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博士(パフォーマンス心理学) |
1.背筋を伸ばして、歩幅を大きく 面接室に入ってからは、背筋を伸ばして、歩幅を大きくして、堂々とまっすぐに席に向かう。第一印象は最初の「2秒」で決まるので、ドアを開ける前から準備をしておく。 |
2.アイコンタクトは1分に32秒以上 面接中は面接官の目を見る。目を見て、適宜視線をそらし、再び見るという動作の合計が1分間に32秒以上あると、「関心がある」と思わせる。見続けると圧迫感を与えるので注意。 |
3.表情筋を1分に28秒以上動かす 約30種類あると言われる目、口、鼻などを動かす表情筋。この表情筋を動かして、表情を豊かにする。1分間に28秒以上を動かすと、相手に好印象を持たれる。 |
4.小さなスマイル 笑顔は協調性、関心の高さ、親しみやすさなどを伝える。ただ、大きくは笑わず、口角を上方に上げる広角挙筋にくいっと力を入れて、小さなスマイルをつくる。 |
日本に「パフォーマンス学」を導入したパイオニアであり、その第一人者である佐藤綾子氏。多くのメディアに登場し、その著書は全168冊にも上る。そんな佐藤氏にエンジニアの面接を想定した、「誰でもできる基本7カ条」をつくっていただいた。
「もっと詳しいことも言えますが、まずは基本を覚えましょう。最初は入室からの姿勢です。立ち姿の印象は15メートル離れたところからでもわかるもの。そして、私が3000人以上にヒアリングした結果、最初の2秒で第一印象が決まるとわかりました」
つまり、面接室のドアを開けた瞬間から「勝負」は始まるのだ。
「背筋を伸ばして、歩幅は大きくして、まっすぐ直線で席まで向かいましょう。元気よく、堂々と歩いてください」
着席して面接がスタート。話すときは相手の目を見る。佐藤氏によれば、1分間に合計32秒以上断続的に見ていると、相手は「関心がある」と思ってくれるという。
「面接官が複数の場合は『視線のデリバリー』をします。基本的に話している人に視線を合わせます。複数いても話者がひとりなら、その人だけを見るようにします。ただ、キョロキョロとせわしなく視線を変えると、後述する『適応動作』になるのでやめましょう」
面接中は顔の「表情筋」を動かすように意識する。これは感情を伝えるときに動かす筋肉のこと。例えば、話すために口を動かすことを「表情筋を使う」とは言わない。面接官の話に驚いて目を大きくする、後述のようにほほえむなどが「表情筋を動かす」になる。
「表情筋を1分間に28秒以上動かすと、相手に好印象を持たれるという結果が出ています。特に効果的な表情が笑顔です。理科系の人には笑わない人が多いので、もったいないですね。真面目には見えても、固い感じに思われてしまいます」
スマイルは明るい人、元気な人というイメージを相手に与えるだけでなく、他者との協調性、相手への関心、親しみやすさも伝えるという。ただし、ゲラゲラとは笑わず、話に合わせて「ほどよく」笑う。口角を上方に上げる広角挙筋に軽く力を入れて、小さなスマイルをつくると、「興味がある」「理解した」などが相手に伝わるという。
また、「言語調整動作」を繰り返す。相手の言葉が終わったときに、「はい」とうなずいたり、同感の意味で「そうですね」などと相槌を打つことだ。こうすると面接官は話しやすくなり、質問も多くなって、会話が弾むという。まさに「相手の言葉を調整する動作」であり、逆にこれがないと「話を聞いているのか」と思われてしまう。
そしてジェスチャー。大きすぎるジェスチャーは逆効果だという。わざと手を高く上げたり、大きく身を乗り出すなどをすると、演技や空元気のように見られてしまう。同時に、相手を落ち着かない気分にさせるという。
「そして、『適応動作』はやめましょう。これはストレスを感じると出る動きで、無意識に体に触る、体を動かすなどが多いです。貧乏ゆすり、手指の頻繁な組み替え、書類をいじるなどで、自信なく見えてしまいます。しないように意識しましょう」
これまで見てきたようにポイントは7つ。どれも単純なものだが、「実は簡単にはできない」と佐藤氏。そのため、友人に頼んでロールプレイをして、それをビデオに録画することを勧める。再生してチェックし、表情やジェスチャーを修正していくわけだ。
