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エンジニア200人の利用実態とプロが教える段階別アドバイス 知らないと損をする!『人材紹介サービス』徹底活用術
転職希望者と求人企業をつなぐ人材紹介会社。近年では利用者が増える一方で新規参入企業も増加し、市場規模は急拡大している。しかし、十分な知識をもつ利用者は意外に少なく、人材紹介サービスのメリットが生かしきれていないケースもままある。エンジニアならもっと賢く活用しよう。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ イラスト/関根庸子)作成日:07.11.29
Part1 転職エンジニア200人が答える人材紹介会社の利用実態
 転職経験があり、かつ転職時に人材紹介会社を利用したエンジニア200人にアンケート調査を行った。回答者は22〜40歳の男女、職種はソフト系106人、ハード系94人で、研究、開発、設計から運用、テスト、FAEなどまで幅広く網羅した。まずは基礎的なデータから見ていこう。
今までに何社の人材紹介会社に登録しましたか? 最も進んだ段階はどこまでですか?
転職経験のあるエンジニアの4割以上が「1社」に登録
 人材紹介会社は大きく3つの業態に分かれる。自社に職務経歴などを登録した転職希望者を求人企業に紹介する「登録型」、登録の有無にかかわらず企業の求める人材にアプローチする「サーチ型」、人員整理などの対象となった社員の再就職支援を行う「アウトプレースメント型」だ。
 サーチ型はいわゆるヘッドハンティングであり、アウトプレースメント型と同様に、当事者が必ずしも転職を望んでいるとは限らない。その一方で、登録型には転職の意思の高い人が自主的に登録しており、このサービスを行う人材紹介会社が最も多い。そのため、この記事では「登録型」の人材紹介サービスを前提としている。

 ただ、登録型に限っても大手、中堅、個人事業主のような小規模の会社まであり、職種や業種を幅広くカバーするところもあれば、専門に特化したところもある。逆に利用者から見れば、複数の会社に登録してより多くの求人を期待することもできる。
 そこで、何社に登録したかを尋ねたのが左上のグラフだ。4人に3人のエンジニアが1社か2社と答えており、登録社数は意外と少ない。この内訳で目立つのがハード系職種で、1社では約6割、2社では6割強を占めた。特に1社には回路設計と機械・機構設計が多く、この2職種のほぼすべての人が「2社以内」だった。一方の3社以上では7割以上がソフト系職種。特に多いのはネットワーク系職種と社内SEで、社内SEは15人中11人が3社以上に登録していた。
登録者の半分弱が転職まで進んだが中心層は30代
 人材紹介会社への登録には履歴書やキャリアシートなどを提出するのが一般的で、その後はキャリアコンサルタントとの面談、企業の推薦、応募、面接、内定、入社となる。どの段階まで進んだのかを尋ねると、半分弱が入社(転職)に至ったと回答した(右上のグラフ)。この数字はかなり大きい。なぜなら、転職活動には転職サイト、転職情報誌、転職フェアなどさまざまな方法があるうえに、人材紹介サービスを使っても意に沿う企業が見つかるとは限らないからだ。
 この「転職成功者」を年代別に見ると20代で56%、30代で47%、40代で23%となっている。年齢が若いほど転職成功者が増えているわけだが、全体で見ると20代は8%しかおらずそのほとんどが28歳と29歳、40代は40歳のみで7%だ。つまり、人材紹介会社を利用した85%は30代のエンジニアで、この世代が中心となっているようだ。ちなみに年齢分布は30代前半が若干多いもののほぼ均等だった。
 また、「転職成功者」を職種別に見ると、登録した半数以上が転職したのは、コンサルタント、オープン系SE、ネットワーク系職種、機械・機構設計、光学技術、品質管理・製品評価だった。各職種の母数が異なるので「成功率」は確実ではないが、比較的多かったオープン系SE(35人)、機械・機構設計(21人)、品質管理・製品評価(20人)を考えると、社会的に人数の多い職種には、企業の求人数も比例して多くなるのかもしれない。
 人材紹介サービスを使った感想では、「かなり」と「ある程度」を合わせて約7割が「役に立った」と答えている。回答者にはこのサービスで転職した人が圧倒的に多いのだが、職種、業種、年齢、登録社数などそれ以外の共通項は見つからなかった。Part2で取り上げる「利用料が無料」という要素が心理的に働いていることも考えられる。
転職において人材紹介サービスは役に立ちましたか?
人材紹介会社と併用した媒体はネットが中心
Part2 人材紹介サービスのメリット、デメリット、技術職との相性度
 人材紹介サービスのメリット、あるいはデメリットとは何だろうか。選択肢を多くして複数回答(最大3つまで)で答えてもらった。サービスを活用したエンジニアだから実感できることも多いはずだ。
人材紹介サービスの「ここが使える!」は何ですか?
人材紹介サービスの「ここが不満だ!」は何ですか?
満足感に作用しているのは「無料のメリット」か
 人材紹介サービスのメリットでダントツに多かったのが「無料である」こと。実は編集部では、ここまでこの数字が高いとは予想していなかった。というのは、人材紹介会社とは登録者と求人企業をマッチングさせて企業側から手数料を得る斡旋業であり、利用者に周知のことだと思っていたからだ。無料が前提であればメリットに感じることも少ないはずだが、事業形態の特徴として入れた選択肢だったのだ。
 確かにキャリアコンサルタントは登録者の要望をヒアリングし、適した企業を探し、応募書類や面接の相談にものってくれる。「ここまでしてもらってタダでいいのか」という気持ちになるのはわかるし、ほかの選択肢が選ばれたのは彼らの努力が評価されてのことだろう。しかし、無料にありがたみを感じてしまうと、自分の気持ちを強く出せない場合も出てくる。希望の仕事を探すためにも、「無料」は重視しないほうがよいだろう。

