(C)Satsuki Yoshino/SQUARE ENIX
突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?
普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー。
今回は、アニメとしても人気を博したマンガ『ばらかもん』(スクウェア・エニックス)より、「負けず嫌い」のエネルギーを正しく発揮するフレーズをご紹介します。
「負けず嫌い」であることは競争社会における大切な要素
競争社会において、負けず嫌いであることは一つの大事な要素です。
ビジネスにおいては職種に関わらず競争が存在します。営業部門であれば、売上の結果を順位付けして発表する会社は多いでしょうし、デザイナー・クリエイターであれば、コンペティションの世界等で競争に直面します。スポーツの世界では「勝者のメンタリティ」という言葉が使われることがありますが、そのひとつに「負けず嫌い」という要素も確実に入っているでしょう。
しかし、「負けず嫌い」を間違った方向で発揮してしまうと、せっかくのエネルギーも台無しになる可能性があります。一番になるために本当に力が必要なときに、きちんと発揮できるようにしておくことが大切です。
そんな正しい「負けず嫌い」の発揮の仕方を教えてくれる1シーンがこちら!
“どうぞお先に。人に取られたものを欲しがる必要はなか。諦める必要もなか。譲ってやってもっと大きな餅ば狙え”
(C)Satsuki Yoshino/SQUARE ENIX
書道家である主人公の半田清舟は、自身の作品の受賞パーティにて展示館の館長に「型にはまった、賞のための字」「実につまらん字」とその作品をこき下ろされ、思わず館長を殴ってしまいます。
頭を冷やすために、とある離島で暮らすことにした半田。島民との触れ合いの中でさまざまなことを学んでいき、これまで以上に作品作りに励んでいました。
そんなある日、とある書道展に出品した自信作が、準賞(大賞の次点)になったことを知り、さらに大賞受賞者が自分より年下だったことを聞き、大きなショックを受けてしまいます。
そんな彼の気分転換にと、島の子どもが新船の船出の際に行われる餅拾いへと誘いますが、経験がない彼は、なかなか餅が拾えません。元々落ち込んでいたところに、餅拾いまでうまくできず、「何をやってもうまくいかない」とさらに落ち込む半田。そんな彼に、餅拾いの名人である島のおばあさんが、餅拾いのコツをやさしく伝えました。
いつしか書道と餅拾いを重ねて考えていた半田は、思わず「それでも取れなかったらどうすればいい? 誰かオレより上手い奴がいて、どうしても餅を拾えなかったら」と問いかけます。
その問いに対する回答が、この言葉です。
ビジネスは短距離走をつなげた長距離走
書道のような正解がないような分野であっても、書道展のような、大賞、準賞といった賞が与えられる場では優劣が明示されます。実際に大賞が取れなければ、悔しい思いをすることでしょう。
ビジネスの世界はなおさら競争がはっきりする場です。
たとえば営業であれば、社内での営業成績の競い合いは発生しやすく、月や年などの締めのタイミングで、誰が1位で誰が2位だ、などと否が応にも順位がつけられてしまうことでしょう。
順位というのは相対評価であるため、自分がどれだけ頑張ったとしても、それ以上に成果を挙げた人がいれば、1位にはなれません。そして頑張ったときほど、1位になれなかったショックや悔しさは大きいでしょう。
しかし、一度や二度1位になれなかったからといって、すべてが終わるわけではありません。人生はマラソンに例えられやすいですが、その中には何回も順位付けが行われる短距離走が詰まっているのです。いつか1位を獲得することを、そこで諦める必要はないのです。
1位を目指して頑張りはするものの、もし自分より頑張って成果を残した人がいるならば、それは「どうぞお先に」というくらいの余裕をもって、相手を称えてあげるべきなのでしょう。
「負けず嫌い」の正しい発揮の仕方
「負けず嫌い」な人ほど、負けないために、勝つために、努力を重ねることができ、結果として成長につながる可能性があります。しかし、1位になれなかったときに、1位を取った人を妬むような負けず嫌いの発揮の仕方は間違っているでしょう。
「あいつは●●だから」と、自分以外のところに要因を求めたところで、自分の成長にはつながりません。「次は負けない」「もっと大きな成果を出す」という方向で負けず嫌いを発揮することで、自身の成長につなげることができます。また気持ちの面だけではなく、自分のどこが悪かったのか、あるいは相手のどこが良かったのかをしっかりと分析し、改善するところは改善する、真似できるところは真似をする、といった行動を起こすことが大切です。負けを認めないのではなく、「どうしたら勝てるのか」をとことん考えて、実行に起こす。それこそが正しい「負けず嫌い」の発揮の仕方と言えるでしょう。
一度1位を取れなかったからといって、もう二度とチャンスが来ないわけではありません。だから諦める必要はないし、人を妬む必要もない。負けず嫌いのエネルギーを自身の成長の源泉にして、さらなる努力に結びつけることが、正しい「負けず嫌い」発揮の方法といえるのではないでしょうか。
監修:リクナビネクストジャーナル