司法書士になるには、筆記試験・口述試験からなる司法書士試験に合格し、司法書士名簿に登録を受ける必要があります。では、司法書士の資格を持っていると、どのような仕事に就くことができ、いくらくらいの年収を得ることができるのでしょうか?リクナビNEXTの会員登録者のデータ(2010年12月~2015年11月)から、司法書士有資格者について調査した結果をご紹介します。
司法書士の平均年収は455.4万円
司法書士とは、不動産・法人の登記の代理、法務局・裁判所に提出する書類の作成、簡易裁判所における民事訴訟手続きの代理などを行うことができる法律の専門職です。さらに、企業への法務コンサルティング分野、個人への成年後見制度や遺言・相続サポート分野などでの、幅広い活躍が期待されています。
さて、リクナビNEXTの2010年12月~2015年11月までの新規登録者のうち、司法書士の資格を持つ人の平均年収は455.4万円でした。年代別に見ると、20代:348.9万円、30代:432.1万円、40代:546.7万円、50代567.8万円、60代以上565.0万円と、20代から40代にかけて年収が伸び、それ以降はほぼ横ばいとなります。
では、年代における年収の違いはどのくらいになるのでしょうか。40代以降の司法書士有資格者の平均年収は551.7万円、20代~30代の司法書士有資格者の平均年収は409.2万円です。40代以降は20代~30代より年収が約142万円アップしています。
法務と専門コンサルタントの年収の差額は150万円以上
司法書士有資格者の中で、比較的高い収入を得ているのは、法律の知識を活かして一般企業の法務関連分野で働いている人です。同じリクナビNEXTのデータによると、企業で法務を担当している司法書士有資格者の平均年収は549.6万円でした。年齢別に見ると、20代:380.0万円、30代:541.6万円、40代:595.4万円、50代850.0万円、60年代以上700.0万円と、すべての年代で司法書士有資格者全体の平均年収を上回っています。
次に、司法書士有資格者のうち、専門コンサルタントとして働いている司法書士の平均年収を見てみましょう。同じリクナビNEXTのデータによると、専門コンサルタンントとして働いている司法書士の平均年収は436.2万円と、法務部門の司法書士有資格者に比べ、110万円以上低いことがわかりました。年代別に見ると、20代:358.6万円、30代:416.8万円、40代:551.1万円、50代418.1万円と、すべての年代で、法務担当の司法書士有資格者の平均年収よりも低くなっています。
この結果を見ると、企業に属して司法書士の資格を活かして働く場合は、企業の法務部門で働くと、それ以外の職種と比較して高い年収を得ることができるようです。
職種を問わず企業規模によって年収に差が出る傾向が
それでは、企業で働く場合において、企業規模によって年収に違いが出てくるのでしょうか? 企業の従業員数と年収との関係を見てみましょう。同じリクナビNEXTのデータによると、職種を問わず従業員数1,000人以上の企業に勤務している司法書士有資格者の平均年収は537.7万円。一方、従業員数1,000人未満の企業に勤務している司法書士有資格者の平均年収は440.7万円と、100万円近い格差があります。
年代別に見ていくと、従業員数1,000人以上の企業の場合は、20代:405.4万円、30代:511.7万円、40代:750.0万円となっています。従業員数1,000人未満の企業の場合は、20代:327.2万円、30代:416.9万円、40代:511.0万円、50代:593.7万円と、各年代において企業規模が大きい方が年収は高い傾向にあるようです。
司法書士として独立開業した場合の年収は?
これまでは企業に属している司法書士資格を持つ人の年収をご紹介してきました。それでは、司法書士として独立している人はどのくらいの年収なのでしょうか? データによると、平均年収は402.6万円と企業に属している人よりも少ない結果に。ただし、年収1,000万円という人も含まれており、独立開業の司法書士の場合の年収には大きなばらつきがみられました。司法書士の資格を活かして独立開業する場合は、年収という観点で考えると、覚悟が必要な資格と言えるのかもしれません。
司法書士は、独立開業して登記業務などを行うだけでなく、一般企業に勤務し企業法務の道を歩むという選択肢も可能な資格。また、2002年には司法書士法が改正され、簡易裁判所での代理権が認定を受けた司法書士に与えられるなど、活躍の場が広がっており、今後が期待される職業です。
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