 一方、デメリットで飛び抜けた項目はなかったが、1位の「企業が見つからなかった」は目的が果たせなかったので当然だろう。しかし、マッチングには職種、業種、仕事内容、職務経歴、転職活動時期、人材紹介会社が扱う求人企業などが複雑に関係するので、こればかりはいかんともしがたい。損をしない活用法のためにはPart3を見てほしい。
 また、ここでも編集部の見当外れが起こった。利用したら何らかの不満はもつだろうと考え、当初の選択肢に「特になし」を入れなかったのだ。そのため、「その他」の欄に「特になし」「なし」などと書く回答者がいて、合計すると3番目に多くなった。また、「その他」には「前職の関連会社しか紹介してくれなかった」「希望した賃金にならなかった」「人材紹介会社が近辺になかった」「退社時期の調整が強引」「紹介された企業数が少なかった」などがあった。
製造業のハード系職種を中心に「相性がよい」
 最後に聞いたのは「技術職との相性」だった。約半分の人が「人材紹介サービスで転職先を探したほうがよい」と積極的な活用を勧めている。割合としてはPart1で「転職した」「役に立った」と回答した人がやはり多いのだが、その特徴は業種に顕著だった。自動車、家電、ゲーム、機械、機器、半導体など「製造業」に勤めるエンジニアで、職種としてはハード系が多かったのだ。
 SI企業、通信系企業、情報サービス企業、ソフトハウスなどのIT系業種と比べると地方都市に多い製造業で、ソフト系職種よりも転職意向が低いと見られるハード系職種では、需給バランスでは売り手市場になっているのかもしれない。
 いずれにせよ、アンケートの全体的な傾向からは、転職活動の一環として人材紹介サービスを利用したエンジニアはおおむね満足感を得ており、何らかのメリットは感じていることが見て取れる。
技術職と人材紹介サービスとの相性をどう思いますか?
なぜエンジニアと人材紹介会社が合うのか?
Part3 キャリアコンサルタントが語る「賢い人材紹介会社の使い方」
 中央官庁のキャリア官僚から人材紹介会社に転職し、キャリアコンサルタントとしてIT業界のエンジニアと接してきた山本直治氏。『人材コンサルタントに騙されるな!』で人材紹介ビジネスの内面を著した山本氏に、賢い人材紹介会社の利用法を尋ねた。
面談 「してほしいこと」を整理してコンサルタントに伝える
 人材紹介会社の利用は職務経歴書などの登録から始まり、次がキャリアコンサルタント(以下コンサルタント)との面談となる。登録者はこの場で実務経験や希望する仕事などを伝え、コンサルタントはこれらの情報を基に仕事や企業を探り出す。
 このときのエンジニアの特徴を尋ねると、「木を見て森を見ずの人が多い」と山本氏は語る。忙しさゆえか目の前の仕事ばかりを考え、社内外での自分の置かれた立場や将来像を客観視していないという意味だ。一方では、技術職は企業を見つけやすいとも語る。

「手に職がある仕事ですから、年齢とレジュメで候補となる企業の見当がつくのです。あらかじめイメージをもってお会いもできますので、ご本人の希望に沿ったご紹介はしやすくなります。ですので、コンサルタントには転職の要望だけでなく、『人材紹介会社に求める機能』もきちんと伝えたほうがよいでしょう」
 この機能とは、カウンセリング、求人案件の提供、調整代行業務、応募書類や面接での助言などを指す。例えば、「やりたいことは熟知しているから候補企業を教えてほしい」や「自分で気づかないスキルも含めて幅広い仕事が知りたい」というオーダーもできるわけだ。
チェックポイント
企業紹介・書類選考 第一歩である書類審査で気を抜かない
 面談が終わるとコンサルタントは登録者にマッチした企業を探す。ここで疑問となるのは、数多い人材紹介会社によって、紹介する企業の質や量に差があるかどうかだ。山本氏は「『○○業界に強い』という人材紹介会社であればどの会社でも、よほど秘匿の求人以外は、だいたい同じ求人企業・職種がそろう」という。
 例えば、普通にキャリアを積んだ中堅SEであれば、多い人なら30〜40通もの求人票がメールで送られてくるそうだ。
山本直治氏
ロード・インターナショナル株式会社
シニアコンサルタント
山本直治氏

