“繋がる楽器”作りにこだわる、コルグのプロダクトプランニング、アプリ的ハードウェア開発とは?

IoT時代の「モノ」プランニングを考える連載第5回は、「KORG Gadget」の開発を担当したコルグ執行役員、商品企画室長の福田大徳にインタビュー!
IoT時代を迎える中で注目されつつある、ソフトウェアとハードウェアの垣根を超えた製品プランニングについて話を聞いてみました。

融合し始めたソフトウェア、ハードウェアの人材とノウハウ

河村:今回は「ソフトウェアとハードウェアの垣根を超えた製品プランニング」をテーマに、「KORG Gadget」の開発を担当した福田大徳と語り合っていきたいと思います。

福田:現在、コルグで執行役員であると同時に、商品企画室長を兼務しています。入社直後は、開発部でコルグのヴィンテージ・シンセサイザーを再現した「KORG Legacy Collection」などソフトウェアのコーディングを中心に行なってきました。

2009年に開発チームのマネージャーになってからは、プランナーの仕事の比重も増えています。

株式会社コルグ 執行役員 商品企画室長 福田大徳氏

河村:コルグはハードウェアのメーカーからスタートしたので、当時はアプリの開発チームという存在自体が特殊でしたね。

福田:アプリ開発チームのメンバーはハードウェア開発の経験もあるので、音作りのパラメーター検討やユーザーインターフェースにおいて、発想の原点がハードウェアから持ち込まれることが多いです。

だから、世間一般で想像されるアプリらしいアプリを作ろうとしても、ハードウェア屋的なエッセンスがどうしても抜け切らないというか。オフィスでもそこら中にハードウェアが置かれていて嫌が応にも目に入ってくるような環境です。

河村:逆にアプリ開発チームがハードウェア開発チームに対して積極的に意見を出しながらMIDIコントローラー*のようなハードウェアを作るようなこともありましたよね。

MIDIコントローラー:MIDI規格を介して電子楽器やコンピューター等の音源を制御する入力装置。キーボード、パッド、スイッチなど様々な形状のものが存在する。

福田:それは、特定のアプリとのインテグレーションを前提としたハードウェアを考えるようなケースですね。

河村:「nanoKEY Studio」や「plugKEY」のような製品ですね。確かにハードウェアを作る人とアプリを作る人たちが同じ屋根の下で働いているので、そういったプロジェクトも割と頻繁に立ち上がっていますよね。

福田:日本のハードウェア楽器メーカーは歴史的にも世界で多く成功を収めていることもあり、国内でも存在感は強かったのですが、僕が影響を受けたのはむしろ海外のソフトウェアメーカーでした。

どうして日本のメーカーはDAW*やDAW用プラグインを積極的に作らないのかなとか、そういう素朴な疑問を抱えていました。入社したのは、コルグがプラグイン開発をしていることを知ったのがキッカケでした。

河村:それまではコルグの社員もシンセサイザーやチューナーなどへの憧れを持った人が多かったように記憶しています。コルグでも本格的にアプリ開発に着手し始めたのは、ちょうどその辺からでしたもんね。

それ以降、アプリに接しながら育った若手社員も入社し、製品に対する会社の考え方も随分と変わってきました。最近は真空管アンプやアナログシンセなどのノウハウがアプリ開発に持ち込まれたり、ちょうど面白い時期に差しかかっているように思います。

DAW:Digital Audio Workstationの略。パソコンやスマートデバイス上で動作する作曲プラットフォームであり発音、録音、編集、オーディオデータ化など曲制作に必要な機能を備える。DAWの登場以降、ユーザーにとって作曲環境が一気に身近になった。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

楽器同士が繋がることで生まれた今の音楽シーン

河村:楽器は、80年代から有線のMIDIという規格を通じて異なる種類、メーカーの楽器同士が繋がってきた歴史がありますよね。楽器同士が繋がることで新しいアウトプットが生まれ、それによってユーザーの振る舞いも変化し、さらに楽器の形も変化する。そんなインタラクティブな変化を繰り返してきました。

それ自体が音楽業界全体の発展に大きく貢献したことには疑いの余地はないですし、そのような経験からもIoTの動向は興味深いなって思うようになりました。だからそのこと自体はポジティブに捉えています。

