いつもサービスを支えてくれているシステム運用の「中の人」たちのことを知った遥子。みんな、ITインフラを支える、さまざまなエンジニアや管理者が誇りを持って仕事をしています。
なのに!いるんですよね~運用者のモチベーションを下げるセリフを吐くやからが…。今回はそんな悪魔のフレーズをワースト10形式でお届けします!
目次
ザ・ワーストテン 2012-17発表!
第10位: これ、片手間でやっておいて
「夜ヒマなんだから、ドキュメント作れるでしょ」
「全然難しくない作業だから、片手間でやってといてよ(追加コストなしで)」
「これも、ついでにやっといて!(お金は払えないけれど)」
あ…あるね、これ…。営業に言われたり、お客さんから直接言われたり。
まったく、運用をなんだと思ってるのかしら!
何も知らないお客さんならともかく、同じ社内の営業に言われるとイラっとする。
夜、ヒマ……じゃないんですけどねぇ。
全然難しくない作業って、運用のこと分かっていないあなたが決めることじゃないわよ! しかも、お金出さないだなんて論外。
まぁまぁまぁ……じゃ、次いきましょう。
第9位: なんでそんなに時間かかるの?
悲しくなりますなぁ…。
データの確認とか、環境差分のチェックとか、テストとか、なかなかお客さんや開発には認識してもらえないよね。
時間かかるものはかかるのよ! そもそも、運用しやすいシステム作ってくれれば、あたしたちだって時間かけずに作業できるのよ。次っ!
第8位:単純作業なのに、高くない?
た、単純作業ですと!?
あたしたち運用者は、その作業に命かけてるの!
ミスしないよう入念に確認し、単純化するためにマニュアル作ったり、シェル作ったり地道な努力してるんだからっ!
確かに、一方的に高いとか言われると傷つくよね。
でも、その作業の必要性や金額の妥当性をきちんと説明してこなかった、あたしたち運用者にも責任はあるんだけれどね。新しい技術を取り入れて、自動化を進める努力なんかも必要だと思うし。
(おおっ!? なんか、突然オトナな態度…)
第7位:開発のコト分からないクセに
運用のコト理解しようとしない、あんたたちに言われたくないわっ!!(ゴゴゴゴゴ)
ああっ、運用☆ちゃんがゴゴゴしてるっ!クールダウンしよっ。
空冷がいい!? 水冷がいい!?
第6位:「エスカレーションすると不機嫌」
これ、フツウに困るのよね…。
システム監視のメッセージやアラート拾って、お客さんや開発チームにエスカレーションすると不機嫌な態度とられることある(朝イチとか夜間とか、特に)。
わかる。そのジョブがコケたの、あなたたちが決めた仕様のせいじゃん! って言いたくもなるわ。
監視設定やエスカレーションの基準をキチンと決めずに、なあなあで運用開始するとこうなる。
要件定義工程、開発工程、運用設計工程のしわ寄せが、すべて運用に来るのよね。
第5位:壊れないシステム作ってくれれば、運用なんていらないよね
システム屋は魔法使いかっ!
(妖精に言われても、イマイチ説得力が…)
(ピングっ??)
あ、何でもない!
『お客様。システムにはですね、バージョンアップ、マスタメンテナンス、バックアップ、疎通確認、データガベージ、ログローテーション(※)など「生きるを守る」ための作業が必要なのでございます』
※システムが残す記録(ログ)が増えてメモリやデータベースの要領を逼迫させないよう、定期的に蓄積されたログを削除したり圧縮すること
第4位:品質下げていいから、人減らして
品質下げていい、ってカンタンにおっしゃいますけれどねぇ…。
私たち運用者は、誇りと責任を持って一生懸命システムを守っているんですけど…。
そうよね。プロのエンジニアとして、譲れないものがある。それに、品質下げたら下げたで絶対お客さん、文句言ってくるし。
気安く、人減らしてだなんて言わないでほしいですよねぇ。
さあ、いよいよトップ3の発表です!(ワーストだけどね)
第3位:下流
下流呼ばわりすなっ!
私も「なんだかなぁ」って思ってた。
百歩譲って、上流じゃないのは認める。でも、あたしたち運用者が言うならまだしも、他人に下流って言われるとやっぱりモチベーション下がるさ、人間だもの。
(あなたは、妖精だけれどね…)
第2位:運用ってコストだよね
運用業務を分かろうとしない/理解しようとしない人たちに、上から目線、本社目線でコストとか言われたくないっ!あなたたちの存在こそコス……。
まぁまぁまぁ……。では、いよいよ第1位の発表です!ジャジャン!
第1位:運用でカバー
出ました、運用者泣かせの定番の名台詞 「運用でカバー」!
運用者が自発的に言うならまだ許せるんだけれど、お客や開発に言われるとイラっとするのよね。
これって、つまりは要件定義や開発段階での課題先送りってことよね?
その通り!
要件定義からあたしたち運用を巻き込んで相談してくれるならまだしも、リリース間際になって「運用で考えて」とかいわれるとホント丸投げされている感じがして悲しくなる。
中には「運用フェーズに入ってから一緒に考えましょう」って言ってくれるお客さんや開発プロマネもいるみたいだけれど…。
甘いわ、遥子!
その言葉に騙され、泣かされた運用管理者をあたしはどれだけ見てきたことか。「一緒に考えて」なんてくれやしない。そうして、運用者はどんどん守りのマインド、受身のマインドになっていってしまう。
悲しすぎます……。
登場人物紹介
運用☆ちゃん
妖精。ある日、遥子のもとにやってきた。システム運用業務の認知の低さ、運用者のモチベーションの低さを嘆き、空から舞い降りた。彼女の使命は、運用のプレゼンス向上、価値向上、そして運用者の誇りの醸成。好きな言葉は「ありがとう」。好物は、かき氷ブルーハワイ(嫌なことがあるとやけ食いする)。
見た目も言動も幼い感じだが、実は65535歳らしい。
海野 遥子(うんの ようこ)23歳
大手製造業 日景(ひかげ)エレクトロニクスの情報システム子会社に勤める2年目社員で、認証基盤システムの運用担当。クラスの端っこで目立たないような女子。今日もサーバルームで、システム監視したりパッチ当てたりと目立たぬ日々を送る。好物はいわた茶。
※この漫画はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。
『運用☆ちゃん』連載はこちら
マンガ:湊川あい(みなとがわ あい)
フリーランスのWebデザイナー・マンガ家・イラストレーター。マンガと図解で、技術をわかりやすく伝えることが好き。
主な著書 わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本・わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門・わかばちゃんと学ぶ Googleアナリティクス〈アクセス解析・Webマーケティング入門〉
Twitter: @llminatoll
シナリオ:沢渡 あまね(さわたり あまね)
IT運用エバンジェリスト。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。ITサービスマネジメント/プロジェクトマネジメントのノウハウを応用した、企業の働き方改革・業務プロセス改善・インターナルコミュニケーション改善の講演・コンサルティング・執筆活動を行っている。
主な著書:『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』、『職場の問題かるた』『働き方の問題地図』『職場の問題地図』『仕事の問題地図』、『チームの生産性をあげる。』、『話し下手のための雑談力』
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