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※「面接現場の舞台裏」の内容はすべて掲載当時のものです。また、抜粋した文章には一部省略している個所もあります。 |
面接では初めに何を聞かれるのか? これまでの記事の統計から見ると、圧倒的多数は「自己紹介」だった。しかし、漫然と語ればよいものではない。面接官はこの段階から応募者を観察しているし、第一印象が極めて大切なのは言うまでもない。 |
面接官のいちばん最初の質問を調べると、最も多かったのが「自己紹介・職務経歴」(30)、次が「志望動機」(7)、3位が「大学時代」(5)と「その他」(5)だった。大学時代の質問とは半導体エンジニアの研究テーマや第二新卒採用での質問などで、特別なケースとも呼べる。「その他」とは、応募者をリラックスさせるための「弊社まで何分かかるか?」や、転職回数が多い場合の「なぜ転職が多いのか?」といった質問で、こちらも例外的な意味合いが強い。そしてほとんどの場合、これらの次の質問は「自己紹介」だった。 つまり、まず間違いなく最初の質問は自己紹介や志望動機であり、これらをまとめて話してほしいというケースも少なくない。その理由を面接官のコメントから探ってみよう。 |
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ここまで読めば理解できたはず。多くの面接官は経歴の概要だけでなく、ポイントを押さえて自分をアピールするプレゼン能力までをチェックしている。しかも、一定の時間内で論理的に、職務経歴から転職理由、志望動機までを聞かせてほしいという。 だが、難しいことはない。「面接現場の舞台裏」に登場する応募者とは転職成功者であり、彼らがこの関門をクリアしている以上、ほかのエンジニアにできないはずはないからだ。要はトレーニング。5〜10分の中で自分の「ウリ」を説明し、転職動機へとつなげていく訓練をしておこう。 |
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面接官が心の中で「いいね、この人」と評価を上げる応募者の言葉がある。こうしたフレーズは一様ではないが、加点要素が増えてくると採否のバロメーターはググっと採用側に大きく振れるものだ。まずは「企業研究編」でそのタイプを見てみよう。 |
名誉のために言っておくと、下に抜粋したフレーズは応募者が事前に用意したものではない。むしろ、本音を語ったら思いがけず(?)高評価を得たというものばかりで、「面接現場の舞台裏」に出てくる「評価アップフレーズ」全体の約8割が同様である。 ただ、記事の内容を分析して特徴が見えてきたなら、それをノウハウとして使うのもひとつの手。その特徴とは、「自社にどれだけマッチしたエンジニアか」という面接官の判断基準だ。テーマは大きく3つに分かれた。 |
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いわゆる企業研究をしっかりしておけば大丈夫。ただ残念なことに、こうした下調べをきちんと行わないエンジニアも少なくない。企業の製品や事業を知ることが選社の第一歩だし、それを理解したからこそ応募への熱意も生まれてくる。上のフレーズがまさにその実例だ。 企業規模やブランド意識だけを選社の基準にせず、入社後に後悔しないためにも、「応募先企業の個性」を調べること。そうしてほれ込んだ会社であれば、面接の場では自然と高評価を得るフレーズが出てくるはずだ。 |
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「評価アップフレーズ」のもうひとつのタイプは自己PRだ。何をいまさらと思われるかもしれないが、相手は初対面かつ百戦錬磨の面接官。客観的な裏付けがなければ、自己顕示欲の強い応募者として低い評価を下される場合すらある。 |
職種、役職、業務内容を問わず、何年間かエンジニアを続けていれば、ひとつやふたつは「誇れる実績」が出てくるものだ。上司や顧客から褒められたり、社内外のビジネスに貢献したり、何らかの賞を受賞したり、資格取得もそのひとつだ。 ただ、面接官がその価値をわからなければ自慢話に終わってしまう。自己PRを評価につなげるカギは納得感だ。例えば、自分がかかわることによって「数字」や「顧客」がどう変わったのか。また、自分で決めたルールや日ごろから気をつけているポイントは何か。これらをまとめると次のようになるだろう。 |
