明星和楽とは「テクノロジーとクリエイティブに関わる人々が集まる」ことを目標に2011年に開始されたフェスティバル。2018年3月に今アツいと噂の福岡で開催された「明星和楽2018」は、テクノロジーあり、アートあり、eSportsありで、東京でもなかなか味わえない熱量とカオスにあふれていました。
最先端の技術や要素が盛りだくさんなイベントの様子と、明星和楽を影で支えたIoTベンチャー、ウフルの取り組みにフォーカスしてお伝えします。
目次
アツい福岡!テクノロジーとクリエイティブの祭典「明星和楽 2018」
▲テクノロジーとクリエイティブの祭典「明星和楽 2018」の様子
「明星和楽」企画立案者の1人、ヌーラボCEOの橋本正徳氏は、「アメリカで毎年開催されているフィルムと音楽とインタラクティブのフェスティバル、SxSW(サウスバイサウスウエスト)をロールモデルにした」と語っています。
▲SxSW(サウスバイサウスウエスト)
アメリカはテキサスで毎年3月に開催される「音楽」「映画」「インタラクティブ」などを組み合わせた大規模フェスティバル。多くのWebサービスやスタートアップが集い、最先端のテクノロジーやクリエイティブが集まるイベントとして注目されている。
明星和楽は年々規模を広げていて、台湾やイギリスで出張開催した年もありました。2018年には早くも9月に2度目の開催が決定しているようです。
ヌーラボは「働きがいのある会社」ランクインや「GoodAction賞」受賞など働き方の面でも突出していて、明星和楽の自由でクリエイティブな雰囲気にも色濃く反映されているように感じます。
明星和楽が開催された福岡は、世界をターゲットにビジネスを行うスタートアップの雰囲気に満ちあふれています。福岡を拠点に既に世界と戦っているプレイヤーが多いこと、それを見た若者が福岡を盛り上げようとすること、そこからまた新たなプレイヤーが生まれること、という良いサイクルが福岡を盛り上げています。
明星和楽はその雰囲気を可視化したイベントです。
ITスタートアップ界隈の著名人にとどまらず、今年は「モテクリエイター」として著名な福岡出身のゆうこす氏や、バズライターのヨッピー氏・漫画家カメントツ氏・やしろあずき氏、さらにはeSportsの世界大会で活躍する鉄拳プレイヤーたちなど、全く別領域のクリエイターも集まり、いい意味でカオスな雰囲気となっていました。
カオスが作り上げるバラエティに富んだコンテンツ
明星和楽ではさまざまなジャンルが融合したさまざまなコンテンツが用意されていました。
* あらゆるジャンルの著名人が集ったトークセッション
* 最先端テクノロジーが集結したプロダクト展示
* ラフに飲んで異業種が交わる「awabar fukuoka」
* アートなカルチャーに触れるDJイベントやライブペインティング
* 世界で活躍するeSports選手と100人組手
* ファブリケーションスペース「GOODDAY HUB」の開放
* 若い英知が集結、学生ハッカソン
* 福岡の働き方や取り組みを知れるスタートアップ企業訪問
* 「社会と芸術の融合」をテーマにした福岡アジア美術館での展示
一つ一つのコンテンツでそれぞれイベントが開催できるほど、豪華で濃密なお祭りとなっていました!本記事では全ての紹介が難しいので、ぜひ一度参加してみてほしいイベントです(筆者はしばらく「福岡、最高」しか言えなくなりました)。
最先端テクノロジーを体感して知る、プロダクト展示
明星和楽のコンテンツの中から、テクノロジー分野のプロダクト展示を紹介します。有志による出展ですが、文句なしの最先端技術が集まっています。
こちらは、えむにわ氏によるVTuber体験。VTuverは「バーチャルYouTuber」の略で、キズナアイや輝夜月(かぐや・るな)など、主に3DCGのキャラクタをリアルタイムに操作して配信を行う技術です。
感情や動きの表現技術がどんどんと高まっていて、キャラクタとリアルなコミュニケーションをとることができ、世界中にファンがいる有名VTuverも存在します。最近は東雲めぐ(しののめ・めぐ)をはじめとする、SHOWROOMというライブ配信プラットフォームを使ったバーチャルSHOWROOMERというジャンルも出てきました。
こちらは1ft-seabass田中正吾氏による、話題のMRデバイス・Microsoft HoloLensを用いたデモ発表。現実の色を取得して動的に仮想空間に反映されたり、桜の木を眺めると花びらが散ったりと、現実と仮想が融合する新しい表現にチャレンジしていました。
