仕事ストレスが原因?こんな症状が出てきたら要注意!専門家が教える上手な対処方法

「最近、気分が落ち込むことが多い」「疲れているのに 、なかなか眠れない……」──そう感じたら、それは仕事ストレスが原因かもしれません。自分では気づきにくい危険な兆候と対処法について、『ストレスフリー超大全』の著者であり、YouTubeチャンネルでも人気が高い精神科医、樺沢紫苑(かばさわ しおん)さんにお話を伺いました。

ストレスに悩むイメージ画像
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仕事中に現れるストレスによる代表的な初期症状

皆さんは、ストレスが原因で起こる体と心の不調と聞いて、どんな症状をイメージしますか。「元気がない」「意欲が湧かない」「憂うつな気分」などと答える人が多いと思います。しかしこれらは、仕事ストレスが「中度~重度」のレベルまで進んだときに見られる症状で、初期においては通常時と見分けがつかない場合も多いのです。

仕事中に現れる、ストレスによる初期症状の一例を挙げてみましょう。

会議の予定や打ち合わせのアポイントをうっかり忘れてしまう
書類整理ができない、少し前に話したことと違うことを言い出す
提出すべき書類を、期限が過ぎても提出していなかった
パソコンやカバンをどこかに置き忘れるなど、物忘れが増えた

もともと几帳面な人がこのようなケアレスミスをするようになるのは、「脳疲労」の兆候です。ストレスが溜まるとノルアドレナリンの分泌が減りますが、そうすると注意力や集中力の低下につながるのです。

同時に、身体にも「何とも表現できない具合の悪さが現れます。もっとも多いのが「全身倦怠感」。そのほか「頭痛」「頭重」「肩こり」「首回りの疲れ」「下痢」「便秘」「動悸」「息苦しさ」「多汗」などが挙げられます。

上記のような症状から、まず内科を受診する人が多いのですが、内科で検査を受けても、データに異常はない。そこで精神科の受診を勧められ、ようやくメンタルの不調に気づくケースがほとんどです。

このようにストレスの症状は、まず身体症状に現れることを理解しておいてください。上記に挙げた症状のほか、「食欲低下」「睡眠障害」も現れます。特に「急に体重が減ってきた」は、危険な兆候です。また、「寝つきが悪い」「途中で目が覚める」「長く眠れない」など、睡眠の質が悪化する傾向が見られます。

症状がさらに進んでしまうと、「興味・喜びの喪失」といった症状が出てきます。

野球が大好きで、ナイター中継を欠かさず観ていたのに、最近興味がなくなった
以前は毎週末に釣りに出かけていたのに、行かなくなった
読書が大好きなのに、本を読まなくなった

つまり、その人にとって楽しいはずの活動が楽しく感じられなくなる。これはかなり異常な状態です。ここから、「何もする気が起きない」「朝起きて、会社に行きたくない」「このままずっと寝ていたい」へと進行していきます。ここまで来ると、すでに中等症以上と言えるでしょう。

早めに対策をとった方が短期間で症状改善が図れますので、できるだけ「仕事中のミスが増えた」「何となく体調が悪い」といった初期症状の時点で病院を受診することが大切です。

「ストレスによる症状かも」と思ったらどう動く?

とはいえ、どの段階で病院に行った方がいいのかどうか悩む方も多いことでしょう。そこで、お勧めの対処法をご紹介します。

「睡眠」を見直し、改善を図る

仕事中に疲れを感じたら、まず生活を見直してみましょう。最近はテレワークをしている人も多いですね。「通勤」のルーティンがなくなったことで睡眠時間が不規則になっているのではないでしょうか。先ほど、ストレスの初期症状として必ず現れるのが「睡眠障害」とお伝えしました。自分の睡眠の状態を認識することは大切です。しかし、自覚できない人が多いのが実情です。

そこでお勧めするのが、スマートフォンで手軽に利用できる「睡眠アプリ」です。いろいろな種類がありますので、自分が使いやすいと思ったアプリをダウンロードして睡眠時間を計測してみてください。

自分では7時間寝たつもりでも、実質5~6時間しか眠っていないことがあります。布団に入っていることと眠っていることは別。寝つけなかったり途中で目を覚ましていたりすると、自分で思っているほど睡眠がとれていないこともあるのです。

睡眠の状態を正しく把握し、改善を図ることで症状の進行を防ぐことができます。睡眠不足を解消し、睡眠の質を高める方法は、「朝散歩」「運動」をお勧めしています。

【参考記事】精神科医が教える「会社に行きたくない」ときの気持ちの切り替え方

今日の気分を「100点満点」で評価してみる

ストレスをためやすい性格タイプに、「0-100(ゼロヒャク)思考」「二分思考」というものがあります。物事を「0か100か」「成功か失敗か」「○か×か」「イエスかノーか」でしか考えられないタイプです。

