「運用観点が大事!」運用以外の人も知っておいてほしいアレコレ『運用☆ちゃん』Incident 004

運用者に決して言ってはイケナイ悪魔のフレーズを知った、2年目システム運用担当者・海野 遥子(うんの ようこ)。
そして、お客さん、営業、開発、フロントエンジニア……運用以外の人も運用観点を持っておいてほしいと運用☆ちゃんに力説される。それは良いシステム作りに欠かせないのだそう。──ところで、運用観点って何だ!?

「運用観点」がないと起きる悲劇アレコレ



あわわわわ……。確かに、これよく見かける!


でしょ! ちょこっと運用のコト気にして、作る前にインフラエンジニアに声かけておけばこんな悲劇は防げるのよ。


いきなりシミジミ来た…(そして、ちょっと鳥肌たった)。


ほかにも、こんなのもよくあるわね…。

機器類の裏がワンダーランド


突貫工事で立てたサーバやネットワーク機器。LANケーブルの配線がぐちゃぐちゃで、モダンアート状態!


あるわね~。入社したとき、先輩から「あのラックの背面だけは決して覗いてはイケナイ」って釘刺された一角があるわ。誰も怖くて触れないみたい…。


まるで、ロシアンルーレット!
一方、物理セグメントごと、サービスごとにケーブルの色変えるとか、ラベルつけるとか、ちょっとした心遣いがあるとすごく嬉しいよね。


寒いサーバルームでも、心はあたたかくなる!

ありのままのデータベース


「ありのまま」って、自然体みたいでなんだかイイ感じ♪


そうそう、草原とお花畑な感じがしてね……。
って違う!
生まれたままの姿で、ロクに設計されていない状態ってこと。パフォーマンスチューニングもされていなければ、データも正規化されていない。


ああ! 検索にやたら時間がかかったり、リソース消費したりとか…。


ログを全て残す設定にしていて、連休前後に溢れそうになったとかよく聞くわ。バッチ処理時間にも影響するわね。(はぶーっ)


サービスに影響しまくりじゃない!ひええ……。

密連携しすぎ

メインシステムとサブシステム、レポジトリ同士、密連携しすぎ。
この属性データはAシステムから1時のバッチ処理で取り込んで、あの属性データはBシステムから2時に取り込んで、マスターデータはCシステムから…。


どこかコケたらアウト!


毎日が綱渡り!運用アドベンチャーランドへようこそ☆


そういえば、同期入社の子が見ているシステム。夜間バッチ処理が超過密ダイヤで、メンテナンスのための計画停止ができないって嘆いていたっけ……。

メンテナンス機能がないっ!


新システム、なんとかリリース。ところが…マスターメンテナンスやデータメンテナンスの画面がないっ!


なんですと!?


でもって、毎回エンジニアが直接データベースいじって、データパッチ当ててますみたいな。


オペレーションミスのリスクも怖いわねぇ……。


こういうのって、最初に作っておかないとなかなか後から開発してもらえないのよね。既に開発予算使い切っちゃっていたりするし。


「運用でナントカなっているんだからイイじゃん!」って言われちゃったりね。

監視メッセージが山のように飛んでくる


あるわねー。監視メッセージが大量に飛んでくる。どのメッセージに対して、どう対応したらよいのか判断できない。


怖いのが、やがて「狼が来たぞ」状態になって、クリティカルなアラートを見落として対応しそびれたりする。

ヘルプデスクが、ヘルプできない


これって、どんな状態?


いろいろあるわよ。たとえば…。

* 画面に名前がついていない。ユーザにどの画面を見たら良いのか案内しにくい
* エラーメッセージが汎用的過ぎて、事象を切り分けしにくい
* 通常の操作では到底たどりつけない、隠しみたいな画面が点在
* 画面をひたすら下までスクロールしないと、目的の場所にたどり着けない
* 「ヘルプデスク権限」が用意されていない。管理画面を参照できず、ユーザの問い合わせにスムーズに回答できない


いったい何の無理ゲーでしょう……


それでまたユーザーのクレームを増幅させる。ヘルプデスクの人たちもかわいそう。


これでは、ユーザーをヘルプできません!

まだまだあるよ、運用観点欠落による悲しき景色


まだまだたくさんあるわ。運用観点を欠いたことによる悲しい景色。一挙公開!(リリっす!)


ああっ、見たいような見たくないような……。

* そもそもユーザにそのシステムの存在や変更が周知されていない
* 想定以上の同時アクセスで、サーバダウン/タイムアウト多発
* 期変わり/組織変更などの業務パターンが考慮されていない
* ログが残っていない
* 試験環境と本番環境とで環境差分が……
* 運用マニュアルが難解で意味不明
* 機器をリモートで再起動できない(毎度データセンタに駆けつけ対応)
* サーバルームの作業スペースが空調の真下(寒い)
* データセンタに休憩スペースがない


特に、非機能要件(※)は目に見える機能要件と違ってイメージしづらいだけに開発時に考慮漏れしやすいから注意が必要ね。

※非機能要件
可用性、性能、拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、自然環境への配慮、など機能以外の要件。非機能要件については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が『非機能要求グレード』を詳しく定義して公開しています。

次回は運用設計に迫ります!

登場人物紹介

運用☆ちゃん

妖精。ある日、遥子のもとにやってきた。システム運用業務の認知の低さ、運用者のモチベーションの低さを嘆き、空から舞い降りた。彼女の使命は、運用のプレゼンス向上、価値向上、そして運用者の誇りの醸成。好きな言葉は「ありがとう」。好物は、かき氷ブルーハワイ(嫌なことがあるとやけ食いする)。
見た目も言動も幼い感じだが、実は65535歳らしい。

海野 遥子(うんの ようこ)23歳

大手製造業 日景(ひかげ)エレクトロニクスの情報システム子会社に勤める2年目社員で、認証基盤システムの運用担当。クラスの端っこで目立たないような女子。今日もサーバルームで、システム監視したりパッチ当てたりと目立たぬ日々を送る。好物はいわた茶。

※この漫画はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

『運用☆ちゃん』連載はこちら

湊川あい

マンガ:湊川あい(みなとがわ あい)
フリーランスのWebデザイナー・マンガ家・イラストレーター。マンガと図解で、技術をわかりやすく伝えることが好き。
主な著書 わかばちゃんと学ぶ Webサイト制作の基本わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門わかばちゃんと学ぶ Googleアナリティクス〈アクセス解析・Webマーケティング入門〉
Twitter: @llminatoll

沢渡あまね

シナリオ:沢渡 あまね(さわたり あまね)
IT運用エバンジェリスト。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。ITサービスマネジメント/プロジェクトマネジメントのノウハウを応用した、企業の働き方改革・業務プロセス改善・インターナルコミュニケーション改善の講演・コンサルティング・執筆活動を行っている。
主な著書:『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』、『職場の問題かるた』『働き方の問題地図』『職場の問題地図』『仕事の問題地図』、『チームの生産性をあげる。』、『話し下手のための雑談力
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