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仕事は好きなのに、職場が嫌い?オフィス環境と人間関係の悩みを解決した社内有志プロジェクトの成果とは

株式会社フロンティアワークス
取り組みの概要
社内環境やコミュニケーションの課題に対して、社員有志のプロジェクトで改善提案を行い、経営陣を巻き込んで実行していく取り組み
取り組みを始めたきっかけ
社内環境の荒廃や経営陣との距離から発生する愚痴が社内で多く聞かれるようになり、自ら変えたいと社員が立ち上がったことから
取り組みを運用する秘訣
すぐに着手できる簡単な問題を解決することから始めた。改善提案に対しては経営陣が必ず回答するという取り決めを作っている
よかったこと
進んで社内環境を改善しようとする動きや、経営陣との交流が増えて業務にプラスとなった。社内満足度調査の結果も改善された

夢を与える仕事だから、自分たちも「わくわく」していたい

わくわくプロジェクトのひとつ、社内報「わくわくニュース」

「オフィス環境に不満がある」「上司との距離を感じる」……。どんな職場にも少なからず共通する問題点だが、日々の業務に追われ、なかなか改善の手を打てないのもまた事実。しかしその会社の社員たちは、酒席で飛び交う会社への愚痴を聞くうちに、「それなら自分たちで変えよう」と立ち上がり賛同の輪を広げていった。

愚痴をこぼすだけでは何も変わらない

「アニメを通じて夢を提供する仕事なのに、自分たちが“仕事でわくわくできない”ことは問題だと思ったんです」

クロスメディア事業部・課長代理の中田翔さん(2009年中途入社)は、取り組み開始時の思いをそう振り返る。「わくわくプロジェクト」発起人の一人だ。

アニメコンテンツ制作を手掛けるフロンティアワークスは現場力第一で運営を続け、総務部門を設置していない。しかし事業拡大で社員数が100名を超えるようになり、「トイレが汚い」「フロアが雑然としていて、モノがあふれている」といった社内環境に対する社員の不満が高まっていた。もともと社内総務を分担する「係」制度があったものの、若手に任せっきりで完全に機能しているとは言いがたい状況だった。

もうひとつの悩みは「現場と経営陣の距離」。創業メンバーである40代以上の経営陣に対して、現場のメンバーは20代から30代前半がほとんど。キャリアの壁もあり、気軽にコミュニケーションが取れる環境ではないと感じている人が大半だったという。

「みんな“アニメが好き”で集まっている仲間だから、仕事そのものに誇りを持っています。でも酒の席では会社への愚痴ばかり。自分たちの手で問題点を解決し、仕事をもっと楽しめる環境にしていきたいと考えたんです」

確実に職場を変えていくためのPDCAサイクル

中田さんの呼びかけに応じ、10人の仲間が有志のグループを作った。クロスメディア事業部・主任の上田昌一郎さん(2012年中途入社)もそのひとりだ。管理職を除く若手中心のプロジェクトが立ち上がった。

改善活動を経営陣に働きかけるため無記名の社員満足度調査(ES調査)を行い、現状の問題点をあぶり出した。アンケートに記載されたオフィス環境や上司への不満の声を経営陣に届け、会社として対応していく必要性を共有。上田さんは「アンケートで寄せられた問題点を解決するプロジェクトからの提案に対し、実施可否を経営陣が検討して必ず回答するという取り決めを了承してもらいました。実施結果の検証を含めて、PDCAサイクルを回していく仕組みができたんです」と当時の手応えを語る。

わくわくプロジェクトメンバー

社員の自由意志で、ポジティブな感情があふれる職場を作る

活動の輪が広がり、4つの班が会社を変えた

まずは手を付けやすいところから改善し成果を示すという方針で、プロジェクト内に「わくわくオフィス班」を作った。出版事業部・主任の岡田弥生さん(2008年中途入社)はその中心人物だ。「エアコン洗浄やオフィスサービスの導入など、目に見える改善活動をすぐに実行していきました」と話す。発足1年後のES調査では、オフィス環境に対する満足度が大きく改善された。

社内コミュニケーションを活発にする「わくわくコミュニケーション班」も発足。事業推進部・課長代理の長谷川和彦さん(2006年中途入社)は、経営陣を招いての交流会イベントを企画した。「30代から考えるマンション購入」や「地下アイドルのライブに行こう!」など、経営陣それぞれの得意分野をテーマに、気軽に参加できるイベントを実施。「社長主催の新年会も企画し、110名の社員が参加したんです」とその盛り上がりを振り返る。また、社員のスキルアップをサポートする「わくわくサポート班」も動き出し、若手と先輩社員の交流が盛んになった。

こうした成果を社内に伝えるのは「わくわくニュース班」。毎月の取り組み結果やコラム記事を社内報「わくわくニュース」で発信する事業推進部・係長の羽田淑恵さん(2007年中途入社)は、「活動に対する反応が増え、手応えを感じています。私自身も取り組みを通じて他部署との交流が増えました」と語る。

経営陣を招いての交流イベント

これからの目標は「プロジェクトの解散」

社員有志の動きを経営陣も歓迎している。映像事業部制作チーフの中村誠さんは、「経営がなかなか目の行き届かないこまかな問題点を解決してくれている。今後も積極的に協力していきたいと考えています」と話す。

「異なる環境を知っている中途入社のメンバーが多いからこそ、自社の環境やコミュニケーションの問題点をまっすぐにとらえてくれるのかもしれません。若手メンバーとの交流は純粋に楽しいですし、業務での連携も増えてプラスとなっている。今後はみんなが分担して社内を活性化させる状態を当たりまえにして、“プロジェクトの必要がない”状態に持っていければベストですね」

プロジェクト発足のきっかけも、活動を継続していく力も、「自分たちで変えていこう」という社員の自由意志。かつては愚痴が飛び交っていたフロンティアワークスには今、仕事をより楽しみ、「わくわくする」職場を作っていこうとするポジティブな感情があふれている。

経営陣を招いての交流イベント

受賞者コメント

上田 昌一郎 さん

表彰式では他の企業さまの取り組みについても詳しく知ることができ、大変勉強になりました。当社の制度は社員の自主性によっていかようにも発展していける可能性を秘めています。他社の良い点を、自社にもどんどん取り入れていければと思います。次回は、ウェルネス部門に挑戦します!

審査員コメント

アキレス 美知子

成長企業はともすればカリスマ経営者がよくも悪くも会社の風土や文化を作っていく、というパターンが多い中で、とにかく現場で自分達でやってみよう!という心意気を買いました。グッド・アクションは“現場発”の取り組みを応援したい、という思いを持っており、大きなことだけでなく、小さなことでも現場から変えていこう!というポイントにとても当てはまった取り組みです。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。

第2回(2015年度)の受賞取り組み