ワークライフバランスとは?整えるための準備とお悩み別対処法

働き方改革を機に、注目されている「ワークライフバランス」。社員のワークライフバランスに本格的に取り組む企業も増えています。

一方で、「ワークライフバランスを整えたいと思っているけれど、どのような状態を目指せばいいのか、具体的に何をすればいいのかピンとこない」というビジネスパーソンは多いようです。そもそもワークライフバランスとは何か、どのように取り組めばいいのか、組織人事コンサルタントとして活躍する粟野友樹さんに伺いました。

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粟野友樹さん組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
粟野友樹さん

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。Twitter@Tomoki_AwanoFacebookPodcast

ワークライフバランスとは、「仕事」と「仕事以外の生活」のバランスを取り、その両方を充実させる働き方、生き方のことを指します。
働き方改革の一環として取り上げられることが多いので、「ワークライフバランスとは生活を充実させるもの」とイメージしている人も少なくないようですが、仕事と生活どちらかを重視したりどちらかを犠牲にしたりするものではありません。

仕事は暮らしを支え、生きがいややりがいを感じさせてくれるものですが、同時に家族や趣味、育児や介護、学習、地域活動などといった生活も、人生には欠かせないものです。どちらか一方ではなくこれら両方をバランスよく充実させることで、「仕事がうまくいっているとプライベートもイキイキできる」「プライベートが充実すると仕事にもハリが出る」という相乗効果を生み出すことができます。

ワークライフバランスに対するありがちな誤解

ワークライフバランスという言葉から、「仕事と生活の比重をきっちり50:50にすること」と捉えている人がいますが、決してそういうわけではありません。

ワークライフバランスとは画一的なものではなく、個々人にとっての「理想のバランス」に整えようというもの。仕事と生活の比率がどちらかに偏っていようとも、その人にとって理想的なバランスであればいいのです。

「単に働く時間を減らせばいい」と思っている人もいるようですが、そういうものでもありません。
最近、残業はないけれど成長もない「ゆるブラック企業」という言葉を耳にするようになりましたが、もっと仕事に打ち込んで成長したいと考えている人にとっては、ある程度の労働時間が確保できたほうが「ワークライフバランスが整っている状態」と言えます。ワークライフバランスは誰かに決められたものではなく、百人百様なものであると理解しておきましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

ワークライフバランスを整えるための準備

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前述のように、人によって仕事と生活の理想的なバランスは異なります。ワークライフバランスを整えるには、まずは自分がどんなバランスでどのように働いていきたいのかを考え、整理しておく必要があります。

お勧めしたいのは、1日のタイムスケジュールから今の状態を可視化すること。
ある1日を振り返り、24時間のスケジュールを円グラフで書き出してみましょう。それを眺めることで、「仕事の時間をもう少しだけ減らせないかな」「インプットの時間が圧倒的に足りていないな」など、「もっとこの時間を増やしたい・減らしたい」という気持ちに気づくことができます。それをもとに、「もうすこし業務効率化を図ったほうが良さそうだから、少し早く出勤しようかな」など、理想のバランスに向けて調整していくといいでしょう。

また、自分にとっての「イキイキ働ける要素」を理解することで、理想のワークライフバランスを考えるという方法もあります。
リクルートワークス研究所によれば、イキイキ働くために必要な8つの要素があり、その8つが自分の中でどのように構成されているかを知ることが、自分にとっての「イキイキ働ける状態」をつかむヒントになるとのこと。
以下の記事に、8つの要素の詳しい説明やワークシートがあるので、是非参考にしてみてください。

※1万人調査でわかった「生き生き働ける8つの要素」~自己診断チェックシート付き

8,568通り、あなたはどのタイプ?

お悩み別・ワークライフバランスの整え方

「ワークライフバランスを整えたいけれど、どうすればいいかわからない」「現状では整えるのが難しそう」などと悩む人もいるようです。お悩み別に、対処法をご説明します。

スキルアップ・キャリアアップとどう両立すればいいのかわからない

「今はスキルアップやキャリアアップを目指したいからもっと働きたい」という人もいることでしょう。

ワークライフバランスは、仕事と生活どちらかを犠牲にするものではないので、両立することが大前提です。まずは、仕事とプライベートそれぞれで「優先したいこと」を洗い出し、自分なりの理想のバランスを考えてみましょう。仕事をもっと充実させたいのであれば、残業時間を増やすのではなく、プライベートの時間に仕事に役立つ学習をしたり、仕事に役立ちそうな人脈形成に時間を割いたりするのも一つの方法です。

目標とするロールモデルに、ワークライフバランスをどう整えているのか聞いてみるのもいいでしょう。我流ではなく、スキルアップにつながる合理的なバランスの取り方がわかるかもしれません。

「仕事に好影響をもたらすプライベートの過ごし方」がわからない

「仕事への相乗効果が得られるようなプライベートの過ごし方を考えなければ…」と悩んだ結果、「クリエイティブな発想を磨きたいから、休日には美術館に行ったり、デザインのワークショップに行ったりしなければ」「営業力を磨きたいから、休日は自分が営業されるような体験をしに行かなければ」などと考える人がいますが、無理をしても続きません。

どんなものでもいいので、深く考え過ぎず、興味があることに素直に取り組めばOK。仕事を離れ、やりたいことにチャレンジすることで、仕事にもハリが生まれ調和がとれるようになります。

会社が社員のワークライフバランスをまるで考えていない

会社がワークライフバランスについて何も考えておらず、仕事と生活のバランスを自分でコントロールできない…というケースもあるでしょう。激務が続き、生活を充実させるどころではないという人もいるかもしれません。
ワークライフバランスに関する制度や取り組みがなく、かつワークライフバランスが整っていないことにストレスを感じているならば、転職を考えたほうがいいかもしれません。

近年、社員の働きやすさだけでなく、個人の働き甲斐を重視する企業が増えています。2018年12月に国際標準化機構(ISO)が発表した、人的資本に関する情報開示のガイドライン「ISO30414」の取得に動く企業も増加しています。

世の中の流れを考えれば、ワークライフバランスに未対応の企業は早晩改革が必要とされるでしょうが、変わるのを待つのは時間を要するでしょうし、社内で自ら手を挙げて改革に動くのはさらに難易度が高いと思われます。自分にとっての理想的なワークライフバランスを考えた上で、それが叶えられそうな企業を探してみるのも一つの手段です。

ワークライフバランスを見直して、仕事と生活の好循環を生み出そう

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ワークライフバランスを整えることは、自分の働き方や人生そのものを見直すきっかけにもなります。仕事がいくら楽しくても、そればかりではどうしてもストレスが溜まるもの。プライベートで気分転換したりストレスを発散したりすることで、また仕事にイキイキ臨めるようになります。実際、仕事だけでなく生活が充実している人は、仕事でも高い成果を挙げている人が多いと感じます。

ワークライフバランスには、ルールなどはありません。ぜひ自分の理想とする働き方、そして生活のあり方に向き合い、自分にとっての「理想のバランス」を考えてみてください。

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EDIT&WRITING:伊藤理子
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