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リスクマネジメントと快適な職場環境の最適解!年に一度、全社員が必ず取得する「山ごもり休暇」

株式会社ロックオン
取り組みの概要
毎年、年末年始・お盆休みとは別に9日間連続の休暇を必ず社長以下全社員が取得。またその間、メールや電話など一切の業務連絡を取ることを禁止
取り組みを始めたきっかけ
福利厚生と業務効率の改善を検討課題にしていたところ、副社長の発案で社員リフレッシュのための長期休暇を推奨することにした
取り組みを運用する秘訣
「業務連絡禁止」「一旦休暇期間を決めると原則変更不可」など、ルールを厳格に守り、そのために徹底的に業務内容の平準化・分担化や社内サポート体制の構築を図る
よかったこと
休暇取得のために、業務内容の平準化・分担化を図ったことで、業務効率が飛躍的に改善。社員のモチベーションアップや社内コミュニケーションの活性化にもつながった

社長も含めて全社員が対象! 年に一度の長期休暇を取得

「山ごもり休暇」中の活動を朝会で紹介

「山ごもり」と聞くと人里離れた険しい山で修練を積む……というイメージだが、現代における山ごもりは、電話もメールも一切やり取りしない状況下に置かれることかもしれない。そんな状況を長期休暇に置き換え、制度化した企業がある。

強制的に9日間の連休取得。その間、一切の業務連絡は禁止!

マーケティングソフトウェアを手がけるロックオンでは、「山ごもり休暇制度」と称し、年に一度、年末年始・お盆休みとは別途9日連続の休暇を必ず取得する。対象となるのは社長以下、役員も含めた全社員だ。またその間、メールや電話など一切の業務連絡を禁止する。毎年10月に誰がどのタイミングで休暇を取るのか年間スケジュールを決定し、一度決定したスケジュールは原則として変更不可。「休暇を取る予定だったけれど、業務が立て込んでしまったから延期する」ということはできないのだ。

「旅行を理由に有休を取る社員は少なかったですね」と、管理本部人事部部長の桐生明子さんは2011年の制度導入当時を振り返る。「もともと副社長が『長期休暇を取って、海外を旅することで見識を広めてほしい』と発案したことでしたが、『そうは言っても休めないのでは』と多くの社員は半信半疑でした」

まずはトップダウンで徹底的に業務の平準化・分担化を推進

制度導入と同時期に懸案となっていたのは、業務の属人化による効率の低下だった。「もともとベンチャーマインドの高い人も多く、『やる気にまかせてがんばる』風土があるため、『その人がいなくなると困る』状況を作ってしまっていた。マニュアルの作成も後手に回っている状態でした」と管理本部コーポレートコミュニケーション部部長の梶原直樹さんは語る。

「休む」と決めてからは、社長以下の強い意志で、休んでもきちんと業務が回るように徹底的に業務の平準化・分担化を進めていった。属人的になりがちな営業から「ひとりの天才」に業務が集中しがちなエンジニアまで、その改革領域に「聖域」はなかった。まずは業務を一覧化し、優先順位の高いものからマニュアルを作成する。「どの案件も基本的に複数名で担当することになる。複数の目を通すと、不必要なものや、より効率的にできる方法が見えてくるんです」。また、結果的に誰かが「ひとりでなんとかしようと抱え込んでいた課題」なども洗い出されることになり、「リスクの可視化」も進んでいった。

インタビューに答えてくれた梶原さんと桐生さん

業務の効率化にモチベーションアップ……「山ごもり休暇」がもたらすものとは

「個人でなんとかする」から「チームとして機能する」へ

「はじめは『絶対ウソや』と思いましたよ。『あの人が1週間抜けるなんてゾッとするわ』みたいな」と、マーケティングプラットフォーム開発本部開発部の松本健太郎さんは、制度導入時の衝撃を語る。システムの保守管理など「24時間体制で対応する」ことが求められるサービスもあるが、それまでは「会社の近くに住んでいる人が対応する」「早く到着できた人から対応する」などシフトが決まっていない部分があり、リスクマネジメント的にも問題があった。「当時は若かったからなんとかなっていたという感じですね。制度が始まってからは明確に、チームとしてパフォーマンスを上げるという意識に切り換えました」

商流プラットフォーム事業本部EC-CUBE事業部の村上裕美さんは営業・プロモーションを担当。顧客に対しては2名体制で対応している。「出張も2名で出かけます。営業の年間計画と自分の休暇取得計画が連動しているので、『プロモイベントが一段落した後に長期休暇を入れる』などメリハリを持って計画が立てられます」。制度が始まったことで、トップダウンで計画が下りてくるのではなく、「自分たちで計画を決める」意識が高まったという。

「山ごもり休暇」を活用して海外へ

山ごもり休暇中の過ごし方は朝会で全社員にフィードバック

「山ごもり制度」のもうひとつの特徴は、休暇中の活動についてプレゼンの場があること。休暇を終えた後は必ず、毎週月曜日の朝会でどんな休暇を過ごしたのか発表する。「9日間をどう使うか」に社員個人の特性や性格がよく表れ、その人の思わぬ一面や人となりを知る機会となり、コミュニケーションも活発化したという。

モンゴル、タンザニアなどなかなか足を伸ばしづらい秘境の地に赴く人もいれば、家族サービスに徹する人、ただひたすら南の島でのんびりする人など、休暇の使い方はそれぞれだ。「いろんな国や地域の話を聞くことは楽しいですし、月曜日の朝に『今週もがんばろう』とモチベーションが上がるようになった」と村上さんは話す。

また、常時スムーズに引き継ぎが行えるようになり、長期休暇に対するアレルギーがなくなったことで、自然とその他の有休や産休、育休の取得率も上がってきた。最近では男性社員が2週間の育休を取得する予定だ。「社員だけでなく会社にもメリットがある制度だと思う。ぜひどの会社にも取り入れてほしい」と梶原さん。

会社が成熟し、社員のライフスタイルも変化していく中で、「企業としてのリスクマネジメント」と「長く働き続けられるような職場環境づくり」の最適解がここにある。

「山ごもり休暇」を活用して海外へ

受賞者コメント

桐生 明子 さん

当社は社員数が約60名で、業務負荷が一人ひとりにのしかかっていましたが、「山ごもり休暇制度」を導入したことで、業務の平準化が進み、社員にとってもいろんな挑戦ができる機会になりました。ぜひ他の企業の皆さまにも導入を検討していただけたらと思います。

審査員コメント

守島 基博

現場活性化部門に関しては、その他受賞企業は社内を鼓舞する取り組みが多くありましたが、そればかりだと社員は疲れてしまいます(笑)。こちらは「社員を休ませる」という意味で非常に光っており、評価にもつながりました。しかもこの制度で取得した休暇中の過ごしかたを朝会で全社員にプレゼンするため、「ヘタな休みかた」はできません。ヨーロッパなど海外で見聞を広めたり、家族サービスに充てたりと、社員一人ひとりが「自分プロデュース」を行う機会としても素晴らしいものだと感じました。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。

第2回(2015年度)の受賞取り組み