日本の将来を知るヒントは「葬式」にありーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー(→)。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい奥深い一言をピックアップして解説します。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「日本の将来は衰退すると予測されているが、国の成長を阻害する要因は葬式を見ればわかる」

(『インベスターZ』第6巻credit.50より)

大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

「時代を読むヒントは、至るところに落ちている」

道塾学園を創設・管理している藤田家の現当主に、ベンチャー企業への投資を承諾させた財前。投資用資金として15億円を託されます。しかし、ベンチャー企業について何も知らない財前は、ロケット開発会社を経営している投資部のOBを訪ねます。OBに投資を申し出たものの、断られてしまったちょうどその時、藤田家から「ベンチャー投資の進捗状況を報告するように」との催促が。

呼び出された財前は、まだ投資が1件も成立していないことを話して詫びます。当主は、「ベンチャー企業が難しいことは承知している。だが、時代を読むヒントはそこら中にあるはずだ」と言います。「例えば葬式。現在、日本人の平均年齢は83歳。対する喪主の平均年齢は67歳。つまり老人から老人へと資産が相続されている。ここが問題なのだ」と。

「20年前であれば喪主は40代だったから、相続された遺産は子どもの教育費や住宅購入などに充てられ、経済に貢献していた」と語る当主。「今は、世界最速で少子高齢化を突き進む日本だが、逆にそれは先駆者になれるチャンスでもある」と言うのです。当主は、財前に「新しい道を切り開こうとする者を後押しするのが、投資の役目だ」と伝えた上で、「期限は君が卒業するまでの6年だ」と言い残すと、帰っていったのでした。

少子高齢化を突き進む日本の100年後とは?

『インベスターZ』では、日本の恐ろしい未来像が描写されています。このままいけば、2100年には高齢者が人口の40.6を占めるようになり、人口は最悪、3450万人にまで激減。そのころにはおそらく人口が首都圏に集中するようになり、北海道や本州北部・四国・九州は誰も住んでいない荒れ果てた土地になるだろう、と予想されています。

総務省のつくった資料を見ても、明治維新(1868年)の際に3330万人だったと推定される日本の人口は、2004年の12月に1億2784万人でピークを迎えた後、その後の100年でほぼ明治時代の人口に戻っていく、と予測されています。日本列島が『インベスターZ』の描写通りになることは、十分あり得る話です。

日本では現在、きたる少子化に備えるために、外国人の受け入れを進めています。2018年6月には「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)が発表され、外国人労働者の受け入れ拡大へと舵を切りました。これによって、実質的に単純労働者へと門戸を開くこととなり、2025年頃までに農業・介護・建設・宿泊・造船の5つの分野で50万人超の受け入れ増を見込んでいます。

日本の経済成長は“必然”だった

『インベスターZ』の作者・三田紀房先生の着眼点が確かなものであるのは、先生が投資と人口ボーナスを結びつけて語っている点からも明らかです。人口ボーナスとは、その国の生産年齢人口の増加によって消費が喚起され、経済が活発になる状態を言います。

人口ボーナスに大きく関係しているのが、1980年代後半から1990年代初頭にかけて起こったバブル景気です。私がちょうど大学に入ったころがまさにそうだったのですが、当時は就職率もピークのころで、先輩たちは拘束旅行と言って、企業が内定者にほかの会社を受けさせないようにするための、一種の接待を受けたりしていました。私が卒業する前に、そのバブルも弾けてしまったのですが。

実は、団塊世代が一番お金を使う時期と重なっていたのが、バブル経済です。日本の人口ピラミッドの中で、一番層の厚い年齢の人たちが、もっともお金を使う時期になれば、当然ながら景気を後押しします。長年、日本では「日本の高度経済成長は、戦後の日本人が必死で頑張ったからだ」と言われてきました。確かにそれも一理ありますが、必ずしもそれだけではなかったわけです。

大事なことは未来を予測し、そのための準備をしておくこと

こうした事実を踏まえた上で、今の私たちにできることは、「これらの情報から、どれだけ“見えない未来”を見ようとするか?」ということです。例えば普段から、ニュースなどを聞いた際に、そこから「このニュースが今後にどのように影響するのか?」「それが自分の未来とどう関わってくるか?」といったことまで考えるようにクセ付けするといいでしょう。

世の中が動き、マーケットが動けば、私たちの生活も変わるということなのですから。

マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス 第41回

俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン(→)』および『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?(→)』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1の人だけが知っている「仮想通貨の真実」(→)』を上梓。著作累計は42万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

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