福田:MIDIは、同期信号などのごく部分的なデータでの受け渡しでしかなかったのに対して、IoTの時代にはデータを集めたり、クラウドにアップしたりも可能です。さらにMIDIよりもずっと飛躍した次元の別世界がやってくることを期待しています。

河村:複数のモノが同時に利用されることによる同時性の影響力は無視できないほど大きいですもんね。だから楽器を作る人たちも、人やモノ単体だけではなく環境を見ようとしてきました。

とはいえ、その際にも繋がるモノは所詮、楽器という限られた範疇でした。IoTでは、業界の枠組みを超えたモノとモノが繋がった後の可能性にみんなが期待をしています。何が起きるか想像できないことへのワクワク感も大きいです。

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ゼロベースのアイデアは存在しない

河村:ネット環境が当たり前になった今、プランニングにおいて僕たちがこれまで重視してきた市場から得られる情報の希少性や価値は下がっていますよね。

福田:誰もが情報を得られる時代において、完全なゼロベースのアイデアというのもなくなってきましたよね。同じアイデアを考えている人は世の中にはたくさんいるという前提に立って物事を考えるようにしてきました。

河村:今さら、新しいニーズというものはなくて、一見新しそうなものであっても結局は、過去のニーズが違ったカタチに見えていたり、既に存在する複数のニーズが組み合わさっていたり、ニーズを実現するシチュエーションが違うだけだったりしますからね。

福田:作り手の僕らもプランナーかつアレンジャー的な振る舞いに比重を置くようになってきましたよね。

河村:テクノロジーが発達して情報やアイデアが繋がりやすくなってきたので、そもそも無関係な業界というものも無くなり始めていますよね。

福田:昔は楽器なら楽器だけに注目して掘り下げるようなプランニングが多かったですが、今は他業種の製品までアンテナを広げながら連想ゲーム的に考えています。

細切れ時間から生まれる新たなニーズ

河村:最近ではユーザーの行動に選択肢が増えて、昔ほどユーザーが楽器に対して時間を割いてくれなくなってきました。あらゆるモノとの時間や予算の奪い合いを実感する場面が増えてきました。

福田:それもあってユーザーが製品に触れる時間帯やシチュエーションをより意識するようにはなりました。何時、何曜日なのか、電車か家なのかとか、一人なのか家族、友達となのかといったことを特に意識しています。

河村:ユーザーの背後にあるストーリーに対してこれまで以上に目を向けるということですね。アプリでは、ユーザーの移動が重要なファクトなのでそういった文脈的な発想は大事ですよね。

楽器もどんどんスマホに移植され始めていますが今後、出来上がる楽曲だけじゃなくて作曲シーンすらも変化してきますね。KORG Gadgetもそんなことを意識してたんですか?

福田:はい。仕事していると、週末にがっつり曲作りしようとしても1週間経つと以前のスケッチとか忘れてるんですよね。それがもどかしくて細切れ時間で制作できることも意識して「Gadget」を作りました。

本腰入れてデスクに座って曲を作るというシーンだけではなく、カフェでのリモートワークの感覚や家のソファに寝そべるなど、好きな場所でやる感じです。生まれるものも変わってくると思います。

ハードウェアの機能削減は茨の道

河村:仕様検討の際に、競合とのスペック比較表とか作ってます?

福田:アプリを作る時は、全然やらないです。

河村:ハードウェアに慣れすぎた人だと、時間の無駄ってことに薄々、気づいてても惰性で作っている人が意外に多いんですよ。ハードウェアは評価基準が定量化しやすくて、歴史的に数値が多いことが受け入れられてきた成功体験があるから、なかなか発想が切り変えられないんですよね。

福田:他社の製品スペックは、あまり見ないですね。触ることが中心で、もっと感覚的な評価ですね。

河村:機能をなくすことや、減らすことによる価値は見落とされがちです。

福田:機能の引き算は足し算より難しいですよね。勇気もいるし。

河村:機能がいろいろ入ってる方が、周囲の合意も得やすいですしね。ユーザーは欲しくない機能より、欲しい機能については積極的に語る傾向があります。リリース後も「あの機能を削ってくれた!最高!!」なんてレビューはまず見つけられません。

