社内で目上の人に仕事を依頼するとき、取引先やお客さまに何かをお願いするとき、正しい敬語を使えていますか?敬語は社会人として最低限のマナーです。使いこなせて当たり前、使えなければ評価が下がってしまいます。ここでは目上の人にお願いごとをするときの敬語について説明します。
頼み事をするときに使えるフレーズまとめ
社会人であれば、目上の人にお願いごとをしなければいけない状況が自然と増えてきます。そんなときは、正しい敬語と一緒に「常用フレーズ」を覚えておくと便利です。これらのフレーズを会話の中で挟むようにすると、丁寧な雰囲気を出すことができるからです。いくつかご紹介しましょう。
まず、会話のはじめに「今、お時間大丈夫でしょうか?」と確かめることからはじめましょう。相手が忙しい中、話しかけているのだから、断りを入れておくのが賢明です。次に、話の最後につけたしたいのが「よろしくお願いいたします」です。目上の人との会話では、最後に締めくくる定番フレーズとして使うようにしましょう。会話だけでなく、メールでも同様です。
また、普通に「~してください」と頼むのではなく、「~していただいてよろしいでしょうか」と相手に質問する形にすると、より丁寧になります。よくある間違いとして「よろしかったでしょうか?」と過去形になってしまう人がいますので注意しましょう。
謙虚な気持ちを忘れず
さて、いよいよお願いごとをするときの敬語を具体的に説明していきます。目上の人との会話で心がけておきたいのは、何よりも「謙虚さ」です。下の立場の人間が、上の立場の人間の時間を取らせた上に、頼みごとまでしている…そんな前提条件を忘れないでください。仕事に慣れてくると、先輩や上司、取引先とも打ち解けてしまって、ついつい馴れ馴れしい口のきき方をしてしまうことがあります。相手によっては許してくれるでしょうが、多くの人はそれで不快な気持ちになることでしょう。親しき仲にも礼儀あり、と言いますが、相手が目上の立場であれば尚更です。どんなに馬が合う人でも仕事上の関係であるという前提を忘れないでください。
そのうえで、相手を立てることを常に意識していれば、自ずと丁寧な言葉遣いができてきます。新人の方であれば、最初のうちはなかなか正しい敬語が覚えられないこともありますが、それよりも重大な間違いは、相手よりも上から目線で会話をしてしまうことです。立場をわきまえて会話をすることから始めましょう。
社内の場合(上司)
以上の点を踏まえて、会社内の目上の人物、つまり先輩や上司にお願いごとをしてみます。このときに心がけたいのは、「丁寧に、なおかつ手短に」です。丁寧に聞こえるように話すには、先に述べたように「お時間いただいてよろしいでしょうか」など、質問系で話すのが望ましいといえます。それに加えて「クッション言葉」をはさむと、より丁寧で謙虚な話し方になります。「クッション言葉」とは、会話の節々に挿入することで、ニュアンスを和らげる効果のある言葉です。
例えば、相手が知っているかどうか分からない情報でも「ご存知だとは思うのですが」と言ってみたり、お願いごとを切り出す直前に「まことに恐縮なのですが」と言ってみたり、とにかく相手よりも下の立場に自分を置くことで、少しでも相手が不快に思うような要素を打ち消す効果を狙います。ただし、気をつけなければいけないのは過剰にクッション言葉を使うと、要点がボヤけてしまうだけでなく、会話が長くなってしまい「お忙しいようですがお時間よろしいですか」と聞いていたにもかかわらず、必要以上の時間を相手にとらせてしまう事態になってしまうことです。謙虚な姿勢を保ちつつも、要点ははっきり手短に言うようにしましょう。
お客様の場合
取引先やお客さまと会話をするときは、社内以上に取り返しがつかない状況だと自覚して、正しい敬語を話すようにしましょう。このとき、注意したいのは尊敬語と謙譲語を混同しないことです。尊敬語とは相手を敬う意図で使う言葉、謙譲語とは自分や身内を下げて表現することで相手の立場を上にする意図で使う言葉です。例えば、「見る」という動詞に対し「ごらんになる」は尊敬語、「拝見する」は謙譲語です。
しかし、よくあるのが尊敬語と謙譲語が主語と合っていない間違いです。謙譲語なのに主語がお客さまであれば、お客さまを見下していることになってしまいます。逆に、尊敬語なのに主語が自分であれば自分で自分を高い立場に置いている変な言葉遣いに聞こえます。若いうちは、こんな間違いも愛嬌と思ってもらえる可能性はありますが、それも束の間、いつまでも尊敬語と謙譲語の区別もつかないようであれば、お客さまからの信頼すら失ってしまうでしょう。しかし、正しい言葉遣いを完璧にこなせれば、お客さまにも気持ちよく会話してもらえます。敬語は社会人としての能力の一部なのです。