このタイプの人は、「大成功」以外をすべて「失敗」、99点以下をすべて0点ととらえがちです。ほとんどが「失敗」「0点」になるので、何をやってもマイナスの気分になってしまうのです。そして、体調や気分に対しても、「悪いと断言するほどではない」と判断すると、「良い」と見なして頑張りすぎてしまう傾向があります。

そこで私は、数値化する「100点満点で評価するクセをつける」ことをお勧めしています。毎朝、その日の気分を100点満点で評価し、記録しておくのです。「今日は元気だから90点」「仕事したくない気分だから30点」といったかんじですね。

例えば、私が患者さんに「今の気分はどう?」と尋ねたら、「すごく調子が悪いです」と返ってきたとします。ところが、その後に「100点満点だと何点?」と尋ねると、少し考えて「60点」と返ってきたりする。60点なら、それほど悪くもない状態だということがわかります。点数を付けることで、自身の気分を客観的に捉えることができるのです。

「良いか悪いか」だけで判断せず、点数を付けてみることで、自分と向き合ってみてください。ストレスの度合いを把握できれば、対策もとりやすくなります。

今が人生で一番具合が悪い状態なら、受診も検討しよう

どんな状態になったら精神科を受診したほうがいいのかわからず、様子見をしている人に対して、私が一つの基準としてお伝えしたいのは、「一生の中で、今が一番具合悪い」という状態です。

言葉では言い表せない具合の悪さ。頭や身体に鉛でも入ったかのように、動こうとしても動けない。これまでに経験したことのない不調を感じたら、すぐ病院にかかったほうがいいでしょう。

また、「仕事に支障をきたすようになった」場合も、受診すべきタイミングです。先ほども挙げたような「会議をすっぽかしてしまった」「書類の提出期限を守れない」、あるいは「会社に行く気力がなく、休んでしまった」などは、すでに仕事に支障をきたしています。ここまでくると、病気の可能性を疑ったほうがいいでしょう。

病院に行くのはハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。しかし、待ち時間・診察を含め、どんなにかかったとしても3時間もみておけば十分です。夜間や土日に診療している病院もあります。延々悩み続けるより、3時間で白黒ついたほうがいいですよね。費用も一般的には1万円もかかりません。

ストレスによる症状を持つ患者さんから、よく「治るのにどのくらいかかるんですか?」と尋ねられることがあります。もちろん人それぞれですが、一つの目安として、「調子が悪くなってから、初めて病院を受診するまでと同じぐらいの時間がかかります」と、お答えしています。

つまり、1カ月前から調子が悪くなった人なら1カ月かかり、半年前から調子が悪ければ、治るのにも半年かかる。ですが、1年も放置した人になると、治りにくくなってしまいます。人間の脳・身体には「同じ状態を維持する」特性があります。不調が続いたまま放置してしまうと、その状態が固定されてしまい、調子が悪い状態が普通になる。こうなると、なかなか治りません。

「病院にかかるのは、もう少し様子を見てから……」と考えている人には、「早く治療を始めたほうが治りやすい」と強くお伝えしたい。病院にいくかどうか迷っているくらいなら、少しでも早く病院にいって、適切な治療を開始することをお勧めします。

ストレスの症状がひどい時は休養をとろう

ストレス症状が強く出ているときは、どうすればいいのでしょう。
症状の程度にもよりますが、基本は「休むべき」です。仕事ストレスを悪化させるのは、休むことが苦手な人や、真面目で苦しい状況も努力と根性で乗り越えようとする人、「まだまだ大丈夫!」と頑張る人に多いんですね。

本当は疲れているのに、それを否定していると、いつのまにか症状が進行してしまいます。ですから、休息・休養をとってください。繰り返しますが、脳が疲労し、限度を超えてしまうのがストレスです。仕事から離れ、脳を休めることがもっとも大切な治療法なのです。

ただ早めに終業して家に帰っても、寝るまで仕事のことを考えていたら、まったく休養になりません。会社から一歩出たら、仕事のことは一切考えない。これも、心の健康のためには必要なことです。「のんびりする」「遊ぶ」と決めて、緩急をつけることが大切です。

樺沢紫苑(かばさわ しおん)氏

精神科医、作家、映画評論家 樺沢紫苑(かばさわ しおん)氏

『行動最適化大全』表紙画像1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。札幌医大神経精神医学講座に入局。大学病院、総合病院、単科精神病院など北海道内の8病院に勤務する。2004年から米国シカゴのイリノイ大学に3年間留学。うつ病、自殺についての研究に従事。帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。 精神医学の知識、情報の普及によるメンタル疾患の予防を目的に、YouTubeフォロワー 31万人、Facebook 12万人、メールマガジン15万人、Twitter 13万人、累計約70万人のインターネット媒体を駆使し、精神医学、心理学、脳科学の知識、情報をわかりやすく発信している。毎日更新のYouTube番組「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」(登録者数31万人)も大好評。著書に『アウトプット大全()』(サンクチュアリ出版)など37冊。
最新刊は2021年7月8日発売『行動最適化大全()』(KADOKAWA)。

WRITING:青木典子 EDIT:馬場美由紀

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