どうしても機能を削ったことは周囲からの評価対象になりにくく、足したことの方が評価されがちということもあるかと思います。

ですので、膨らませる方向のプランニングによって製品をそれっぽく見せるだけなら比較的簡単です。逆に削る方向は茨の道を進むようなものです。

人の感情や認知を基準にした比較表とか作れないでしょうか。というのも従来の定量ベースの比較表とか、セグメンテーションみたいなマーケティングの話を僕がしてもエンジニアはつまらなそうなんですよ。

河村:でも、人の感情や認知の話をすると急に身を乗り出してくる。ユーザーインターフェイスとかまさにそう。この辺がプランナーとエンジニアの両者で共有できる楽しみなのかなって感じる部分はあります。マーケティングにおいて人が大事なのは当然ですが、人を中心に置くことはチームビルドっていう観点でも有効だと思います。

福田:さすがに他社との比較表を見せられて、このメーカーがこうだから安くしてよとか言われてもエンジニアはテンション上がらないですよね(笑)。

河村:ユーザーがいないからつまんないんですよ。

福田:ハードウェアのエンジニアは業務上、どうしてもユーザーとの接点が限られてしまいます。だからプランナーがエバンジェリスト的に立ち回る必要があるんでしょうね。

これから期待されるアプリ的なハードウェア開発

河村:最近コルグのアプリは、「Gadget」だけではなく「Module」などリイシュー(再発)ではないまったく新しいものが増えてきています。何かきっかけがあったんですか?

福田:一時期、社内においても既存の製品をアプリでリイシューするとハードウェアと競合するのではとか、全部アプリでいいんじゃないかといった極端な議論があった頃がありました。

僕は、どちらにも納得していなかったこともあってリイシューではなくてアプリでしかできないことをやろうと思い始めました。例えば、Gadgetの初期バージョンでは内蔵音源も含めてリイシューを打ち出している部分は、あまりないですし、過去の製品にとらわれずにアプリ独自の世界観を優先してきました。今ある流れに対して反動的に考えることは多いですね。

河村:逆に今、アプリでしか存在しない楽器をハードウェア化したりはしないのですか?

福田:実際にユーザーからもそういったリクエストを多くいただいてます。ARMチップの価格などはIoTブームの後押しもあって、どんどん下がってきている。ハードウェアの顔をしているのに開発プロセスはソフトウェア的だったといったものが今後も増えてくると考えています。

ソフトウェアの資産を使ってそのままハードウェア化してしまう時代は普通にやってくると思います。誰でもハードウェアが作れる時代ですね。一方で機構設計や生産なんかはまだまだ独立したところがあるので、ネックになるのはその辺でしょうか。

じっくりコア技術として育てるか、開発スピードを優先するかの選択

河村:アプリチームではアジャイル開発を進めていますが、どうやったらハードウェア開発にもそういった考えを取り込めると思いますか?

ハードウェアは変更すると基板の書き直しや金型の修正発生したり、大きな規模で環境試験をやり直すことになったり、機能を足すとコストアップに直結するのでどうしてもウォーターフォール型を抜けきれないというジレンマがあります。

そういったハードウェアへの特性依存はあるにせよ、もう少しやれることはあるんじゃないかって思ってるんですよね。もっと平たく言えば変更する能力ですね。例えば昔はプランナーも5年の事業計画を練ってたりもしましたが、今はそんな長期計画ではないですよね。

今後は、さらに短くする必要があると思いますし、計画を立てることから、変更することに対するノウハウとリソースをシフトしていかなければいけないと思ってます。

福田:プランニングはそうなりますよね。ただ、基幹技術は頻繁に変更できないので技術ロードマップは多少長くてもいいと思います。理想的には1つ2つのコア技術があって、そこから多くのプランがスピーディーに生まれるのが理想ですね。

作った資産をじっくりコア技術として育てるか、1つの製品に依存してもよいので開発スピードを優先した方がよいか。その切り分けはとても大事ですね。

コルグも新しいアプリを開発する際、20年前のソースコードを一部から引っ張ってきたりします。組み合わせる際に相性問題も頻繁におきますが、今のところ優秀なエンジニアが器用に選択して成り立っていますね。

福田:ただ本来は開発手法や開発環境など、もっと戦略的に進める視点も必要です。例えば、僕らの業界ではハードウェア開発において未だにアセンブラも現役ですが、それはチップを安く済ませられるというメリットがある一方、他のプロジェクトへの流用は難しいというデメリットもあります。

そこで、全社的な全体最適を目指すのなら、例えば最初は汎用性を意識してC言語で書いておく、チップ調達はプロジェクト毎ではなく全社的な視点をベースに大量調達するとか。ソフトもハードも両方やる会社としては、アジャイルとウォーターフォールのいずれかではなく、多角的に捉えて選択していく必要がありますね。

チームの衝突こそがイノベーションの兆候

河村:開発において、変化を受け入れるために気をつけていることはありますか?

