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正社員として働きながら、個人の挑戦を続けられる!新たな「複業」のかたち「メンバーシップオプション」

株式会社LiB
取り組みの概要
企業経営者や他社在籍者、フリーランスや地方在住など多様な人材を正社員として登用。福利厚生や社会保険、ストックオプションなど正社員と同様の制度を利用することができる
取り組みを始めたきっかけ
“フルタイム+長時間残業”などといった従来型の働き方では採用できない優秀な人材を確保するため
取り組みを運用する秘訣
個人に合わせた人事考課とオンラインツールを活用したコミュニケーション
よかったこと
複業が相互にいい影響を及ぼし、また結婚や配偶者の転勤、出産などライフサイクルの変化があっても仕事を続けられる

多様な働き方を実現する新たな「複業」制度

複業で活躍するメンバー

副業の許可やリモートワークの推進など、新たな働き方を模索する企業が少しずつ増えている。しかしその一歩先を行く「複業」制度を取り入れることで、社員の多様な働き方を実現している企業がある。

企業経営者やフリーランス、地方在住者など多様な人材を正社員として登用

キャリア女性に特化した会員制転職サービスを行っているLiBでは「メンバーシップオプション」と称し、企業経営者や他社在籍者、フリーランスや地方在住など様々な背景の人材を正社員として登用。もちろん福利厚生や社会保険、ストックオプションといった制度を利用することができる。LiBに正社員として在籍しながら、それぞれが異なる仕事やプライベートにも時間を費やすことができるのだ。

「これからの社会、”フルタイム+長時間残業で会社にフルコミットする”という働き方では、立ち行かなくなるのは明白です。待機児童問題も取り沙汰されていますが、一方で介護が必要な高齢者も600万人を超えていると言われている。仕事か家庭か二者択一で選ばざるを得ない現状を変えていかなくてはという思いがあります」と語るのは、代表取締役の松本洋介さん。

「弊社自ら率先して多様な働き方を体現し、ロールモデルを提示することで、世の中を啓蒙していきたいと考えたんです」

それぞれの仕事で得られる知見が相互にいい影響を及ぼす

「メンバーシップオプション」導入のきっかけとなったのは、チーフデザイナー、井村圭介さん。自らWeb制作会社を経営する井村さんは、松本さんから直々に「経営を続けながらLiBで働かないか」という誘いを受けた。「自分の会社を続けることは大前提でしたから、週5・フルタイムという働き方は不可能でした。この制度があったからこそ、入社できたと言えます」。週4回LiBに出社し、チーフデザイナーとしてチームマネジメントにも携わる。会社に許可を得て、LiB勤務中でも自社業務を平行して行っている。

「自社は創業1期目ということで、LiBとは会社としてのフェーズも異なる。LiBではより大きな仕事やマネジメントを実践でき、新たな知見を得ることで自社にもフィードバックできます。また、専業のときは納期や単価的に厳しい案件でも受注することがありましたが、複業することで自社の案件も精査でき、より一層クオリティを担保できるようになりました」

経営管理チームに所属する萩原崇さんは、「複業」という働き方に興味を持ち、LiBに入社したひとり。前職の管理部門に在籍していた際、松本さんのもとで働いていた。「職種柄ほとんど外部と交流する機会がなく、考え方も固定化してしまっていた。複業することで、それぞれの業務から知見を得ることができるのではと思ったんです。実際にノウハウを横展開し、業務の効率化を図ることができています」。LiBには週4日出社し、1日は他社の監査役として働いている。経営管理と監査役という一般的には副業さえも難しいと感じられる職種だが、互いの企業の理解を得ており、社外秘情報の取扱いには十分留意しているという。

代表取締役の松本さん

正社員としての基盤が個人の成長をうながす

メンバーシップオプションがもたらす「安定と成長の両立」

メンバーシップオプションの運用においては、人選、そして個人に合わせた人事考課が重要だと代表取締役の松本さんは語る。「自由だからこそ、そこに責任も生じる。時間ではなく成果で測らなくてはならないので難しさはありますが、会社がプロフェッショナルとして認めた人材に対してフルオーダーメイドで働き方を検討し、お互い”性善説”に立った関係性を構築していくことが、会社にも個人にもメリットがあると考えます」

キーワードとなるのは「安定と成長の両立」だ。例えばフリーランスの場合、収入を増やすとなると案件数を増やすか単価を上げるかしかない。けれども正社員として複業を行えば、企業の成果を享受することも可能。安定した収入や福利厚生などを基盤に、フリーランスとしては個人の成長や経験を重視した仕事に挑戦することもできる。

イレギュラーを受け入れ、働き続けられる環境を整える

制度を活用するのは複業を行う社員だけではない。ある社員は結婚後、夫の転勤に伴い転居を余儀なくされてしまった。彼女は退職することなく、リモートワークで働くメンバーシップオプションを選択。海外在住者や子育て中の社員などもこの制度を活用している。

社員によって会社で過ごす時間帯は異なる。そのため「Slack(スラック)」や「Qiita(キータ)」などの情報共有ツールを活用し、オンラインで活発にコミュニケーションを取っている。それは業務内容に限らず、「今治便り(今治市在住の社員の日報)」など雑談も含めて共有されている。会社として一体感を醸成するにはやはりコミュニケーションが一番重要だという。「イレギュラーを排除するのではなく、『この人が働き続けるためにどうするか』という観点で制度設計をする。他の企業も真似してほしいし、すべきだと思います」

会社のミッションのひとつは“働き方の多様性を実現し、新たな挑戦と発信”だ。まさにこのミッションを体現している。

受賞者コメント

松本 洋介 さん

素敵な賞をいただき、本当にありがとうございます。女性が働き続けることを応援している企業として、社内でも「働き続けるための選択肢の多様性」を生みだしていきたいですし、私たち自身が多種多様な働きかたを体現しつづけていきたいと思います。これを励みに、これからもがんばっていきます。

審査員コメント

守島 基博

現在の社員区分(正社員、非正規、業務委託など)に挑戦する取り組み。多様な背景や思考を持った個人が働く現代において、個々の従業員に向き合うということは、社内のワークだけではなく、一人ひとりの活動全体を会社がどう支援できるか、というところにまで来ています。そこに踏み込んでいる点でこの取り組みは新しいと感じました。今後、同社でこの制度を使い、どんな方々が活躍していくのか、その広がりに期待をしています。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。

第2回(2015年度)の受賞取り組み