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社員一人ひとりのキャリアパスに光を当てる!プレゼンイベント「わたしのしごと」がもたらす成長実感とロールモデル提示

株式会社マクロミル
取り組みの概要
各部署から選ばれたメンバー(=プレゼンター)が、自分の業務内容や課題意識、今後のビジョンなどを他の社員の前でプレゼンテーションする企画
取り組みを始めたきっかけ
社員数が増え、他部署の業務内容を知らない社員も増えてきたことや、仕事を通して自らの成長を実感する機会が少なくなっていたことから
取り組みを運用する秘訣
プレゼンカンファレンスのような洗練された演出を行い、プレゼンターもオーディエンスも参加しやすい雰囲気に
よかったこと
様々な職務内容を知り、ノウハウを共有することでそれぞれのキャリアプランに活かすことができる。また、社内コミュニケーションを活性化する効果も

キャリアをプレゼンテーションし、働き方の検討に活かす

プレゼンカンファレンスのような発表の場

企業の中で自分に光が当たり、周りから注目される機会は、企業規模が大きければ大きいほど少なくなる。けれども本来、一人ひとりが創意工夫を持って仕事に取り組んでいれば、そこには語るべきものがあるはずだ。そんな「一社員」のキャリアパスを、自らプレゼンする機会を設けた企業がある。

キャリアを振り返ることで、成長を実感する機会に

ネットリサーチを中心としたマーケティング事業を行うマクロミル。創業16年ながら社員数は連結で1,500名を超える成長目覚ましい企業だ。1~2ヵ月に一度、本社内のホールを舞台に、各部署から選ばれた社員2、3名がプレゼンターとなって業務内容や課題意識、今後のビジョンなどを発表するのが「わたしのしごと」だ。

照明や音響にも趣向を凝らし、さながら“プレゼンカンファレンス”のよう。会場には100名を超える社員が集まり、コーヒーを片手に見守る。プレゼンターはプレゼンのほか、サポーターとして後見役を指名し、サポーターはプレゼンターに対して質問を投げかけていく。オーディエンスにとっては他部門の業務を知る機会となり、自身のキャリアプランや働き方の検討に活かすことができる。

個人的な経験談が他の社員のロールモデルに

「今まで自分が取り組んできた仕事の意義を考えたことはなかったので、良い機会でした」と話すのは、事業戦略本部で商品企画に携わる花立沙代子さん。リサーチディレクターとして仙台オフィス立ち上げに関わり、本社に戻ったタイミングでプレゼンターに選ばれた。「今の私には何か『伝えたいメッセージがある』と思われたから、選ばれたと思ったんです。個人的には新たな業務に就くということもあり、後輩たちへアドバイスを残せたらと思いました」。テーマは「“先が見えない”と言わせない」。「内勤業務が多く、他には似たような職種もないので、他部署や社外でも通用するスキルが身についているのだろうかと悩みがちなんです。そこで『明るい未来』を提示したかった」と語る。

営業部で働く神崎久仁子さんは「目立つのが苦手なタイプ」だったが、「私自身の働き方を語ることで、同じ立場の社員や若い社員たちのためになるのではないかと思いました」と話す。神崎さんはもともと営業として働いていたが、出産を機に営業アシスタントに業務転換した。「今後の自分自身の役割として、同じ職種で働いている社員たちが、将来のビジョンを描けるよう先導していきたいという思いが芽生えていた。いいタイミングで声をかけてもらいました」。登壇したことで、「個人的に相談したい」という声も寄せられるなど、反響も大きかったという。

神崎さんの「わたしのしごと」

会社の成長を加速させるため、個人の成長に光を当てる

全社的な取り組みとして発足した「成長加速プロジェクト」

マクロミルは2014年、株式を非公開化。10月にはオランダのMetrixLab B.V.を完全子会社化するなど組織が拡大する一方、社員数も急激に増えたことで、部門外のコミュニケーションが減りつつあったという。「他部門では『誰が何をやっているかわからない』ということも増え、仕事を通して成長が実感できる機会が失われつつありました」と話すのは、「わたしのしごと」を考案したエグゼクティブマネジャーの小池直さん。「『大企業化』によってベンチャーマインドが薄れ、安定を求めるような風土になってきた面もありました。そこで会社としての成長を進めるべく、個人の成長を促進するような取り組みを始めたんです」

それが2014年7月から全社的な取り組みとして発足した「成長加速プロジェクト」だ。「成長が報いられる」「成長が支援される」「成長が実感できる」の3部門にわけ、それぞれに施策を実施。社内ポータルサイト内で任意・匿名で社員を称え合う「称えてミル」など様々な取り組みが行われた。その中で「成長が実感できる」部門の施策として始まったのが「わたしのしごと」だった。「わたしのしごと」の大きな目的は、プレゼンターに選ばれた社員が、プレゼンを準備する過程で自らのキャリアや経験を振り返ること。プレゼンを通して、サポーターやオーディエンスからの反応を得ることで、新たな気づきやモチベーションにも繋がる。

「わたしのしごと」考案者の小池直さん

会社によみがえってきたベンチャーマインド

「日々の業務に追われ、『どうせ変わらない』とあきらめていた節もあったかもしれません」と話すのは、経営管理本部長の湯浅結さん。「けれどもプロジェクトを通じて、いいと思ったことはすぐに取り入れ、いろんな社員を巻き込むことで、加速度的に改善していった。たとえ人数が増えても『やり方を変えればできる』という、ある種の成功体験だったかもしれません」。神崎さんも「いわゆる“ITベンチャー”っぽいマクロミルが戻ってきた気がする」と話す。

リサーチャー、エンジニア、マネジャーなど様々な立場の社員がプレゼンターとなってきた「わたしのしごと」。今後は海外子会社の社員の登壇も計画しているという。一人ひとりの多様なキャリアパスが、他の社員たちの糧となっていく。

成長加速プロジェクト

受賞者コメント

小池 直 さん

今回こうして評価していただいたことを、非常にうれしく感じています。他の企業さまの取り組みを参考にして、当社の取り組みをさらにブラッシュアップし、継続させていくことで、企業としてますます成長していけたらと思います。とはいえ、ベスト・アクションが獲れなかったことは正直悔しいです(笑)。次回以降、がんばります!

審査員コメント

守島 基博

業界や規模に関わらず、「自分の仕事」「周りの人の仕事」をお互いに理解することは社員の成長にとても重要。また、本取り組みの場は現場のリーダーたちがプロデュースしているため、プレゼン前後のフォローもしやすく、プレゼンとフォローの相乗効果を生んでいるのではないでしょうか。同社は、急拡大により新卒・中途に関わらず会社や業界に慣れていない社員も増え、その方々への育成観点としても、新しいOJTとしても効果を発揮する取り組みです。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。

第2回(2015年度)の受賞取り組み