福田:やはり話すことが大事ですね。それは目先To Doだけではなく、帰り際に隣の人と話してアイデアを膨らませたり、日々視点を変えることにしています。それによって問題が一気に解決したり、さらに良い作戦が思いついたり楽しくもなります。モチベーションが高まると変化も前向きに受け入れられますね。

また、一人のプランナーがぐっと引っ張るというよりは、いろいろな意見が存在することを前提とした包容力のある製品にしようとしています。全員が製品のオーナーシップを持つことです。

僕のコンセプトはキッカケに過ぎません。ディテールの作り込みによって製品の面白さが変わる。そこはやはりエンジニアの力が大きいです。

Gadgetなんかまさにそうですね。Gadgetという大きなプラットフォームがあって、その中に様々な音源が存在しているのですが、それぞれの音源には、その音源の担当者がやりたかったことが凝縮されている。そうやって切り分けられているので、個々の変更の影響が全体コンセプトに与える影響が少ないんです。

河村:それだと製品のエッジがなくなってきませんか?

福田:それも個別の音源である程度、製品コンセプトが完結されるので、そのような悩みはなかったですね。

河村:逆に自由度が高いことで、チーム内の衝突が起きやすくなったりはしませんでした?

福田:最初の頃は衝突もありました。でも、最終的には特に想いが強い人を中心に着地点が見つかります。また、単純なんですけどかっこいいデザインや動くプロトタイプができると衝突は極端に減り、推進に変わりますね。

結果的にGadgetがエッジもなくさずに多様な意見を取り入れることができたのは、そういったチームの雰囲気があったことも大きかったと思います。

河村:僕は、衝突はプロジェクトに付きものと考えてるので、意識的に減らそうとしたことはあまりなかったですね。新しいことをやろうとした時って揉めやすいけど、逆説的に言えば揉めてる時って新しいことが起きる予兆なんだと思うんですよ。

揉めた時はまず放置して発散する様子をじっと眺めています。そうすると揉めてる原因は段々とクリアになってきます。全部出し尽くしたなと思ったらそこから初めて深掘りし始めるようにしています。

福田:揉めることで意図的にチャンスを作り出すんですね。でも、最後まで纏まらない時はどうするんですか?意見がずれたまま進めるのですか?

河村:最終結論をチーム全体が尊重し、コミットできていれば、もはや意見がずれてることはあまり重要ではないと思っています。

反発はエッジが高い製品の宿命ですし、営業や市場からも同様のリアクションが来る可能性も高いんですよ。その際にプランナーは、早い段階で批判に耐え得るだけの説得材料を揃える必要があります。揉め事はそのための作業でもあるんです。

福田:僕のチームは事業部だったのでリリース日の意識が強かったです。納得しづらいこともありますが、リリース回数も多くてユーザーに製品を届ける楽しさを全員が知っていました。あとは揉め事は実はどっちでもよかったり、些細な事だったと思うことがよくありましたね。食い違いの回数によって開発の速度感が失われたりはしなかったですか?

河村:そこに時間はどうしてもとられてしまいますね。振り出しに戻るようなこともあります。でも、その判断が正しいのであれば結局は、ロスを未然に防いで長期的には、会社の成長速度は上がっているわけですし。

一回ぐちゃぐちゃにされた経緯を経た後に整理された製品って強いですよ。今、コルグのロングセラーになっている製品を見ても、多くは大反対からスタートしているじゃないですか。僕がKAOSS PAD KP3をプランニングした初期の頃もエンジニアと毎日のように激しくぶつかってました。

でもやっぱり、みんながコミットできない状態のまま強引に推し進めてしまった製品は、あまり上手くいかなかったですね。これは偶然じゃないと思うんです。

福田:どこまで合意を得られた段階で進めるかという判断も難しいですよね。チームが乱れてもダメだし、製品からエッジがなくなってもダメだし。

河村:売れた製品の多くは、開発の終盤でみんなが盛り上がっているという経験則はありますね。みんなが楽しそうな顔を覗かせ始めた時がゴーサインかなって思います。

福田:出だしはある程度の衝突があって最後に収束するくらいがベストなのかもしれませんね。一番、反対してた人がノリノリになってたり(笑)。

アプリ開発の経験がもたらすハードウェア開発のメリット

河村:ユーザーとの接点はどうやって設けてるんですか?

