仕事がうまくいかない人にありがちな特徴と、原因別の対処法を紹介

職場の同僚のようにサクサク仕事をこなせないことに引け目を感じたり、自分の要領の悪さに落ち込んだり…。「仕事がうまくいかない」悩みは、多くの方が感じたことがあるのではないでしょうか。なぜ仕事がうまくいかないと感じてしまうのか、その原因と対処法を、『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』著者、F太さんに伺いました。

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仕事がうまくいかないと感じる原因は自分が作ったハードル

「仕事がうまくいかない」ことは、悩んでいる方にとっては大問題。でも多くの場合は、仕事がうまくいかないことよりも、自分に課したハードルが高すぎるせいで、悩みを作ってしまっていることがほとんどです。

自分は要領が悪いからだとか、コミュニケーションが下手だからと、落ち込んでしまう人もいますが、実はまだ仕事に慣れていないだけというケースもたくさんあります。例えば、慣れない仕事の流れは、ある程度やらないと見えてきません。

仕事を覚えることに集中し、一旦悩みを棚上げしてもいい時期が誰にもあります。「最初から何でもできたら、ちょっと早すぎだよね」というように、気軽に考えてみてください。

とはいえ、周りと比べてこれぐらいはできなきゃと思うことはありますよね。自分が取り残されていくように感じる不安は、私もかつて抱いたことがあるので、すごくわかります。そこでここからは、仕事がうまくいかないと感じてしまう原因別に、お勧めの対処法をそれぞれ紹介していきたいと思います。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

【原因1】仕事の全容が見えなくて振り回されてしまう

仕事がうまくいかない原因の一つは、「仕事の全容が見えなくて振り回されてしまう」こと。そこで提案したい対処法は、「手順書を作る」ことです。頭の中でごちゃごちゃしている「やらなきゃいけないこと」=タスクに名前をつけ、できるだけ細分化して、そのタスクを終わらせるまでの手順を以下のように書き出しましょう。

●「手順書」作り方例

出典:『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(F太氏、小鳥遊氏 共著)より抜粋

手順書のメリット1:ヌケモレ防止リストになる

手順書を書くことで仕事の流れが整理され、全体像が見えてきます。手順書は頭で思い浮かべて書くよりも、実際に手を動かしながらリアルタイムに記入していくやり方が一番シンプル。できあがった手順書自体が、同じような仕事を依頼された際の抜け漏れ防止のチェックリストになります。

手順書のメリット2:基本のやり方が身につく

手順書通りに何度も繰り返すことによって、体が仕事を覚えてくれます。例えば、野球でもテニスでも、素振りを繰り返して正しいフォームを体に身につけるからこそ、綺麗に強く打ち返せるようになりますよね。仕事でも、やはり基本的な型を練習することが大切です。

手順書のメリット3:見直しや効率化の気づきにつながる

手順書をチェックしながら進めることで、今自分が何をやっているのか、どのタイミングで関係部署に相談に行くのか、いつ上司にチェックをしてもらうのかなど、仕事の流れとともに改善点も見えてきます。順番を入れ替えたほうがもっと効率的になる、他部署に迷惑をかけずに済むといったことにも気づきやすくなるのです。

手順書のメリット4:優先順位がつけやすく、思考のノイズが減らせる

手順書をベースに仕事を進めれば、何から手をつけていいか分からないということが減ります。慣れてきたら、手順書に締め切り日も入れていきましょう。マルチタスクを抱えていても、手順と締め切りを確認することで優先順位がつかみやすくなります。順番を決めると、他の仕事の気がかりなど思考のノイズを減らせるため、仕事にも集中しやすくなるのです。

上司から「あの件、どうなった?」と尋ねられたときも、手順書を見れば、「あとはA社の返事を待って、日程調整するだけです」など、進捗報告がスムーズにできます。スムーズに答えられるようになれば、モチベーションも上がりますし、把握できていることは安心感にもつながります。

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【原因2】段取りが苦手で納期までに仕上げられない

仕事の手順や量が把握できても、どれくらい時間がかかるかはなかなか読めないもの。しかし、決められた期日までにきっちり間に合わせられる人がいるのに、なぜ自分はスケジュール通りに進められないのだろうと悩むこともあるでしょう。

この納期問題は、時間を正しく把握することが第一歩です。スケジュールを立てるだけでなく、それぞれの仕事にかかった時間を測ってみる。その結果の検証をセットにして、なぜ時間通りにできなかったのかを振り返ってみましょう。

例えば、メールを書く作業はすぐに終わると考えがちですが、内容が謝罪メールであれば、気づかないうちに30分以上かかっていたりします。仕事にかかる時間を把握することで、配慮や気遣いが必要なメールを書く際はしっかり時間を取るなどの対策ができるようになります。ちょっとゲーム感覚で楽しむつもりで、タイムログをとってみてもいいですね。

