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30人枠に200人が殺到!参加無料で沖縄に2泊3日!

家入一真が仕掛けた
“スパルタキャンプ・PHP編”

家入一真氏が主宰する「Liverty」による「スパルタキャンプ【PHP編】2013沖縄」が、2泊3日で開催された。参加は何と無料! 家入氏と講師と務めた柏木祥太氏にキャンプへの思いと概要を尋ねた。

(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ) 作成日:13.10.02

200人の応募の中から30人が参加!PHPを学ぶスパルタキャンプ

今年の8月23日(金)〜25日(日)、沖縄県で「スパルタキャンプ【PHP編】2013沖縄」が開催された。主催は家入一真氏らが設立した「Liverty」で、参加費無料(!)の初心者向けプログラミング講座だ。
スパルタキャンプの講師であり運営も担当した19歳のプログラマ、柏木祥太氏がその内容を語る。
「参加者は本当にさまざまな方がいて、公認会計士、企業経営者、ニートという方もいました。HTMLやCSSに触れている方や、ほかの言語はできるものの仕事の都合でPHPを覚えたい方などもいましたが、全くのプログラミング初心者がほとんどでした」

30人枠に応募者200人弱が殺到。応募フォームに書かれた「熱意」を基に、「独断と偏見」で選考したとのこと。ただ、地方で行うので地元沖縄の方と、プログラマに少ない女性に重きを置いたとのことだ。
プログラミング言語をPHPにした理由を、家入一真氏はこう語る。
「Webサービスを作りやすいからです。Livertyもそうですが、Webサービスなら少人数で立ち上げられる。人と組むことが不得手な人もいますから、一人でもやりやすい言語としてPHPにしました」


家入一真氏
スパルタキャンプの発起人・主催者

1日目 心構え、環境設定、猿真似でよいからコードを書く


柏木祥太氏
スパルタキャンプの講師
※背後の店はLivertyお気に入りのレストラン「breaq」http://breaq.jp/

初日のスケジュールはおよそ12:00から21:00まで。食事休憩と2時間ごとに20分程度の休憩ははさむものの、基本的にぶっ通し。まさに「スパルタ」。ただ、教える内容は「初歩から」を心がけたと柏木氏。
1日の最初に「その日に学ぶカリキュラム」を説明し、進めていったのだが、初日は「プログラムを学んでいく上での姿勢」や「環境構築」などから入った。

「プログラムは難しいという先入観があると思いました。でも、プログラミングは作業を自動化するためのツールでしかなく、プログラミング言語自体人間がつくったものなので、わからないはずはない。そんなことを説明しました」

次は、PHPを動かすための環境作り。Apache、MySQL、Webサーバーなどの用語の説明から始めたが、Webサーバーは多くの参加者が知っており、ApacheやMySQLなどもそれなりに理解してくれたという。
「運営者として不安だったのは、皆がノートPCを持ってくるかどうか。ですが、全員が持参していて、20人ほどはMacでした。初心者とはいえやる気は十分でしたね」

家入氏も目的意識を持っている人が多かったと感じている。
「PHPを初歩から学ぶなら本を買って勉強すればいいし、キャンプは無料でも、沖縄往復の交通費や宿泊費は必要です。それでも参加したいという人たちですから、プログラミングへの思いや仲間と出会いたいなどの気持ちが強いのです」

環境構築には2時間ほどかかり、「PHPの基礎文法」へと移った。「<?php」から説明し、PHPには文字を出力する機能があるとprint文を教え、HTMLを知らない人のために簡単な説明も加えた。そして、ある程度教えた後で実際に書いてもらった。柏木氏がプロジェクターで見せたコードを、そのまま各々のPCに入力してもらったのだ。
「教えても『わかったわかった』で終わっては覚えられない。ですから、猿真似でもいいのでコードを書いてもらいました」
簡単なように思えても、スペースの抜けなどでうまく動かない人も珍しくなかったという。そんな場合は個別対応で横について教えた。その後は変数や関数へと文法の幅を広げて、初日は終了した。


スパルタキャンプで使われた柏木氏のドキュメント(以下同じ)

2日目 お問い合わせフォーム、おみくじ……プログラミングの実習へ

2日目は9:00〜21:00までみっちり授業。配列や連想配列などを教える一方で、柏木氏がリアルタイムでコードを書いて、そのまま入力してもらうなども行った。そして、いよいよと「実習」へと移る。
参加者が熱中したひとつが「フォーム作り」だった。文字を入力して送信する簡単な「お問い合わせフォーム」を課題として、自由に作ってもらったのだ。テキストの入力部分やラジオボタンなどを自作した。
「自分の書いたプログラムでモノが動くことに、面白さを感じてくれたのだと思います」

こう語る柏木氏の次の課題は「おみくじ」。フォームと関数を使って、ランダムに文字が出てくる仕組みを考えさせた。柏木氏がサンプルをつくって見せたのだが、想像した以上にオリジナリティあふれる作品が多かったという。
「フォームで受け取ってランダム関数を使ってもらうことを期待していました。すると、半分くらいの人は自分からランダム関数を使い、30分後にランダム関数を使うのだと教えると、皆がプログラムを完成させました。結構驚きました」