dotstudioのうこ氏による、空間上の手の動きで演奏する楽器のデモ。音の変換や映像との連動もあり、斬新な動きと表現方法で会場を沸かせていました。まさにテクノロジーとクリエイティブの融合ですね。
ユニロボットのわみ氏による、ユニボの紹介。ユニボはリリースされたばかりの対話型のコミュニケーションロボットです。VUI(※)やロボットとのコミュニケーションはこれから来るテクノロジーとして注目されています。
一般家庭にも普及し始めている「スマートロック」も、最先端技術を取り入れどんどんと進化しています。株式会社tsumugのTiNKは「コネクティッドロック」と題され、合鍵のシェアや入退室履歴、スマートフォンなどでのロック解除などさまざまな機能を持ちます。モノだけでなく人・情報・体験を繋ぐ鍵として期待されています。
熱のこもったパネルセッションでテクノロジーの今を知る
テクノロジー分野では、福岡や東京、世界を股にかけ活躍するCEOやディベロッパーが登壇したパネルセッションも。
AI、Gloval SaaS、Blockchainなど、各セグメントを代表する方からビジネスや開発などここでしか聞けない濃密な話をたっぷりと伺うことができました。
良いサイクルの中で広がっていく明星和楽の輪
今回筆者を案内してくれたのは、東京を拠点にする株式会社ウフルの川野洋平氏。川野氏はもともと福岡出身で、IoTバックエンドサービス「Milkcocoa」を開発したテクニカルロックスターズなど、複数のスタートアップを経てウフルで働いています。
▲異業種の集うawabar fukuokaでの一幕
川野氏は明星和楽の運営委員としても活動していて、ウフルの仕事をしながら明星和楽の運営や福岡コミュニティとのコネクション形成などに積極的に参画しています。
企業拠点は東京、イベント拠点は福岡と、通常の働き方では到底無理のある活動にも見えますが、ウフルではそういったコミュニティや地方の盛り上げ活動を応援していて、 リモートワークも推奨しています。
これまでウフルはエンジニアやクリエイターたちのコミュニティ活動などとは離れた業界の立ち位置でしたが、スタートアップやエンジニアたちの文化を取り入れることにより、よりスピーディで柔軟さを兼ね備えた組織に変化しようとしています。
テクニカルロックスターズなどスタートアップ企業を買収した背景は、IoT領域への進出以外にもそういった背景があったのだと思います。
リモート推奨、こんな働き方はアリ?
一見業務とは無関係に見える地方やコミュニティでの活動を応援することで、企業にどのような利点があるのでしょうか?
一点では、ウフルの提供するIoT関連サービスとの親和性があるようです。
ウフルの提供するIoTプラットフォーム「enebular」や、バックエンド開発を容易にする「Milkcocoa」は、エンタープライズだけでなくエンドユーザによる活用も推進しています。テクノロジーに関心を持ってもらうことは、利用してもらう第一歩になりますよね。
また既に利用してくれているディベロッパたちが存分に発表できる場を応援することで、企業、延いては業界全体によい循環をもたらすように思います。
また重要な一点として、地方の課題解決に対する思いが挙げられるようです。
▲長野県伊那市で開催されたウフル主催の第3回LoRaWANハッカソンの様子
IoT技術の活用によって地方の抱える課題解決が期待されていますが、まだまだ動きの規模が小さく、開発が進んでいなかったり導入コストが高かったりと、実用レベルに至っていないことが多いように思います。
▲フィールドワークを実施して地方の課題を自分の目で確かめる
ウフルでは課題解決のプラットフォーム化を進めるため、技術やアイデアを自社にとどめずオープンに持ち寄り、ソリューションを素早く創り上げる「協創」の場をつくることが重要だと考えているようです。
あらゆるジャンルのクリエイターやテクノロジーがカオスに集う明星和楽は、まさに協創を象徴したイベントです。
働き方改革がうたわれている昨今ですが、このような支援をしてくれて自由な働き方ができる企業はまだなかなかないように思います。
明星和楽のパワーと応援する企業の輪が全国、全世界へと広がっていくことに期待が高まります。
9月の明星和楽は、なんと福岡は能古島でキャンプを実施するそうです。楽しみすぎますね!
取材・執筆:dotstudio, inc. ちゃんとく
大学までは文系で法学を学んでいたが「モノを作れる人」に憧れて知識ゼロからWebエンジニアの道へ。転職し現在はIoT中心のエンジニア・テクニカルライターとして活動。Node.jsユーザグループ内の女性コミュニティ「Node Girls」を主催。Twitter: @tokutoku393 / dotstudio, inc.