例えばExcelでは、コントロールキーを押しながら「:」キーを押すだけで、現在時刻が打刻できます。作業を打ち込み、開始と終了時に打刻する。1週間ほど記録することで、自分がどんな作業にどのぐらい時間がかかっているのかを把握できます。10分ほどで終わる経費計算をしていたはずが、メールの割り込みが入って1時間以上かかったなど、自分でやろうとしていたことと違うことをしていることにも気づけます。

いちいち記録するのは面倒という方は、ざっくりとでもスケジュールを立て、1日の終わりに予定通りできたこととできなかったこと、なぜできなかったのかを振り返ることをお勧めします。予定と結果を振り返ることで、想定よりも時間がかかってしまいがちなことに気づくことができるはずです。

また、急に頼まれた用事が入る場合もあるので、割り込み仕事も改めて認識しておくと、仕事が予定通りに終わらず、無用に落ち込むことがなくなります。

【原因3】コミュニケーションが苦手で一人で考え込んでしまう

上司や先輩とのコミュニケーションが減ってしまうことも、「仕事がうまくいかない」大きな問題です。結果が出せていない引け目から、自分なんかが上司の時間を取っていいのだろうかと考えてしまう。聞くことですぐに解消する疑問や不安も言い出せず、一人で抱え込んでいるうちに、相談すべきタイミングを逃してしまう。そんな負のスパイラルに陥りがちです。

わからないことを聞くことは緊張しますが、あなたが何でつまずいたり悩んだりしているのかは、言わなければ上司には伝わりません。悩んでいることや、仕事の上で相談したいことなどのモヤモヤを、まず言葉にしてみましょう

友人や同僚でもいいですし、コーチングやカウンセリングなどのプロの方でもいいので、相談しやすい人や話を聞いてくれる人に、自分の今思っていることを話してみるのもいいですね。具体的に言語化しておけば、上司に対しても、「今こういうことに悩んでいるので、相談をさせてもらえませんか」と、話しやすくなります。

人に話すのは抵抗がある人は、モヤモヤを書き出して自分の中で言語化してみましょう。書き出してみると、「何だ!自分はこういうことで悩んでいるのか」と少し客観視できます。上司に悩みや相談をすること自体がコミュニケーションのきっかけにもなりますし、距離感を縮めることにも繋がると思います。

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【原因4】他人と比べて落ち込む、できない自分を責めてしまう

仕事がうまくいかないと思っていると、人と比べてできない自分を責めてしまうことはありませんか?仕事は真剣に取り組むべきではあるものの、深刻になりすぎてはいけません

たまたま、今はこの仕事やこの職場にはまっていないけれども、他にも仕事はいくらでもあることを頭に入れておきましょう。そのことを踏まえた上で、今の職場で結果を出すためにどうしたらいいかにフォーカスしてみてください。

社内でのウケを良くしたいとか、愛想よくしなきゃと思うのは、いったん棚上げしましょう。人と比べることに意識を向けるのではなく、求められている結果は何かにフォーカスし、そこに集中することが、悩みを変な方向に持っていかない一つのコツになります。

特に、私自身の経験から一番効くと感じているのは、「期間を定めて真剣に取り組むこと」です。期限を決めると集中して取り組めますし、うまくいかなければそこで進退を決めようと肝が据わるので、他人にどう思われるかを気にしすぎることなく、仕事に向き合えます。

【原因5】職場が合わない、上司が厳しすぎる

職場や上司に問題がありすぎる場合もあります。理不尽な要求に無理をしてでも応えようとしたり、メンタルを削るような叱責を本気で気にしたりすることはとてもリスキーです。しかし、組織の中にいると職場や上司が異常なことに気づきにくいもの。無用に自分を追い込んでしまわないためには、職場以外のところ、例えば趣味のサークルや地域活動などのコミュニティを持って、過ごす時間を持つことです。

やることをやってダメなら、職場にはまっていないだけ。別のコミュニティや組織、人の関係性の築き方を見ることで、やはり自分の職場や上司がおかしいとわかれば、自分を変える努力をするよりも、職場を変えたほうがいいでしょう。

まとめ:仕事がうまくいかない場合の対処法

「仕事がうまくいかない」場合の対処法をまとめると以下になります。

  • 手順書を作る
  • タイムログをとってみる
  • モヤモヤを書き出して言葉にしてみる
  • 期間を決めて、結果だけにフォーカスする
  • 別のところにコミュニティをもって客観視する

仕事がうまくいかず、「自分は要領が良くないのかもしれない……」と思い込みそうになったときには、ぜひ、今回ご紹介した対処法を試してみてください。

F太(えふた)さん

1984年生まれ。作家。学生時代に公認会計士の勉強を始めるが不合格。アルバイトも3カ月でクビに。うまくいかない日々の中、だめな自分自身がかけてほしい言葉などをTwitter(@fta7)でつぶやき続け、フォロワー数は35万人に。自分でも仕事ができるようになったタスク管理を伝えようとイベントを開催。小鳥遊氏との共著に『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』、単著に『それを、「楽しいほう」に変えてみない? 明日ちょっと運がよくなる、思考のメモ』がある。

取材・文:中城邦子 編集:馬場美由紀
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