こうした参加者の上達には、独自の仕組みもあったようだ。スカイプでグループを作り、授業中に皆でチャットができるようにしたのだ。「腹減った〜」などのコメントもあったが、「文字化けが出る」などの書き込みがあると、近くの人が相談に乗るなどになった。家入氏は「無償の理由を理解してくれて、助け合いが生まれたのだと思う」と語る。
一方、柏木氏は「インタラクティブな環境を作りたかった」という。質問したくても「先生すみません」と手を上げるのには勇気がいるもの。しかし、皆が共有しているチャットなら書きやすい。

「質問しにくい環境は嫌でした。実際、『先生、今のは早口でわかりにくかったです』と書かれて、僕がもう一度説明するなどもありました」
参加者のスキルはバラバラで、だからこそ初歩から丁寧に教えたわけだが、「落ちこぼれ」は出なかったという。柏木氏には「一人だけおいてきぼりにするのは問題だ」という思いが強く、例えば皆が課題を考えている場合に、迷っている人がいれば、その人について相談に乗るなどをしていた。

3日目 1〜100から素数を抽出するプログラム

3日目は9:00〜16:00。前日の「おみくじ」が長引いたのでその説明がまずあり、その後は新しい課題を与えた。別のことを予定していたが、カリキュラムの内容を急きょ変えたという。
キャンプを離れ、ひとりになってプログラミングを続けるときに、プログラムをどう考えるか、どうやって組んでいくかに役立つような内容にした。こうすればこうなるから、次にこうすればよいという「切り崩し」の考え方を教えたかったという。
「最初から時間的にも1〜100までは教えられないと考えました。ならばキャンプでは1〜10をしっかりと教えて、11から先は学ぶ方法を教えようと思いました。検索エンジンで探せば情報はいくらでも出てきますが、探し方がわからない人も意外に多いのです」

そこで考えたのが、「1〜100の中で素数を抽出」と「ボーリングのスコア計算」だった。
「でも、ボーリングはちょっと計算が複雑になるのと、僕がよく知らない(笑)。そこで、あまり面白くないと思いましたが、素数にしました」
最初はその条件を示して考えてもらって、最終的にはアルゴリズムを説明したのだが、10人ほどは条件だけで素数のプログラムを書き上げたそうだ。その中にはすでに言語に触れていた人もいたが、全くの初心者もいたという。中には範囲を広げて「1〜1000」にした人もいたとか。こうしてスパルタキャンプは大成功に終わった。


スパルタキャンプは家入氏が1年ほど前から温めていたプロジェクトだ。米国で始まった「カルマキッチン」は、「前に来たお客が次のお客の食事代を支払う」という不思議なシステムで運営されている。いわば「恩送り」の実験場でもあるのだが、家入氏はこうしたギフト経済学を「学校」でやってみたいと考えた。
「生き方、働き方、人との付き合い方などには、『学校では教えてくれないこと』がいっぱいある。一方、生きていくには何らかのスキルが必要ですが、他人と組むのが得意でない人もいるので、プログラミングはその一つになる。この2つの考えから生まれたのがスパルタキャンプです」

無料にしたのは「かかわる人たちをつなげたい」という思いの強さから。育った人たちが「次」につなげられれば、お金を上回るメリットが出てくると感じている。
一方、柏木氏が講師として参加したきっかけはLivertyへの参加から。家入氏がスパルタキャンプの構想を語り、「やってみる?」という誘いからバタバタと決まっていったという。場所を沖縄にした理由は、地方にすれば「出向いてでも参加したい」という熱意のある人が集まるとの期待とともに、「2人とも沖縄に行きたかったから」。


スパルタキャンプの参加メンバー

無料のスパルタキャンプ、第2回は近々都内で開催?

取材時にはLivertyにかかわる2人の若者が同席した。スパルタキャンプの参加者である井上郁磨氏はキャンプのリーダー役で、「イケメン・リーダー」と話題になったとか。
「PHPは初心者でしたが、キャンプでしっかりと学べましたし、今ではコードが書けますよ。また、キャンプで知り合った方とその後もやり取りをして、『シリコンバレーの企業が開発したソフトを日本向けに展開できないか』というコラボが始まりそうです」
井上氏の友人の小玉翔氏は、惜しくもスパルタキャンプには参加できなかったひとり。
「僕も行きたかったんですけどね。ちょっと残念。ちなみに大学の授業ではC言語を勉強しました」

Livertyでは出店が無料のECサイト「BASE」が急成長しているが、こうした成功例を生んでほしいと家入氏は語る。
「やってみて、仮に失敗しても、また新しいことにチャレンジすればいい。ビジネスの成功には数が必要です。私にだって死んでしまったサービスがいくらでもあります(笑)。でも、続けていけば精度は上がる」
柏木氏によれば、スパルタキャンプの第2回は都内での開催を考えているとのこと。言語はPHPにこだわらず、iPhoneアプリの開発講座もあり得るようだ
「決まっているのは『無料』ということだけ。将来的な話かもしれませんが、今回の一期生から講師が生まれるといいですね」


井上郁磨氏
Livertyにかかわるスパルタキャンプの参加者で、リーダー役


小玉翔氏
Livertyにかかわる井上氏の友人

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