福田:開発チームでSNSアカウントを直接運用していました。ユーザーが今何に困っているのか把握できますし、すぐ助けたいのもありました。特にグローバルに接点ができるのはメリットです。英語は大変ですけど。

河村:僕は特に製品の何かを大きく変えたい時はプロの人に会うことが多いです。逆に既存の製品をベースにインクリメンタルな変化をさせたいときは、プロではなくアマチュアに会うことが多いですね。両者の意見の質が違うので。

極端に言えばプロは、音楽シーンを切り拓くつもりで製品を眺めているので突飛な意見もバンバン出てきますし、アマチュアはプロをフォローする人が比較的多いので、一定の枠組みを守りながら製品を便利にしようという視点が多いように感じています。

福田:僕は、もっと身近な人たちにベータ版を配布しながら意見を集めることが多いです。そうやって8割くらいできたところでver1.0としてリリースします。そこから残りの2割に向けてさらに市場のユーザーの声を集めていくようなやり方です。

河村:ver1.0は試作と完成品の中間みたいな感じなんですかね。永久に改善できるので何が試作で製品なのかというのもナンセンスなのかもしれませんが。

ソフトウェアをハードウェアでリイシューすることのメリットは他にはどのようなことがあるんでしょうか?

福田:現在ほとんどの楽曲はパソコンで作られています。普段聴く音楽の割合はソフトウェア由来の音が多いので、その音をハードウェアで出せるのはメリットですね。それから、音だけではなくソフトウェアはソフトウェアでハードウェアとは違う進化をしている楽器です。ユーザーインターフェースも違います。ハードウェア楽器としてもソフトウェア界隈から学ぶことが多いです。

また、ハードウェアという限定された枠組みに落とし込むことで、出来上がる作品も変わってくるでしょう。それが新しい音楽ジャンルを生み出し、音楽シーン全体を盛り上げていくような可能性はあると思います。ソフトウェアもハードウェアも相互に作用すると思います。

河村:同じ製品をアプリからハードウェアに置き換えた際に、ワークフローも確実に変化しますよね。その影響も大きそうです。

福田:既に業界内でもソフトメーカーがハードウェアを作って成功している例があります。それが今後、業界全体で大きなトレンドになった時に既存のハードウェアメーカーがソフトウェアに精通しているかどうかで対応力にも差が出てくるでしょう。

コルグのアプリはそれなりの開発工数をかけて作っていますので、フリーで配布はしていませんが、実際に試したユーザーたちからはやっぱり楽器メーカーのアプリは音が良いねって言ってもらえることが多いのは嬉しいです。

河村:福田さんと僕は、お互いにプランナーでありつつも、社内での育ち方、所属してきたチームの構成、作っているものなど全然、異なりますので今回の対談を通じて僕も知らなかったコルグの一面を見ることができたように思います。これからも繋がるプロダクト作り、頑張りましょう!

IoT時代の「モノ」プランニング レポート一覧

著者:河村裕司

経済産業大臣登録 中小企業診断士。株式会社コルグ開発部。自社ブランド、他社とのコラボレーションなどにおいて電子楽器のプロデュースを行う。代表作にKORG KAOSS PAD 3、KAOSS PAD mini。VOX Valvetornix、ToneLabなど。担当製品の受賞歴にヨーロッパ最大の楽器見本市Musik Messe主催、Mipa AwardにおいてBest DJ Tool/Software賞、米国DJ Mag紙主催、TECH AWARDSにおいてInnovative New DJ Product賞など。朝日中小企業経営情報センター発行の情報誌「ACC INFORMATION」No38に執筆論文「愛されるモノづくり」を掲載中。Facebookはこちら

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