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まずは自己PRの材料を探すこと。次に、初対面の相手が納得できるような説明を考えること。仮に「納期に間に合わないような案件でしたが、皆で一致団結して納期に間に合わせ、しかも運用面には当初なかった機能を追加しました」と話しても、相手はよくあるケースとしかとらないだろう。 短縮できた日数、チーム内の役割、貢献したポイント、採用されたアイデア、新機能による運用の変化、顧客の評価、システム稼働後の効果などを肉付けしていくことで、PRの中身も絞れてくるし、何より面接官への説得力が増す。こうした内容を書き出して整理することから始めよう。 |
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面接官が重視するのが「マッチング」だ。企業、事業、業務内容、組織、技術、入社後の待遇に至るまで、これらにマッチする応募者を採用することが面接の目的とも呼べる。面接はよくお見合いに例えられるが、自分に合う人でないと交際は申し込まないだろう。 |
上記の「ちょっとした下準備で評価をアップさせる(企業研究編)」でも説明したように、企業は自社にマッチするエンジニアを求めている。これは応募者が企業の望む人材というだけでなく、応募者にとっても企業が転職の希望をかなえられる場であるという、相思相愛の関係を意味する。そうでないと貴重な戦力として採用した人材がその能力を発揮できず、最悪の場合は再転職をしてしまうからだ。 だから企業は、望む人材であるほど採用には慎重になるし、即戦力採用ほどこの傾向は顕著になる。確認のための質問は次のようにまとめられる。 |
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企業をよく研究したうえでの応募とすれば、何らかの選社理由はあるはず。また、3年後、5年後のキャリアプランをもっていなければ、せっかくの機会なので、暫定的でもよいので考えてみよう。選社の理由やキャリアプランは事前にまとめておかないと、特に緊張する面接の場では論理的に説明できないもの。まずは準備だ。 そして大切なのは、自分の気持ちをストレートに伝えること。結果として面接官が「うちには合わない」と判断したなら、それは縁がなかったということだ。自分の気持ちを偽って入社しても、企業が心配するようなミスマッチが生まれてしまう。 |
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「面接現場の舞台裏」に出てくる応募者はすべて転職者であり、面接を通過して入社したエンジニアばかりだ。だからといって、彼らが100点満点の評価を得たわけではない。総合点では合格でも、部分的には評価を下げた回答も結構あるのだ。 |
予期しない質問を受けてしどろもどろになった、後から考えると言いたいことはもっとあった、質問の意図を読み違えて答えてしまった……。こうしたミスは面接では決して珍しくない。では、こうした事態に陥ると返答はどうなるか。 下の実際のフレーズを読んで欲しい。共通していることは「それでももう少し言いようがあった」だろう。最後のケースだけは応募者に気の毒な気もするが、「もう対策は打てません」や「今、俺は頑張ってるなあ」はさすがに思慮が足りないし、ITS分野の開発会社は日本に何社もある。つまり、場当たり的に答えてしまっているのだ。 |
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万が一の失敗を想定してそのすべてをカバーすることなどできない。仮にできるとしても、その対策より企業研究や志望動機のプレゼンの準備に時間を使ったほうがはるかに有効だ。ならばどうするかというと、自信をもって常に平常心を保つこと。焦らないことだ。 頭が真っ白になるような質問がきたら、一呼吸置いてしばらく考える。「少し待ってください」と面接官に伝えるのもひとつの方法だ。その程度のタイムラグで評価を下げる面接官はまずいないし、一生懸命さを入社への熱意とみなす人も多いだろう。難しいだろうが、焦ったときこそ冷静に。 |
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このレポートの連載バックナンバー
面接現場の舞台裏
転職を果たしたエンジニアと面接官が当時を再現。応募者と面接官それぞれの言葉の真意や、面接でチェックされるポイントをレポートします。
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