大学院修了後、国家公務員として主に中央官庁での科学技術系プロジェクトに関与。2005年にIT業界に特化した人材紹介会社に転職し、キャリアコンサルタントとなる。2007年に現社に転職。著書に『人材コンサルタントに騙されるな!』(PHP新書)がある。
「ただ、求人票だけ見ても内容はよくわかりませんから、興味を引く企業があったらコンサルタントに聞いてみてください。大手の人材紹介会社なら過去の転職実績や離職率といったデータベースがあるはずですし、中堅の人材紹介会社ならより密着した生の情報をもっているものです。私の勤務先は後者ですが、自分のサポートで転職した方に『あなたの後輩のためにも転職の感想を聞かせてください』とか、人事担当者には『この前入社した人の評判はどうですか』などと聞いています。一緒に飲みに行くこともありますよ」

 登録者が応募する企業を決めると書類選考となる。コンサルタントの推薦だから書類程度は通るだろう、とは早計のようだ。可能性が低い企業でも登録者の要望ならコンサルタントは連絡するし、面接に弱そうな人なら「すべり止め」を含めて多数応募させる場合もあるからだ。コンサルタントの営業成績が関係することもあるという。
「人材紹介会社も営利企業ですから紹介手数料が欲しい。そのため、企業紹介、書類選考、応募、面接などの各段階で『今週は何社』という目標を課している会社もあるようです。また、登録者に現状を認識させるため、書類審査通過が難しいことを承知のうえで、あえて難易度の高い企業に書類を出す場合もあります」
チェックポイント
面接・条件調整 面接では緊張せず、給与交渉は慎重に
 書類選考を通過すると面接となる。「面接」と聞くとかしこまった新卒の面接を連想する人も多いようだが、実際には応接室での雑談スタイルが主となる。ざっくばらんに応募者の「素」を見るのが目的だ。だから緊張する必要はないのだが、事前の予行演習などは行われる。山本氏はもったいないミスを防ぐため、「面接官の気を悪くさせるようなNG質問をチェックする」そうだ。
 面接が通れば内定、あるいは条件付きの内定となる。後者は応募者の希望に必ずしも沿わない業務、部署、ポジションなどで採用したいという場合で、本人の承諾が入社の前提となる。この前後に行われるのがコンサルタントを介した条件の擦り合わせだ。

「年収アップを目論む人もいますが、いちばん難しいのがお金の交渉なんです。多くの企業は職務給ではなく年齢などをベースとした一律の給与テーブルをもち、社内的なバランスも考慮します。給与でもめるなら内定を取り消して、代わりの人を探す企業もあるでしょう」
 コンサルタントが調整能力を発揮するのはスケジュールだ。残業が入って当日の面接をキャンセル、プロジェクトが長引いて入社が2カ月遅れる……通常の応募ならその段階で断られかねない事態をフォローしてくれるのだ。
チェックポイント
アドバイス 頼りになるキャリアコンサルティングの見分け方
 コンサルタントは経験を積んだプロであり、登録者の希望にこたえるべく努力を続ける大切なパートナーだ。だが、人によりキャリアや考え方は異なることも事実。山本氏は、「無理にプレッシャーをかけるコンサルタントとはつき合うな」という。
「買い物のときにあれもこれもと勧める店員は嫌でしょう。コンサルタントにこれをされると判断を誤りがちになりますし、人情として断りづらくなるんです。理想は気軽に買い物につき合ってくれる友人タイプ。結局買わずにウインドーショッピングに終わっても、有意義な時間が過ごせるはずです。売り上げに直結しないこうした登録者を嫌う人もいるでしょうが、そもそも人材紹介とは確率のビジネスですし、まずは相手と信頼関係を築くことが大切だと思います」

 また、「どれだけ手間を掛けてくれるか」もポイントだそうだ。イキイキした表情で説明する、メールのレスが早い、何より登録者のニーズへと導いてくれること。
「長くつき合えるコンサルタントと接点をもちたいものです。何度も転職をさせる人ではありませんよ(笑)。『あなたは今よりキャリアを積んだ2年後に転職したほうがよい』などのアドバイスをくれる人です。人は誰でも井の中の蛙、かごの中の鳥、裸の王様、ゆで蛙のどれかに当てはまる可能性がある、と私は思っています。ならば外の意見を聞いてもよいかと思います」
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
私は人材紹介会社のキャリアコンサルタントに何度も取材していますが、経歴やバックグラウンドはさまざまでも、気のいい、まじめな人が多いですよ。ですので、妙な気は使わずに、自分の「素」を出して相談したほうがよいと思います。大事な転職ですし相手はプロです。どうぞご遠慮なく(笑)。

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