ドラマ『僕らは奇跡でできている』に学ぶ、「ねたみの呪縛」から解き放たれるための4つの方法

SNSや同窓会などで、活躍している同世代の人がうらやましくなった経験はありませんか? そんな時、やめておけばいいのにもっとSNSを見てしまい、もっと妬ましくなったり、落ち込んだりすることもあるのでは。そんな「妬みの呪縛」にとらわれてしまったら、どうしたらいいでしょうか。

カンテレ・フジテレビ系のドラマ『僕らは奇跡でできている』の主人公・動物行動学の大学講師をしている相河一輝の言葉から、嫉妬心でいっぱいになってしまったときの抜け出し方を探ってみましょう。

すごい人と自分をくらべて、落ち込んでしまったら?

ドラマ『僕らは奇跡でできている』の主人公、相河一輝(高橋一生)は動物行動学を専門とする大学の講師です。誰よりも動物が好きで、だれかれ構わず動物の生態についてまくし立ててしまうちょっと変わり者。

けれど彼の語る「動物の生態」はどこか人間に似ていて、「会社のあの人みたい」と思わせられる部分もあります。たとえばイソップ童話に出てくる「ウサギとカメ」について、一輝は独特の解釈をしています。

一輝「カメはぜんぜんがんばっていません。競争にも、勝ち負けにも興味がないんです。カメは、ただ道を前に進むこと自体が楽しいんです。
想像してみてください。地面からはいつくばって前に進む、カメにしか見えない世界。地面から数センチの世界。その素晴らしい世界を楽しむためだけに、ただ、カメは前に進むんです」【1話】

一般的には、ウサギは早く走れるから油断していて、カメはコツコツ歩いてがんばっているととらえられがちです。しかし、そうではなく目の前のことを目いっぱい楽しんでいるだけ。なぜならカメは、切り株で休んでいるウサギを気遣うことも声をかけることもなく、そのまま行き過ぎてしまうからというのです。

嫉妬心で胸がいっぱいになってしまうということは、目の前のことを楽しめていない状態です。そういう他人にフォーカスしてしまう時があってもいいですが、ずっとそのままでは人生の貴重な時間がもったいないように思います。

そこで、誰かがうらやましすぎてつらくなった時、「妬みの呪縛」から解き放たれるための4つのステップをご紹介しましょう。

【1】あえて相手に近づいてみる

うらやましいと思う相手に、あえて近づいて話を聞くのも一つの手です。毎日どうやって仕事をしているのか、なぜ今のようなライフスタイルを手に入れることができたのか。そこには、うまくいっている人だけが経験した苦労や影の努力、ノウハウがあるはずです。

うまくいっている人の考え方ややり方には、必ず真似できるところがあります。真似できるところは素直に真似をした方がよいでしょう。

思い切って「実はこういうことで悩んでいる」と正直に打ち明けることで、アドバイスがもらえたり、「この人に話を聞いてみたら良いんじゃない?」と力になってくれる人を紹介してもらえることもあるでしょう。

あるいは、実際に話を聞いてみると、意外と「こんな生き方自分にはできない」「うらやましいと思っていたけれど、なんだか楽しそうじゃないな」と考え方が変わることもあるはずです。

そんなふうに相手に話を聞くことで、凝り固まっていた自分のものの見方を変えるきっかけができると思います。

【2】いろんな人に会い、忙しくする

誰かをうらやましく思うのは、自分の視野が狭くなっているだけという場合もあります。人の輝かしい部分だけを切り取ったSNSやメディアの情報だけで判断するのではなく、いろんな人に話を聞くことで、さまざまなロールモデルに出会うことができます。「こんな仕事の仕方もある」「こんなキャリアの積み方もある」と、新しい価値観を取り入れることができるはずです。

そうやっていろんな人と会ううちに、スケジュールがいっぱいになり、SNSを見る時間すらなくなってきたらしめたもの。誰かの人生ではなく、あなた自身の人生にフォーカスできているということだと思います。

【3】自分ができないことを知り、受け入れる

一輝はこうも言っています。

一輝「生き残れるかどうかは、戦いの勝ち負けで決まると思いますか?」
「戦いに勝ったものが生き残ったわけではないのです。パンダが生き残れたのは、自分の弱さを受け入れ、高地に逃げたことにはじまります」
【1話】

ジャイアントパンダはもともと肉食で繁殖能力が低いのに、氷期を生き抜きました。それは他の動物と戦っても負けるので高地に移動し、たまたまそこに生えていた竹を食べたから。しかも竹は氷期が来ても枯れなかったため、ジャイアントパンダは今でも生き残っているのだそうです。

これは「弱者の生存戦略」です。自分ができないことを決め、今できることをやる。そう戦略を切り替えることで、新たな強みや自分だけのオリジナリティを磨くことができます。時代の最先端を走るリーダーでなくても、グローバルでさまざまな経験を積んだ強者でなくても今の時代を生きていける一つの方法です。

