人間の持つ「白黒両面の顔」とは?ーー『マネーの拳』に学ぶビジネス格言

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『マネーの拳』をご紹介します。

『マネーの拳』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

ここでは、私がオススメする名作マンガの一コマを取り上げます。これによって名作の理解を深め、明日のビジネスに生かしていただくことが目的です。マンガを読むことによって気分転換をはかりながら、同時にビジネスセンスも磨くことができる。名作マンガは、まさに一石二鳥のスグレモノなのです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「人間というのは、白黒両面の顔を持っている」

(『マネーの拳』第6巻 Round.49より)

地元・秋田の高校を中退した花岡拳(はなおかけん)は、友だちの木村ノブオとともに上京。花岡は、偶然始めたボクシングによって才能が開花し、世界チャンピオンにまで上り詰めます。

その後、ボクシングを引退した花岡は、タレント活動をしながら居酒屋を開業しますが、経営は思うようにいきません。そんな時に知り合ったのが、通信教育業界の成功者・塚原為之介会長でした。花岡は会長の教えを受けながら、ビジネスの世界でも頂点を目指すべく、新しいビジネスをスタートさせますが…。

人間は、白黒両面の顔を持っている

Tシャツ専門店のビジネスが成功し、次なる一手を思案する花岡。事業の出資者である塚原会長から、「株式を公開してはどうか」と勧められ、証券アドバイザーの牧を紹介されます。牧は、花岡に株式公開に伴うメリットとデメリットを説明。牧の言葉の中で、花岡をもっとも悩ませたのは「上場する過程で、創業メンバーはすべて会社を去ることになる」という一言でした。

牧は、「ポイントは、創業メンバーが去っても、社長が気持ちを切り替えられるかどうかだ」と話します。「今まで苦楽を共にしてきた社員が去って、落ち込まない社長はいない。しかし、社長のパワーダウンは会社のパワーダウンにつながる」のだ、と。すると花岡は、「上場しても、全員ついてくる。これくらいの自信がなくて、何が経営者だ」と言い、上場する決意を固めるのでした。

社内に上場する旨を告知すると、予想通り、社員の反発が始まります。さらに、社内が反対派と賛成派に分かれ、互いに仲間を引き込もうと裏工作を始めます。「かつては、夢中で商売することだけを考えていた社員たちが、今では誰もが自己防衛に走っている…」。その様子を目の当たりにした花岡は、人間が白い顔と同時に、黒い顔も持っていることを知ったのでした。

人の長所や短所は、「ポジション」を与えて初めてわかる

人には、誰しも長所と短所があります。例えば「あの人は、仕事はできるが癇癪持ちだ」とか、「あの人は誰にでもやさしいけれど、反面、優柔不断なところがある」といったように、です。私は、マンガの言う“白い面”とは長所を、“黒い面”とは短所を指している、と解釈しました。上手くいっている組織は、それぞれの白い面を引き立たせ、黒い面を目立たせないようにしています。これを「適材適所」と言います。

適材適所が難しいことは、組織にいる人ならばよくご存じだと思いますが、それは人のポジショニングに対して「きちんと実験し、検証を行っていない」ことが一因です。例えば、「この人はマネジメントが向いているかもしれない」と思ったら、その人を後輩の指導に当たらせてみる。また「この人にはアフターフォローが向いている」と思ったなら、カスタマーサポートを担当させてみる、といったように、です。

人には「失敗させて育てる」というプロセスが必要です。実験に対して、相手が期待以上の成果を返してきたものが、その人の白い面である可能性が大きく、逆に、期待以下だった場合は、おそらく黒い面であることが多いでしょう。

©三田紀房/コルク

残念ながら、部下の能力を見抜くことのできる上司ばかりではないのが現実ですから、上司にそのような(実験を)期待するのは望み薄かもしれません。上司にも白い面と黒い面がある、ということです。

なぜ、人は自分のことを責め立ててしまうのか?

そもそも、自分が本来、期待すべきなのは自分自身です。しかし世間を見てみると、自分のことを卑下し、自分に自信がない人が多いような気がします。どうして人は、上司に対しては「オレを過小評価している」と恨む一方で、自分に自信が持てないのでしょうか。これに関して、著名な脳科学者である茂木健一郎氏が、書籍『感動する脳』の中でこのように述べています。

「例えば、今日はこれをやろうと1日の計画を立てる。でもなんとなく気分が乗らなくて、1日をダラダラと過ごしてしまう。夕方になって何もやっていないことにハタと気づくと、だんだん後悔の念が湧いてくる。どうして自分はできないんだと自己嫌悪に陥ってしまう。…まさにネガティブ脳人間のでき上がりです」と。

自分の1番の味方は「自分」

この1文を読んで、「これは自分のことだ」と思った人はいないでしょうか。こういった「ネガティブ脳」に陥らず、自信を持つために、私がオススメしたい手法は、「これならどんなイレギュラーがあっても確実にこなせるという予定をあえてタスク化し、そのタスクを自ら消し込む習慣」です。

訓練すれば、誰でも頭の切り替えは上手くなっていきます。頭の切り替えが上達すれば、ネガティブ脳に支配される時間を減らすことができ、自分を肯定的に受け止められ、自信の向上につながるでしょう。

いずれにせよ、私たちはもっと自分を活かす方法を考えるべきではないでしょうか。そのためにも、まずは人間が持つ両面性を受け入れることが、最初の一歩となるのです。

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俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン()』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?()』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」()』を上梓。著作累計は38万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

俣野成敏 公式サイト(

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