マンガ『銀の匙』に学ぶ、仕事との相性について――大事なことは全部マンガが教えてくれた

f:id:k_kushida:20150911112814j:plain©荒川弘 / 小学館

突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?

普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー

今回は、多くのファンを持つ荒川弘先生の『銀の匙』(小学館)より、仕事の「合う・合わない」を考える際に大切な言葉をご紹介します。


「合う・合わない」の判断は間違いやすい

人は誰にでも「向き・不向き」、あるいは「合う・合わない」があります。ですが、自分でその判断を正確に下すことは、実は難しいことです。

自分が「向いている・合っている」と思って始めたことでも、実際にやってみたらあまり上手にできなかったり、「向いていない・合っていない」と思っていたことも、実際にやってみたら意外とうまくいったり、というケースも多いのではないでしょうか。

それはきっと、世の中に数多くある「やったことがないこと」を、それまでの限られた「やったことがあること」の経験を踏まえて合う・合わないを推測しているから生じてしまうことのだと思います。

就職や転職をしてみたものの、どうも仕事がうまくいかず、「自分には合っていないんじゃないか」と思い始めたとき、「合う・合わない」という判断を下す前に思い出したい言葉が、マンガ「銀の匙」(小学館)に登場します。

“自分に合った仕事に就くってのはもちろん格好良いけどさ、自分を仕事に合わせるってのも有りだと思うんだ”

©荒川弘 / 小学館

高校で馬術部に所属する主人公・八軒勇吾の先輩にあたる大川進英は、次の大会で部活を引退し、その先には就職活動を控えています。将来について「夢とかないのか」と八軒に聞かれた大川は、「特にそういったこだわりはない」と答え、彼なりの考えを表したのが、上記の言葉です。


8,568通り、あなたはどのタイプ?

先入観で可能性を排除しない

就職や転職をする際に「自分に合った仕事」を探すことは大切な判断基準のひとつであり、決して間違いではないと思います。しかし一方で、何が「自分に合った仕事」なのかは、経験してみないとわからないことが多いです。

そういう意味では「自分に合った仕事」と思っても、その実態は「やったことがあって、それなりに結果を残せた、楽しかった仕事(またはその類似)」程度のものなのかもしれません。そんな中で「自分に合った仕事」を選ぶということは、自分の他の可能性を排除してしまうことにつながりかねない、ということも認識しておく必要があるでしょう。

ならばいっそのこと、「自分を仕事に合わせる」くらいの気持ちでいた方が、様々なことにチャレンジしやすくなるかもしれません。これまでの経験から「合っていない」と先入観で判断するのではなく、やってみる、合わせてみる、という意識で取り組むことで、これまで気づけなかった自分の適性に気づけることもあるかもしれません。

主人公である八軒は、進学校だった中学校から、訳あって酪農と全く縁がない身にもかかわらず北海道の田舎にある高校の、酪農科学科に入学をします。まわりは酪農家出身の生徒ばかりで、彼らにとって当然のことも、八軒にとっては新鮮で衝撃的なことばかりでした。将来の目標や夢を見失い、そこにコンプレックスを抱えていた彼も、高校で仲間とともに過ごしていく中で、酪農という道の先に自分の未来を見出し、先輩である大川と供に大きな一歩を踏み出そうとします。

この高校に入らなければ決して目指すことのなかった道。まさに環境に合わせてみた結果、自分のやりたいことが気づけたものだといえるでしょう。


8,568通り、あなたはどのタイプ?

100%自分に合った仕事はなかなか存在しない

f:id:k_kushida:20150911113833j:plainたとえば一言で「営業」といっても、その仕事内容はコミュニケーション、資料作成、請求処理、数字管理など、多岐にわたります。自分がやるべき仕事のすべてのプロセスにおいて「100%自分に合っている」なんていうことは、おそらくほとんどないでしょう。

そういう意味では、多かれ少なかれ「仕事に自分を合わせにいく」ことは、どの仕事についても必要なことです。「コミュニケーションは得意だけど、数字の管理が苦手だ」と思っていたとしたら、何が苦手なのかを見極めて克服したり、あるいは苦手なことだからこそ早めに着手しておく、という判断をしていくことも「自分を仕事に合わせる」ことのひとつではないでしょうか。

また、引き続き営業の例で言えば、営業のスタイルというのは人によって異なります。ある程度の「型」は会社ごとにあったとしても、多かれ少なかれ成功体験から導き出した独自のメソッドのようなものを持っていることがあります。なかなか成績が上がらず、「営業は自分に合っていないのかも」と思ったとき、もしかしたら合っていないのは「仕事」ではなく「やり方」なのかもしれません。活躍している先輩がどんなやり方をしているのかを聞いたりしながら、自分に合ったスタイルを模索する。これもある意味「自分を仕事に合わせる」ことといえるでしょう。

仕事内容や職場の雰囲気など、自分一人ではなかなか変えられないものはあると思います。その中で「自分には合っていないのでは」と思うこともあるでしょう。ただ100%自分に合った仕事に巡り合えることは非常に稀なことです。「自分には合っていない」と結論を出してしまう前に、「自分を仕事に合わせる」ことにトライしてみると、これまで以上に可能性を広げられるかもしません。

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>>『大事なことは全部マンガが教えてくれた』シリーズ 大事なことは全部マンガが教えてくれた

監修:リクナビネクストジャーナル編集部

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