たとえば営業パーソンの場合、成果を出すためにはある程度の量をこなすことが必須です。しかし中には「体力がなくて、一度にたくさんの訪問先を回れない」という人もいるでしょう。ではその時、どうするか。

思い切って「たくさんの顧客を訪問するスタイルの営業はしない」と決めてしまうのです。そこから、新しい営業スタイルを模索する工夫が始まります。

たくさんの顧客を訪問できないなら、たとえば1日1社だけ、顧客の抱える課題を仮説としてまとめたうえで訪問すると決める。仮に、1日1社に事業課題を踏まえた提案ができれば、1カ月あたり20社近くに深みのある提案ができることになります。これも立派な量。しかも、質の高い「量」をこなしたと言えるでしょう。

今の時代、やみくもに電話をかけたり、訪問したりすればいいわけではありません。「どんなふうに量をやるか」も、工夫のしどころです。「量」について定義し直し、「どんなクオリティで量をやるか」と考え方を変えれば、仕事の仕方も変わります。

できないことを認めることは「負け」ではありません。数ある選択肢の中から、次の一手を打つための有益な「選択」の一つ。そして自分の置かれた現状から出発して、できることを探すのです。24時間働き続ける時代ではなくなり、労働人口も減っている今、限られた時間とリソースで成果を出していくための、立派な戦略だと思います。

【4】勉強もキャリアアップもしなくても、今すぐできることを愚直に続けてみる

誰かがうらやましい、と思ったところで、今すぐあなたがその人になれるわけではありません。ならば無理に勉強したり、スキルアップするよりも、まずは自分が今すぐできることを探してみましょう。

たとえば、営業パーソンなら「誰よりも顧客企業の下調べをする」。スマートなやり方ではないかもしれませんが、大きな勉強やスキルアップをしなくても今すぐできることの一つです。顧客の競合企業や、その新事業、どんな人材を採用しているか、業界構造の変化、社長の経歴など調べられることは山ほどあります。検索テクノロジーが向上した今の時代、パソコンを立ち上げるだけですぐにできることです。

他にも「必ず自分から挨拶する」「訪問する時、必ず(商品パンフレットではなく)顧客にとって参考になるデータを持っていく」などもっと簡単なことでもいいと思います。今すぐできることをやりながら、同時並行で勉強やスキルアップも行う。そうすることで、「自分はあの人より劣るのではないか」という無意味な焦りからも少しずつ開放されるのではないでしょうか。

この4つのステップを踏むと、どんどん忙しくなってきてやがてうらやましい相手のことが目に入らなくなってくるはずです。そのうち、顧客に「ありがとう」と言われたり、同僚に喜ばれたりするなど“小さな”成果が出てきます。それは、見逃してしまうほど些細なものかもしれません。けれど、その小さな成果が出てきたら変化してきた証拠です。気を抜かずに、さらに小さな成果を積み重ねていきましょう。

するとほんの少し、今までより責任の大きい仕事を任されるようになるはずです。そこで逃げずにもう一度踏ん張ると、また少し大きな成果が出ます。次はまた一つスケールの大きな仕事を任せてもらえます。そんなふうに、ステップアップしていくのです。

このプロセスに夢中になっているうちに、仕事が楽しくなってきます。いつの間にか、あの時うらやましいと思っていた相手を追い越していることだってありえるのです。これがまさに、一輝の言う「ただ道を前に進むことが楽しいカメの姿」なのだと思います。

「妬ましい」気持ちで心が支配されてしまったら、一度心を落ち着けて、そこから抜け出す決心をしてみてもよいのではないでしょうか。

<番組情報>

カンテレ・フジテレビ系列『僕らは奇跡でできている』火曜21:00~

高橋一生が、動物が大好きで夢中になってしまうと周りが見えなくなってしまう純真無垢な大学講師を演じる。固定概念にとらわれない主人公・一輝の言動が、普通や常識、当たり前にとらわれた人々の心を優しく揺さぶるあたたかなドラマ。脚本は『僕の生きる道』『僕と彼女と彼女の生きる道』など「僕シリーズ」や、木村拓哉主演の『A LIFE〜愛しき人〜』などを手がけてきた橋部敦子。人が生きるうえで直面する根源的な問いを考えさせるドラマを生み出している。
出演は、高橋一生、榮倉奈々、要潤、田中泯、戸田恵子、小林薫ほか。

WRITING:石川香苗子
新卒で大手人材系会社に契約社員として入社し、2年目に四半期全社MVP賞、年間の全社準MVP賞を受賞。3年目はチーフとしてチームを率いる。フリーライターとして独立後は、マーケティング、IT、キャリアなどのジャンルで執筆を続ける。IT系スタートアップ数社のコンテンツプランニングや、企業経営・ブランディングに関するブックライティングも手がける。学生時代からシナリオ集を読みふけり、テレビドラマで卒論を書いた筋金入りのドラマ好き。

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