります。このうち、大部分の理学療法士が病院に勤務しています。病院と言っても、大学病院、総合病院などさまざまで、診療科も、内科、外科、脳外科・整形外科等多岐にわたります。

 最近では高齢者社会に伴い、福祉施設での勤務が増えてきているのが現状です。また、高齢者の増加に加え、医療費の削減、医師や看護師の不足、病床数の不足といった社会背景により、訪問看護や訪問リハビリテーション事業所での勤務も増加しつつあります。特にリハビリテーションに関しては、医科の診療報酬よりも大幅に増加傾向が大きいことを問題視されているため、今後もさらに低くなるように見直されることが予測されます。

 今後は、高齢化社会がますます加速するため、リハビリを必要とする高齢者も増加していくことが推測されます。そのため、理学療法士の需要は増加することが見込まれます。特に、入院期間が短縮傾向にあることから、予防リハビリテーションや訪問リハビリテーション等における理学療法士の需要はさらに増えてくるでしょう。

 しかし、その一方で理学療法士の数が増加していることも考慮しておかなければなりません。そのため、10年ほど前までは合格率が95~98%くらいで推移していた国家試験の難易度が上がり、ここ10年ほどは合格率も1割ほど少なくなっています。それでも年間1万人近くの国家試験合格者がいること考慮すると、就職するにはより高い知識や技術の習得が不可欠です。

画像:photoAC

*1:参考URL:
厚生労働省HP「第50回理学療法士国家試験及び第50回作業療法士国家試験の合格発表について」
http://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/siken08_09/about.html

*2:参考URL:
国税庁HP 活動報告・発表・統計>統計情報>標本調査結果
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2014/minkan.htm

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