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360°スゴイ会社は、社内ライブラリーの規模もスゴイ!企業文化を根付かせてゆく「空間の価値」とは

株式会社VOYAGE GROUP
取り組みの概要
オフィス1階に図書館・集中ルームの「OASIS(オアシス)」を設置。ビジネス書から漫画まで、約5000冊の蔵書を収めている
取り組みを始めたきっかけ
技術系社員の増加により専門書購入の要望が増えたことから、社内ライブラリースペースを設けることに
取り組みを運用する秘訣
漫画も多くそろえ、ゆるい運用ルールにすることで気軽に利用できるようにした。蔵書の多くは社員からの献本でまかなっている
よかったこと
本を通じて社内コミュニケーションが活発化した。また自社のブランド力や理念の象徴のひとつとしてOASISを誇りに思う社員が増えた

インパクトのあるライブラリーは、企業文化を体現する場所

圧巻のライブラリースペース「OASIS」

メディア事業を中心に急成長を続けるVOYAGE GROUP。東京都渋谷区の本社1階には、ライトアップされたガラス張りの広い空間に大量の本が収められている。同社自慢のライブラリースペース「OASIS(オアシス)」だ。ビジネス書やIT専門書、漫画まで、約5000冊という規模で幅広いジャンルの書籍がそろう。

店舗用の空き物件を取得しライブラリーを設置

事業拡大に伴い2011年頃から中途採用を強化してきた同社は、250名を超える体制となり、採用の割合は営業系からエンジニアを中心とした技術系への比重が移っていった。こうした中で「作業に没頭できるスペースがほしい」「高価な専門書を会社予算で購入してほしい」という要望が増え、ライブラリースペースの設置を検討するようになった。

「ちょうど本社が入居するビルの1階に空き物件がありました。それまではカフェやアパレルショップが入居する店舗用物件だったのですが、思い切ってそれをライブラリースペースとして活用することにしたんです」

コーポレートカルチャー室・カルチャーエバンジェリストの宮野衆さんは導入のいきさつをそう説明する。目立つスペースを利用することで、対外的なアピールにつなげる狙いもあったという。

開設準備にあたっては、事業会社や職種の壁を超えて20名の有志メンバーを集めた。要望の多かった専門書購入のほかにも、経営陣をはじめとする社員からの献本によって蔵書を充実させていった。

理念と行動指針をオフィス環境に反映

他社では類を見ない規模の「社内図書館」は、VOYAGE GROUPにとってどのような意味を持っているのか。宮野さんは「弊社の企業文化を体現するために重要な場所となっています」と説明する。

トレンドの移り変わりが激しい業界で勝ち続けるため、同社は創業時からの想いを表した「360°スゴイ」という企業理念と、社員が大切にする価値観を示した「CREED(クリード)」を掲げている。独自の文化を持つ人々の集団であることが強みを生むという考えから、これまでにも理念やCREEDをオフィス環境に反映し、コミュニケーションを活性化させることで社員の会社に対する帰属意識向上を図ってきた。

2007年には就業時間後にアルコールが無料で飲み放題となる社内バー「AJITO(アジト)」を設置。社員同士での利用はもちろん、社外にも自慢できるスペースとして愛されている。AJITOがトリガーとなってメディアで会社が取り上げられるようになり、採用活動においてもメリットが得られたという。OASISの設置も、こうした文脈の延長線上だった。

社内バー「AJITO」

誇らしい場所だから、外部にもどんどん発信したくなる

多くは漫画目当て? 通いたくなる工夫とは

こうして開設されたOASISには、本を通じて社員間のコミュニケーションを促進するための工夫が施されている。プロジェクトメンバーであるスクラム室室長の當銘(とうめ)大河さんは「あえて厳格な管理ルールを設けずに運用しています」と語る。

「本を勝手に持っていく人はいないだろうという性善説の考え方で、蔵書管理もしていません。貸し出しは可能ですが、必要なのは紙の表1枚への記入だけ。社員なら誰もがオープンに、自由に使えるようにしています」

同じくプロジェクトメンバーであるプレミアムアカウントマネジメント本部の藤川由梨さんは、「漫画が大量にそろっていることもポイントです。開設当初から、ビジネス・テクノロジー・アイデア・漫画という4つのカテゴリーで本をそろえることに決めていました」と話す。

社長をはじめ社内には漫画好きなメンバーが多かったため、OASISをどんどん利用したくなるようにあえて漫画のラインナップを充実させた。人気タイトルや話題作がそろい、狙い通り多くの社員がOASISに足を運ぶようになった。

「自分で好きな漫画の新刊を購入し、そのままOASISに献本していく社員が多いので、冊数はどんどん増えていますね。“家に置いていてもかさばるからOASISに入れよう”という感覚で、私自身も自分の本棚のように使っています」

充実した漫画のラインナップ

「空間」のインパクトは強い

3カ月に一度のペースで運営状況の振り返りを行っていたが、社内スポットとして定着した状況を見て、2年で開設準備プロジェクトは解散した。

にぎやかな空間が多い同社の中で、静かに落ち着いて過ごせる場所として、集中作業のためにOASISを利用するメンバーも多い。またOASISを通じて、事業会社や職種の壁を超えて会話が生まれるきっかけとなっている。社外からの来客との間でも頻繁に話題に上り、こうした機会が自社の理念やCREEDとのつながりを語る場ともなり、社員の帰属意識向上につながっているという。

宮野さんは「企業文化を作る上で、“空間”のインパクトは強いと考えています。理念や自社のブランド力を体現する空間があることは、社員の誇りになる。そうして共通言語が増えていくことで、企業文化がより強固なものになっていきます」とOASISの存在意義を語る。

インパクトのある空間を見て、企業文化に興味を持ち、共感する人たちがさらに増えていく。そしてそれが、未来の成長につながっていく。そんな好循環を生み出しているOASISは、これからのオフィスのあり方の貴重な参考事例なのかもしれない。

貸し出しの管理は紙の表一枚

受賞者コメント

青柳 智士 さん

受賞の機会をいただきありがとうございます。他社さまの取り組みも、すぐに実践していけそうなものが多かったと思います。良いと思ったことを積極的に取り入れ、職場環境をどんどん改善していけることが当社の強みだと思っているので、ぜひ今後の制度設計の参考にしていきたいと思います。

審査員コメント

守島 基博

同社は、テクニカルな社員が多く、結果的に自分の仕事にこもってしまいがちな可能性があります。その会社の中で、この図書館は単に本を読む場所ではなく、人が集い、コミュニケーションが生まれる場となっています。本を自発的に持ち寄り、自分がこんなことに興味を持っている、というのを開示し、お互いにそれを話し合う。社員の方々が自律的にコミュニティを創ることに繋がっている点が素晴らしいと思います。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。

第2回(2015年度)の受賞取り組み