税理士の資格があれば税理士として活動ができ、税務に関する相談やコンサルタント、税務署に届ける書類の作成、確定申告など税務処理の代行ができます。企業に勤務している人にとっては、税務書類の作成、設備を投資する際の最適な投資を行うなどの仕事があり、これらの仕事は税務の知識がなければできません。そのため、税理士の資格を持つ人が優遇されるわけです。では、税理士の資格を持っている人の年収はどのくらいなのでしょうか?
リクナビNEXTの会員登録者のデータ(2010年12月~2015年11月)から、税理士の資格を持っている人の年収の調査結果をご紹介します。
税理士の資格を持つ人の平均年収は全体平均より100万円ほど多い?
リクナビNEXTのデータから、税理士の資格を持つ人の平均年収は、正社員・非正社員を含め、約533万円です。このうち、正社員では604万円、非正社員では462万円と約150万円の差があります。非正社員とは、契約社員・派遣社員・アルバイト・業務委託などを含んでおり、その働く形態がさまざまあることから年収差が出ています。非正社員の割合は全体の約10%を占め、働く条件を同じとした年収を比較するために、ここでは正社員に対する年収について分析します。
税理士の資格を持つ人の年収を世代別にみると、60代以上:723万円、50代:745万円、40代:679万円、30代:562万円、20代:424万円です。リクナビNEXTの2015年12月の登録者の全体平均は、60代以上:687万円、50代:713万円、40代:561万円、30代:453万円、20代:323万円。この比較から、40代までの税理士の資格を持つ人の年収は、平均より約100万円程度多いことがわかります。
税理士資格を持っている人全体の平均年収は約533万円で、年収1,000万円を超えている人は9.4%と、高年収の人が多い資格と言えそうです。
税理士資格を持つ人は税理士の他に、公認会計士、公務員、経理、財務として働く人が多い
業種別ではどうでしょうか。税理士の資格を持つ人の平均年収を業務別にみると次のようになります。IT・通信系:659万円、サービス系:481万円、メーカー系:677万円、金融・保険系:789万円、専門コンサル系:618万円、不動産・建設系:539万円、流通・小売り系:508万円です。
こちらもリクナビNEXTの2015年12月の登録者の正社員全体平均で比較すると、IT・通信系:457万円、サービス系:331万円、メーカー系:481万円、金融・保険系:450万円、専門コンサル系:503万円、不動産・建設系:415万円、流通・小売り系:364万円と、IT・通信系、メーカー系で約200万円、、金融・保険系では何と約340万円程度高いことが分かりました。
税務士の資格を活用している職務とは、公認会計士・税理士、財務・財務会計、財務コンサルタント・会計コンサルタント、経理、公務員などです。税理士やコンサルタントなどの職務では税理士として仕事を行うことが多いのに対し、経理や財務などの職務では税理士としては仕事ができませんが、税理士と同等の知識と経験で職務を遂行します。リクナビNEXTデータでは、税務士資格を持つ人の約4分の3が公認会計士・税理士、財務、経理として働いており、高い年収を維持しているようです。
なお、残り4分の1は、内部監査やリサーチャー、プロジェクトマネジャー、人事、事業企画など、幅広い職種に就いているようです。
税理士で自身の年収を上げるためには
税理士の資格を持つ人の平均年収を職種ごとに分けて分析します。分析した職種は、公認会計士・税理士、財務・財務会計、財務コンサルタント・会計コンサルタント、企画営業、経理、公務員の5職種です。
分析した結果、公認会計士・税理士:593万円、財務・財務会計:574万円、財務コンサルタント・会計コンサルタント:667万円、企画営業:494万円、経理:540万円、公務員:767万円となりましたリクナビNEXT全体では、公認会計士・税理士:609万円、財務・財務会計:474万円、財務コンサルタント・会計コンサルタント:465万円、企画営業:448万円、経理:420万円、公務員:427万円となっており、公認会計士・税理士のみ全体より低い傾向になりましたが、おおむね税理士の資格を持っていると年収が高くなる傾向が見られました。
税理士の資格を持ってさらに年収を増やすには、会計士などほかの資格も持つことに挑戦することが一つの方法として挙げられます。また、各分野における財務スペシャリストとして専門的な業界知識を身に着けることで、人材価値は高まるでしょう。
画像:ぱくたそ