組織に所属している社会人なら、人事異動は付きものです。自分自身の異動はもちろん、上司や先輩、同僚が異動する場合もありますし、お世話になった取引先の担当者が異動になることもあります。現在では、異動の連絡をメールで行うことも多いと思います。では、上司や取引先から異動を知らせるメールが来たとき、どう返信すれば良いのでしょうか?異動連絡への返信メールには、盛り込むべきポイントと、心のこもった内容にするためのコツがあります。
今回は、感謝の気持ちを自分らしく伝える返信メールのコツについて紹介します。
取引先から異動の挨拶が送られてきたとき
お世話になった取引先の担当者から異動の挨拶が送られてきたら、もちろん返信をするのが礼儀です。本来であれば電話や書面でお礼をするべきではありますが、異動の前後は相手もバタバタしていることが多いので、メールでも大丈夫です。簡素すぎず、長すぎず、失礼のない返信を心掛けましょう。
以下の3点をもとに書くことで、内容に失礼がなく、文章量も適切になります。
●構成
1) 異動の挨拶をいただいたことへのお礼
2) 在任中、お世話になったことへのお礼
3) 新天地での活躍を祈念する言葉
●返信例
株式会社○○
営業部 ○○様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社××の××でございます。
ご多忙のところ、異動のご連絡をいただきまして、
誠にありがとうございます。
○○様にご担当いただいたことで、私も大変スムーズに
仕事をすることができました。
あらためて感謝申し上げます。
新しい部署におかれましても、○○様の益々のご活躍を
お祈りいたしております。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
上司から異動の報告がきたとき
上司の場合、異動で離れてしまうとはいえ、今後の巡り合わせによっては再び自分の上司になる可能性も大いにあります。形式的な返信ではなく、感謝の気持ちをしっかり伝えましょう。そのためには、具体的なエピソードを盛り込んで、自分らしさを出すのがコツです。
●構成
1)異動の挨拶をいただいたことへのお礼
2)仕事を通して育ててくれたことへの感謝
3)具体的なエピソード
4)異動先での活躍を祈念する言葉
●返信例
○○部長(役職があれば役職名、ない場合は○○さん)
異動のご連絡をいただきまして、ありがとうございます。
これまで○年間、大変お世話になりました。
○○部長のおかげで、部内のみんなと楽しく仕事に打ち込むことができました。
仕事がうまくいかないときにいただいた具体的な助言と温かい励ましのお言葉を、
今でも鮮明に思い出します。
本当にありがとうございました。
新しい部署に行かれましても、益々ご活躍されますようお祈りいたします。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
心のこもった内容にするには?
本来、ビジネスメールは簡潔に要点をまとめたものにするべきです。しかし、今回のようなケースでは、もう少し心のこもったメールにしたいと考える人もいるでしょう。返信メールをより好印象にするコツをお伝えします。
●返信はスピーディーに
異動の挨拶メールもビジネスメールの一種です。返信はなるべく早く行いましょう。「真っ先に返事をくれた」と印象が良くなります。忙しくて手が離せない場合でも24時間以内に返信するようにしましょう。
●文体は相手に合わせる
メールの文体や語調は、相手に合わせましょう。つまり、簡潔な異動メールに対しては、簡潔に返信することを心がけ、長めのメールに対しては、エピソードなどを添えて、少し長めの返信をするのがコツです。相手が感謝の気持ちを込めて長文のメールを送ってきているのに、こちらが形式的な短文を返したのでは、せっかく返信しても逆に印象を悪くしてしまうおそれもあります。
●感謝の言葉を具体的に示す
返信メールに「自分らしさ」を入れるには、具体的なエピソードを盛り込むのがコツだとお伝えしました。さらに、感謝の言葉についても、より具体的に言い換えると心のこもった文章になります。「先日はありがとうございました」よりも、「先日は雨の中、ありがとうございました」のほうが好印象なのと同じです。例を挙げます。
- 困ったことがあるたびに相談に乗っていただきまして、
- ○○様のおかげで困難を乗り越えることができました。
- 深い気遣いを示していただき、本当に助けられました。
- ○○さんの笑顔には、いつも癒され、励まされました。
- いっそうのご自愛とご活躍をお祈り申し上げます
- 是非、夢を実現されますようお祈り申し上げます
感謝とお礼を自分らしく伝えよう
お世話になった人が突然異動になれば寂しいものです。気心が知れて仕事がしやすい人なら、なおさらでしょう。相手が異動するからといって、それで関係が終わるわけではありません。数年後にまたお付き合いをする可能性は大いにあります。せっかく築き上げた良縁を今後に活かすべく、自分らしく、心のこもった返信メールを送りましょう。