「少々面倒かもしれませんが、変な表情や動作のままで面接に臨み、不本意な結果が続くよりはかなり効果的なはず。大切なのは表情やジェスチャーをチェックしながら、『自分の型』をつくっていくことです」
5.「言語調整動作」をしっかり 面接官の言葉が終わったら、「はい」とうなずいたり、「そうですね」などと相槌を打つ。こうすることで面接官は話しやすくなり、会話は弾み、応募者の印象も向上する。 |
6.ほどよく小さなジェスチャーで ジェスチャーは小さく、ほどよい動きに。意図したオーバーアクションは演技っぽく、空元気のように思われがち。また、相手を落ち着かない気分にさせる。 |
7.「適応動作」はやめる 適応動作とは貧乏ゆすり、手指の頻繁な組み替え、書類に触るなどで、女性なら髪をいじる、爪を噛むなども多い。自信なく見られてしまうので、しないように意識する。 |
株式会社メイテックネクスト |
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エンジニア専門の人材紹介会社「メイテックネクスト」。CA統括マネージャーの河辺真典氏は応募者に模擬面接を実施することも多く、課題となるポイントをアドバイスしている。 「エンジニアは面接を『技術やスキルをアウトプットする場』と思いがち。間違ってはいませんが、それだけではない。本人が気づかないうちに、面接官を不快にさせている場合もあるのです」 そのひとつが無頓着な表情だという。例えば、仕事の内容を聞かれて、「質問の意図は何か」「どう答えれば効果的か」などと考えて、長いことしかめっ面をする。本人は一生懸命なのだが、険しい表情は相手に不快感を与える場合もあり、沈黙が続くと「自分の仕事も説明できないのか」などと思われてしまう。 「思案中は自分の表情を意識しないものですが、模擬面接で『さすがにこの表情はまずい』と感じることが多くあり、率直に応募者に伝えています。本人が意識しないとなかなか直らないからです。鏡の前でチェックすればすぐにわかりますよ」 |
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一方で無表情もいけないという。河辺氏によれば、離職期間が長い人や研究職など、長期間にわたって他人と話す機会の少ない人に多いそうだ。こうした人は面接の場で緊張しがちなので、余計に「能面」のような無表情になるという。 「いろいろな人と話をすることです。学生時代の友達に連絡して、久しぶりに会ってみるのも楽しいでしょうし、人材紹介会社に面談を申し込むのも一案です」 ただ、「しかめっ面」や「無表情」をなくしても、マイナスが平均に戻った程度だ。プラスに働かせるのは、入社の意欲を伝える「気持ち」とのこと。応募先企業への理解を深めて、自分の経験とのマッチングを考え、入社へのモチベーションを高める。すると、自然と言葉に熱が入り、目が輝き、話す姿勢が前のめりになるという。 「質問された。それに答えた。採用を決めるのは相手だから後は任せる。こんな気持ちでいては、聞かれたことにしか答えなくなります。相手の企業をきちんと調べて、入社する熱意を持ちましょう」 |
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面接を「社内プレゼン」と考えたらどうかと河辺氏。応募する企業の製品やサービスを見れば、エンジニアなら使われている技術、開発プロセス、入社後の仕事などが想像できるはず。少なくとも大きなズレはないだろうから、面接官の質問内容も見当がつくだろう。 その質問に合わせて「開発した製品や技術を伝える」のは、社内や顧客へのプレゼンと似たものになるという考えだ。もちろん、プレゼンと違って想定できない質問も出るだろうが、それは2割程度という。 「2割なら極端な話、準備しなくても構わないレベル。それに想定外と言っても、『今までの失敗体験』や『大学時代の研究内容』などで、答えられない質問はまずないと思います」 話すのが苦手な人に対しては、流ちょうに話す必要はなく、率直に伝えればよいとアドバイスを送る。そのためにはシンプルな言葉を準備して、「メッセージを伝える」を目標にするとよいそうだ。 「入社意欲が高ければ、仕事が想像でき、言葉も生まれるはず。そうして準備をしておけば、しかめっ面も無表情もなくなりますよ」 |
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